手を繋ぐ





体が大きくて物静か。学校では品行方正・成績優秀で通っているらしい。

落ち着いたその物腰は既に社会人のような雰囲気を醸し出している。

バスケのことしか頭にないっぽいくせに、周りを良く見ているし面倒見もいい。


そんな彼は年下の男の子。



バスケの基本を叩き込まれて、いざ今年度最初の紳一たちの公式試合を見に行った。

...つまらなかった。

何、バスケってあんなのなの?!

家に帰ってきた紳一にそう言うと

「まあ、今日のは大差が着きすぎたからな」

と困った顔をして笑う。

「だって、紳一ちょこーっとしか出てこなかったじゃん」

「俺が出るまでもなかったからな。次はトーナメントじゃなくてリーグ戦だしベスト4だからもっと見応えのある試合になると思う」

そこまで言うなら次を見てあげようじゃないか。


そして、ベスト4たちによるリーグ戦が始まった。

行ってみるとやはり会場には『常勝』という大きな旗が掛けてある。

紳一が客席を見上げていた。

ぐるりと見渡して、目が合う。

手を振ってみると、紳一は少しだけ微笑んだ。

でも、それは一瞬ですぐに家では中々見ることが出来ない、鋭い表情に変わった。

ああ、紳一にこんな顔をさせるのはバスケだけなんだなってちょっと残念な気持ちになった。

試合は白熱したものになった。

紳一は本当に楽しそうに赤い髪の男の子と対峙し始めたけど、そんな中。きっと彼の人生では初めての言葉を掛けられる。

対戦相手の子にOB疑惑を持たれたのだ。

うん、何と言うか。フォローできない...

そして、その言葉を受けて紳一の言った言葉は

「赤木の方が老けてるぞ」

と。

...気にしてたんだ。

社会人になったらそんなの気にならないよ。

寧ろ、年を取っていくたびに若返るよ...

とはいえ、これもフォローにならないから黙っておこう。試合は接戦の末、何とか紳一の学校、海南大附属高校が勝利を収めた。

『常勝』の言葉通りに。


会場の外で待っていたら紳一と合流できるかなと待っていると、紫色のジャージを着たメンバーがぞろぞろと出てきた。

どうでもいいけど、皆何食べて成長してんの?!

紳一サイズがあまり大きく思えない。

もうこんだけ大勢居ると紳一を見つけるのが大変そうだし、一人で帰ろう。

駐車場を抜けたところで突然腕を掴まれた。

ビックリして思わず声が漏れる。

「もう、紳一かぁ」

振り返ったらいつも家で見る顔がある。

「ああ、驚かせたか。悪い」

「ううん。どうしたの?学校に戻るんじゃないの?何かそのジャージを着た人たちがぞろぞろと同じ方向に向かってたじゃん」

「一応、現地解散だ。練習したい者は学校に戻って練習となってる」

「じゃあ、紳一も」

「いや。俺は帰るよ」

「いいの?キャプテンが」

「いいんだよ。ほら、姉さん。帰るぞ」

そう言ってあたしの手を引いていく。

紳一と手を繋ぐのなんて何年振りかな?

小さいときはよく「姉ちゃん」ってあたしの後ろを着いて来てたのに。

今はその逆で紳一があたしの前を歩いている。

いつの間にか、体も手もあたしより大きくなって...

そう思うと感慨深い。

でも、これを口にすると「年寄りくさい」とか言われそうだから私の胸の内に仕舞っておくことにした。


「赤木の方がフケてるぞ」はアニメで見たとき大爆笑で、
更に追い討ちを掛けるように神さんが「気にしてたんだ...」と
突っ込んだのでそのまま爆笑が続きました。
ああ、懐かしいなぁ...
その後から髪を降ろして多少若返りましたよね。
髪を降ろしているほうがステキですよ、牧さん!


桜風
07.1.12


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