| 体が大きくて物静か。学校では品行方正・成績優秀で通っているらしい。 落ち着いたその物腰は既に社会人のような雰囲気を醸し出している。 バスケのことしか頭にないっぽいくせに、周りを良く見ているし面倒見もいい。 そんな彼は年下の男の子。 叔父さんは会社の社長さんで、叔母さんはその奥さんとして社交界っての?によく顔を出すらしい。 昔は紳一も一緒に行っていたらしいけど、中学に上がってからは全然そういうのに行くことはなくなったとか。 部活が非常に忙しいらしいし、そういう席は好きじゃないという。 あたしには全く分からない世界だけど、聞いただけで判ずれば、窮屈そう。 あたしには向かないね。 そう言うと 「だろうな」 と紳一が同意した。 ああ、そうとも。気品とかそう言うの持ってないもん! 牧家に居候(未だに抵抗あり)させてもらって数日経ったけど、叔父さんたちと夕食を一緒に食べたのなんて2回くらいしかない。 朝食は、まだもう少し多いけど、それでも家に居ることの方が本当に少ないみたいだ。 「昔からこんなもんだよ」 独りで食事ってのが何だかもの寂しかったので最近は紳一が帰ってきて一緒に食事をするようにしている。 『昔からこんなもん』と紳一は言うけど... あたしの家は、父が夜遅くなることが時々あったけどそれ以外は家族揃って食事していたし、そういうのが当たり前となっていた。 食事中は賑やかで、少しうるさいくらい。でも、母が食事のマナーにうるさい人だったからお行儀が悪くは無いと思う。 こういうところは母に感謝。 「ねえ、紳一」 「ん?」 食事をしながら話をするのは行儀が悪いかなってちょっと思ったけど、家族団欒って食事中に行うものではないだろうか? 「学校どう?」 いつも家で母に聞かれていたことを聞いてみる。 「どうって...普通だよ」 「普通って?」 「んー...新入生が入ってきたな。入学が決まったとかでちょっと前から部活に顔を出してたやつはいたけど、新入部員が揃ったな」 「新入部員?バスケ部?」 「それ以外の話は俺には出来ないな」 と言って小さく笑う。 可愛くないなー! 「んで?筋のいい子とかいるの?キャプテンとして認めれる子とか」 「そうだな」と言って手を止めて考える。 「清田、とかって賑やかなルーキーが、まあ使えるかもな」 「え、その子だけ?」 「まあ、ウチは2・3年も多いから。ルーキーでいきなりレギュラーってのも少ないんだよ」 聞いたことがある。 何でもバスケ部が凄く強くて、専用の体育館があって、部室も凄く整備されているって。 でも、どれだけ強いのかは分からない。 「ふーん...ねえ、紳一」 「何?」 「バスケ、楽しい?」 「まあ、それだけじゃないけど。楽しいよ。今のところ、バスケが無い生活は考えられないくらいにな」 そんなバスケに対する最上級の告白をやってのける。 「ふーん...」 今までそんな夢中になれるものに出会ったことの無いあたしはこんな風に何か好きなものを思い浮かべて優しく笑うことなんてなかった。 正直、今の紳一に嫉妬してしまう。 「姉さんは?」 「何が?」 「学校、というか大学か。どう?」 「ああ、うん。まだ良くわかんないや」 そう言ってはははと笑う。 何だか非常に自分が情けなく感じた。 「ねえ、紳一」 名前を呼ぶと目で続きを促される。 「今度試合ある?」 「練習試合でもいいのか?紅白試合はあるけど、そういうのはパスだろ?」 「うん、身内の試合じゃなくて。うーん、おっきい大会とか」 「じゃあ、もう少し先だな。IHの予選が始まらないと」 「そっか」 「試合の日が決まったら教えるよ。その代わり、ちゃんと応援に来てくれよ」 自信に満ちた笑顔でそんなことを言う。 「うん。その前に、ルール教えてね」 あたしの言葉に紳一が絶句したのは言うまでも無い。 |
牧さんも一応高校3年生ですから。
可愛くないことのひとつやふたつ言いますよね。
見た目が既にサラリーマンでも、まだ子供ですから!(笑)
桜風
07.1.11
ブラウザバックでお戻りください