| 体が大きくて物静か。学校では品行方正・成績優秀で通っているらしい。 落ち着いたその物腰は既に社会人のような雰囲気を醸し出している。 バスケのことしか頭にないっぽいくせに、周りを良く見ているし面倒見もいい。 そんな彼は年下の男の子。 全国大会で2位という堂々の成績を引っさげて紳一は帰ってきた。 それから少し部活が休みな日があるらしい。 名門校でそういう、長期の部活動の休みは無いだろうと思っていたから結構意外だった。 そんな休みの2日目。 夜あたしの部屋がノックされる。 「姉さん」 ドアの向こうから紳一の声がする。 「何?」 ドアを開けるとTシャツ姿の紳一が立っていた。 「姉さん、明日はバイトか?」 「明日は丸々オフだよ」 「誰かと約束は?」 「ないよ。大学の友達は殆ど帰省して、こっちにいないし」 そう答えると微かに嬉しそうな顔をして紳一が 「じゃあ、明日水族館に行かないか?」 と言ってきた。 え、何?どうしちゃったの、この子? 「水族館?」 「そう。水族館。魚、嫌いだったか?」 「いや。これと言って特にそういう感情は持ってないけど...突然だね」 「明日までだからな、俺の休みも。全国2位のお祝いに付き合ってくれよ」 自分でお祝いをねだるとは... 少しだけ呆れてしまったけど、そういうことを言う紳一がちょっと可愛く思えて 「おっけー。お姉さんがデートに付き合ってあげましょう」 と返事をした。 「じゃあ、明日9時ごろ家を出ような」 「9時?!早すぎない??」 「いいだろ。明日しかないんだし」 少し拗ねたように言う紳一。何、どうしちゃったの?いつものちょっとムカつく余裕綽々は何処に隠してるの?! 「はいはい。お祝いだしね。紳一の決めた時間でいいよ」 思わずそう言うと 「じゃあ、9時ごろに出ような」と言ったあと「おやすみ」とドアを閉めて行った。 まあ、休みの日だろうと何だろうと基本的に起きる時間を変えないようにしていたから朝早くに家を出るものそんなに苦じゃない。 約束の時間となり、紳一が部屋のドアをノックする。 「姉さん。そろそろ出よう」 「はいはーい」 しっかし、今の自分の格好を見て笑ってしまう。 何、従弟と出かけるだけでこんな格好してんの?自分で可笑しくなって笑ったけど、着替える時間はもうないのかも。 ドアを開けて外に出れば、紳一はTシャツにシャツを羽織るという感じのいつもの格好で。 でも、紳一は体格がいいからどんな格好でも堂々として似合ってるから羨ましい。 まあ、制服については、似合いすぎて危うくサラリーマンに間違われるんじゃないかと時々余計な心配をしてしまう。 あたしを見たまま紳一が固まる。 「ちょ、どうしたの?体の調子悪いの?」 「い、いや。行こうか」 少しヒールのあるサンダルを履いて出たものだから、歩くのが遅くなる。 何度も紳一に置いていかれそうになって小走りしていた。 紳一も気付くとあたしが居ないという状況に呆れたのか 「手、繋ごう」 と言ってあたしの手を取る。 「これならはぐれずに済むだろう?」 あたしは 「はい...」 と答えることしか出来なかった。 だって、紳一の手は大きくてあったかいから。 前に試合会場から帰るときちょっとだけ繋いだけど、今は何だかあの時とは違う感じがする。 全国2位のチームを率いたキャプテンだからか、ベスト5に選ばれた選手だからか。 それとも... 答えを出す前に紳一に声を掛けられて考えが散っていった。 そのことに、少しだけほっとしたあたしがいた。 |
ヒロイン、牧さんとデート。
きっと凄く可愛らしい服を着たんだと思います。
うん、そうしてほしいかも(笑)
桜風
07.1.24
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