| 幼い頃から憧れていた。 一緒にいたくて必死に後ろを着いて歩いていた。 久しぶりに再会した彼女は何だか頼りなく感じる反面、綺麗になったことに少なからず戸惑いを覚えた。 そして、俺が彼女へ向ける想いが変わっていることに気付く。 どうしようもなく焦りを感じてしまう自分に気付き、更に子供だということを実感してしまう。 たったひとつの年の差がこんなに大きなものだと気付かされて、打ちのめされることも少なくない。 清田が今度の期末テストがやばいと嘆いている声が聞こえた。 流石に部活をしすぎて赤点だなんて理由は許されない。 取り敢えず、そういうやつにレギュラーなんて、という話になる。 それはこちらとしても痛手だし、得になることなんてない。 溜息をひとつ吐く。 縋られているのは2年の神。 神も成績優秀だし、清田の面倒を見ているからここでも頼られているんだろう。 そして、その神と目が合った。 仕方なく、俺は頷いた。 これが、今朝の話。 放課後からは部活動が禁止となる。 一応、学生の本分は学問だから、テスト期間中は例に漏れずバスケ部も活動を制限される。 一応禁止だが、自主練に関しては黙認されている。まあ、全国区だから。 取り敢えず、清田と神を率いて家に帰って勉強会をすることにした。 図書館とか外でしてもいいが、清田の集中力が切れたとき騒ぎ始めそうで、そういう公共施設でだと周囲に迷惑をかけかねない。 この意見には神も賛成らしく、すんなり頷いた。 家に帰るとまず門のところで清田が騒ぎ出す。 「うおー!でかいっスね牧さんの家って!!」 「そうか?いいから入れ」 適当に流して玄関を開けるとそこには姉さんの靴しかなかった。 母は今朝何か言っていたから出かけたのだろうし、父が今の時間に帰っていることはありえない。 不思議なことといえば、家政婦さんの森村さんの靴が無いことと、その代わりにあるのが姉さんの靴があること。 大抵毎日俺の方が家を早く出るし、家に帰るのも俺の方が遅いから姉さんの帰宅時間なんて知らないが、それでも、以前聞いた話によると最後の授業が終わる時間は俺より少し遅いし、学校も遠いからまっすぐ帰った俺よりも早く家に着くはずがない。 とはいえ、姉さんが出てこなければいいんだ。 そう思って清田たちを促して自室へ帰った。 「部屋もでかい...」 ドアを開けると清田は唸るように呟いた。 「テーブルを寄せるか」 「手伝います」 普段使わないテーブルは部屋の隅に放置している。 それを座りやすい位置に神と運び、適当に座らせる。 しかし、今日は暑い。 飲み物でも、と思っていたら部屋のドアをノックする音が聞こえた。 森村さんでも帰ってきて玄関の靴を見て差し入れでも持って来てくれたかと思っていたら、入ってきたのは姉さんだった。 「こんにちは」 と姉さんが笑顔で挨拶をすれば、清田が態々立ち上がって 「お邪魔してます!」 と勢い良く90度の角度で礼をする。 何なんだ、清田のこの態度は。 「お邪魔してます。...こら、信長」 神は笑顔で挨拶をした後、少したしなめるように隣に座っていた清田の服の裾を引っ張って座らせようとする。 「ねえ、紳一。これ」 手に持っていたお盆を差し出してくる。 「ああ」 全く、なんで姉さんが持って来るんだよ... ふと見上げると何だか心配そうに盆の上の紅茶を眺めていた。 何を考えているか良く分からんが、 「姉さん、もういいから」 早くこの場から去ってほしくて愛想なく退室を促した。 「はいはい。ごめんね、邪魔して」 そう言って部屋を出ていった。 「牧さん、今の誰っスか?」 興味津々で清田が聞いてくる。 「従姉だ」 「うわ、綺麗な人っスね」 姉さんが出て行ったドアをウットリ眺めながら清田が呟く。 だから嫌だったんだよ。 ったく、何で清田は赤点を取りそうなんだ!! 筋違いとも言える怒りが清田に向く。 いや、筋違いというほどでも無いか... 何と言っても、海南バスケ部で赤点の危機を抱えているのは、この清田だけだ。 少し、厳しくしておくか。もう二度とうちに来たくないと思うくらいに。 自分の心の狭さが多少嫌になるが、これくらい仕方ないだろう。 |
どんなに威風堂々としていても高校生。
ということで青臭さが欲しくて牧さん視点。
間が悪いというか、素直というか。清田はこんなポジション。
そして、神さんは素早く状況を把握して君子危うきに近寄らずタイプだと思う。
桜風
07.1.16
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