| 「文化祭の日も部活あるって...」 想像してたけど... 昨日、キャプテンの牧さんにそれとなく聞いてみたら 「勿論、部活はあるぞ」 と苦笑交じりに言われた。 まあ、強豪ってそういうものなんだろうね。 校内をてくてく歩いていると、見たくもないツンツン頭が見えた。 回れ右をして見なかったことにしようとしたら 「ちゃーん!」 と手を振られた。 ...あたしは何も見てない。 「おーい、ちゃん?」 背の高さが違えば足の長さも違う。 つまり、あたしの二歩が仙道の一歩分くらい? ...あれ?だったら、何で宗と同じ速さで歩けてるんだろう。 「ちゃん?」 ひょいと顔を覗いてくる仙道に「あら、居たの?」と返す。 「酷いよー」 と情けない声が返ってきて盛大に溜息を吐いた。 「何でウチの文化祭に来てるの?」 「この学校の友達に聞いたから」 「仙道って東京からのバスケ推薦でしょ?この学校に友達いるの?」 「友達?沢山いるよ」 仙道の『友達』の定義はおそらくあたしとは違うのだろうと思った。 「あっそ。じゃ、あたしはこれからクラスのほうに戻らなきゃだから」 「あれ?そういえば、神は?」 さっきもバスケ部の先輩達に聞かれた。 「お前一人か?神はどうした??」と。 そりゃ、クラスが一緒で幼馴染で一緒にいることが多いけど。 「宗は忙しいの」 さっきも女の子に呼ばれたりしてたし。 「神は顔も性格もいいからなー、ムカつくよなー」 以前、部活の休憩中に女の子に囲まれた神を見ながら恨めしげに先輩が呟いていた。 中学に上がったばかりのときも確か、宗はもててたな、とそのときは思った。 あたしは、中学に上がって夏休みまでの宗しか知らないからその後、彼がどんなモテモテ人生を送っていたかは知らないが、きっと甚だしいモテモテ人生だったに違いない。 勝手な想像にちょっと..へこんだ。 宗がモテモテなのは、常日頃から見ていることだ。 「ちゃん、クラスで何やってるの?」 「飲食店。よくある喫茶店ってやつ」 「メイドさんかぁ...」 「これにフツーのエプロンつけるだけ」 『これ』とは制服。 衣装とかに拘るクラスもあるが、ウチはそんなのに拘らなかった。制服で充分だ。 「で、クラスに戻るんだよね?ということは、これからちゃんのウェイトレス姿を目に焼き付けることが出来るんだね?」 にこりと笑って仙道が言う。 「オッサン」 呟くあたしに「同じ年じゃん」と彼が笑う。 何を言ってもついてきそうだからほっておいた。 クラスに向かっていると、隣で仙道が楽しげに話をする。 それを聞いてると何となく楽しい気持ちになって時々突っ込みを入れたり、笑ったり。 意外と楽しいと思った。 「遅かったね」 今はお店になっている教室に戻ると宗が居た。 「ごめん、あたしのエプロンは?」 「裏にあるよ..ってあれ仙道?」 にゅっと教室に入ってきた人物を見て宗が呟く。 「うん、さっき掴まった」 「何もされなかった?」 「...そこまでの変態じゃないと思うよ?」 そう返して裏に向かう。 確かにひとつだけエプロンが掛けてある。 「遅い」とクラスメイトに文句を言われて「でっかい迷子に道案内してたから」と返すと「えー」と不満そうな声が返って来た。 エプロンをつけて店内に出ると「ちゃん」と仙道が軽く手を上げる。 「何人か声を掛けてたんだけどね」 宗が言う。 あたしはまた溜息をついて、お客さんの元へと足を向けた。 「ご注文は?」 「ここ、何時に終わる?文化祭、見て回ろうよ」 仙道がそんなことを言う。 文句を言おうと息を吸うと隣からにゅっと手が伸びてきて「お冷のお替りです」と言ってグラスに水を注ぐ宗。 「お客さん、ナンパはお断りですよ。、たちの悪そうな客だから、俺が接客するよ」 宗に言われて「よろしく」と返してあたしは別のテーブルに向かった。 ふと振り返ると仙道のテーブルに向けてカメラを構える女の子達がいる。 「人気者だなぁ...」 アレで人気があるのだから..藤真さんに通ずるものがあるよなぁ。 |
桜風
12.4.4
ブラウザバックでお戻りください