お友達




体が大きくて物静か。学校では品行方正・成績優秀で通っているらしい。

落ち着いたその物腰は既に社会人のような雰囲気を醸し出している。

バスケのことしか頭にないっぽいくせに、周りを良く見ているし面倒見もいい。


そんな彼は年下の男の子。



大学に入って結構経つ。

もういい加減授業のシステムとか覚えたし、友達も出来た。

友達に誘われてよその学部の男の子たちとの合コンにも参加した。

その末に彼氏と呼べる存在もできた。

でも、大学生活は想像していたような輝かしいものではなく、高校のときと基本は変わらない。

意外につまらないものだ。

前に見た紳一のように目を輝かせて語れる何かが見つかったわけでも無い。

正直、無為に時間が流れているといった感じだ。

これは、アレだ。

バイト。

バイトとか始めたらいいと思う。

一応大学に慣れるまでは、と思って控えていたけど。

流石にデートするにも何にしても、結局はお金が必要だ。

バイトをして収入があれば多少でも下宿代を払おう。

一応、両親は学費だけは全額出してくれるし。


アルバイト情報誌を買って牧邸に帰った。

今日の最後の授業は教授の都合により休講になったので、途端に時間が空いてしまったのだ。

家に帰ると、家政婦の森村さんが買い物に出て行くところだった。

家のことは、殆どがこの森村さんがやってくれる。

今日の叔母さんの予定は、何処かのお偉いさんとの会食とか言っていた。その前に美容院に寄ってとか今朝言っていたからもう出たんだと思う。

部屋に帰って荷物を置き、ベッドの上で目ぼしいバイトにチェックを入れる。

あ、でも。

一応叔父さんに言ってから始めたほうがいいのかな?置いてもらってるんだし、意見は聞いたほうがいいよなー。

そう思っていると少し賑やかな声が外から聞こえる。

窓から覗いてみると、そこには紳一とあの試合で見たバスケ部の人が2人。

紳一の友達かーと思って部屋を出た。

取り敢えず、お茶くらい出してあげないとね。


紳一とそのお友達は紳一の部屋に居るらしい。

紅茶を淹れてクッキーも発見したため、それも一緒に持って行く。

あれ?それにしては今日は帰って来るのが早いなー...

ノックをしてドアを開ける。

紳一は驚いた顔をして一瞬眉を寄せた。

何だコノヤロ。可愛くないぞ!

「こんにちは」

取り敢えず、紳一の友達の心象を悪くしてはならんと思って笑顔で挨拶をすれば、一人が態々立ち上がって

「お邪魔してます!」

と勢い良く90度の角度で礼をする。

うわ、礼儀正しい。何、海南ってそういう挨拶の仕方なの?

「お邪魔してます。...こら、信長」

もうひとりは笑顔で挨拶をした後、少したしなめる感じに隣に座っていた男の子が服の裾を引っ張って座らせようとする。

「ねえ、紳一。これ」

手に持っていたお盆を渡すと

「ああ」

とやはり少し不機嫌な声で返事をする。

何?私何か悪いことした?

この子達にお茶出しちゃダメだったの?もしかして、紅茶ダメだった!?

姉さん、もういいから」

邪魔そうにあたしを見る紳一にかなりムカつくけど、あたしの方がオトナ。

「はいはい。ごめんね、邪魔して」

そう言って部屋を出た。

何なんだ、牧紳一め!


部屋に帰って、クッションを投げる。

ああ、物に当たるなんて全然オトナじゃない...


清田は勉強できない子だと思います。(失礼)
バスケ推薦で海南に入学。その後、勉強についていくのがさあ、大変。
秀才神さんに勉強を見てもらうも、中々頭に入らず。
赤点の危機に、バスケ部キャプテンが手を貸してくれたという感じで。


桜風
07.1.15


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