年下の男の子





体が大きくて物静か。学校では品行方正・成績優秀で通っているらしい。

落ち着いたその物腰は既に社会人のような雰囲気を醸し出している。

バスケのことしか頭にないっぽいくせに、周りを良く見ているし面倒見もいい。


そんな彼は年下の男の子。



全く、何を考えているのか分からない。

父が海外に転勤ということになり、母はあっさりそれについていくと断言した。

「あたしは!?」

今年大学に受かった者としては、辞めたくないって思うのが普通だろうし、それを責める人が居るとは思えない。

しかし、

「えー!向こうの大学受け直しちゃえば?」

と言ったのは母。

妹は既に海外留学が出来ると浮かれまくっている。

「イヤよ。あたしは日本に残る」

「でもねー...」

と母。

「何?」

嫌な予感を抱えながら聞いてみれば

「この家の賃貸契約切っちゃった」

『切っちゃった』じゃないよ、お母さん!!

つまり、あたしの住む家が無いって事!?

今から探すの??有るの!?

「だから、お姉ちゃんも来ちゃいなよ」

と母がまた言う。

「あのねー、お母さん。あたしの英語の成績で、向こうの大学?入るまでに何年掛かると思ってるのよ!?」

「そうよねー...」

否定して、お母さん!少しくらい気休め言ってよ!!

「じゃあ、こうしましょう」

そう言って母が提案したのが、これだった。


「すみません、本当に。もうなんて言っていいか...」

母の弟。つまり叔父の家に居候。

居候だよ、居候!

下宿代くらい出せ、あたしの両親!!

「ははは、姉さんはいつも思いつきで生きていたからな。大丈夫。気にしないでいいから。妻は娘が欲しかったらしくてね。でも、ウチは息子しか居ないから喜んでいるんだよ。とにかく、まず部屋に案内しようね」

叔父さんは悟りきった爽やかな笑顔であたしに用意してくれた部屋に案内してくれた。

母と同じDNAを持っているとは思えない...

ちなみに両親と妹はあたしをあっさり残して父の転勤先へと向かいました。


「うわぁ...」

部屋に案内されて思わず声が漏れる。

何、この大きな部屋は!?

「どうかな?気に入らなかったら別の部屋にしようと思っていたんだけど...」

気に入らないなんてとんでもない!

「いえ。本当にいいんですか?こんな大きな部屋を...」

「いいよ。昔姉さんが使っていた部屋だからね」

と叔父さん。

今何と!?お母さんはこんな広い部屋で過ごしていたの??

こういうところを見てしまうと母が非常識な発言をしまくるのも何となく諦めがつく。

だって、この部屋の大きさ、庶民には『非常識』だと思うもん...

「そうそう。ちゃんは紳一覚えてる?」

「ええ、私のひとつ下の...」

「そう。あの子もちゃんが来るのを楽しみにしていたんだよ」

長い間会っていないから、今どんなになっているのか全然想像がつかない。

確かバスケをやっていてそれはそれは有名人だとか。そんなことを母が言っていた。

「そうですか。当分会っていないから私も楽しみです」

お正月やお盆は部活や合宿があると言って都合がつかず、もう何年も会ってない。

「そう。夕飯には間に合って帰って来れないらしいから、帰ったらこの部屋に挨拶に行くように話しているんだ。あまり遅くならないとは思うけど、良かったら話してやってくれないかな?」

叔父さんにそう言われて「はい」と頷いた。

正直、どんな感じに成長したかが楽しみだ。


夜、部屋をノックされる。

「はい?」

返事をしてドアを開けると巨大な壁が...

姉さん」

...

......

「え、紳一!?」

実はあたし、紳一って呼び捨てなんだよね。叔父さんたちと紳一のことを話すときは『くん』付けなんだけど。

一応、それは礼儀としてね。

「そう、俺。話は聞いたよ。今回は災難だったな」

そう言って低く笑う。

え、何ですか。この人。

あたしの知っている紳一と別人ですよ!?

そんなことを思っていると

「どうかした?」

と腰を折って顔を覗きこんでくる。何を食べたらこんなに成長できるんだ!?

「な、何でもないよ」

「そうか?まあ、いい。じゃあ、これからよろしくな。大学卒業するまで居るんだろ?」

「いや、そこまで決めてない。自活できるようだったら出て行くし」

そう言うと紳一は目を瞠る。

「別にウチに居たっていいじゃないか。ここは余っていた部屋だし」

「まあ、納得のいく形をとらせてもらうよ」

そう答えておいた。

居候って形で何年も居られない。だったら家賃を払わせてもらうとかそういうことだって考えないと...

「そうか...」

と少し寂しそうに聞こえたのはあたし気のせいか。

「じゃあ、悪かったな。遅くに。おやすみ」

「うん。いつまでかは決まって無いけど、これから宜しくね。おやすみ」


勢いって大切ですね!
別の連載でも言いましたけど、コレ(笑)
スラムダンクでは神さんが一番好きだと思っていました。
でも、蓋を開けてみれば、思い浮かんだのは牧さんでしかも連載。
誰か、私に短編の書き方のコツを教えてください...(切実)


桜風
07.1.9


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