with you





私は何で彼と一緒に居るのだろう?

そんな疑問が頭の中でグルグルと回っています...



2年の学校行事の最大のイベントといえば修学旅行。

というワケで、やって参りました。京都!

クラスごとの班行動だけど、例によって例の如くそういうのは無視してお互いトレードしてたり。

私の班も別のクラスの仲良しと回るとか、彼氏と一緒に過ごすとか。そんなこんなで私独り。

え...独り!?

「あれ?さん?」

不意にそう声を掛けてきたのは隣のクラスの

「仙道くん...?」

何故彼が私の名前を知っているのかが気になるけど、仙道くんが独りだというコトも少しだけ気になった。

「どうしたの?クラスの子は?」

「他のクラスの子と回ったり、彼氏と回ったり。好きな子の班に入りにいったり。そんな感じで、いつの間にか置いてけぼりなんだ」

そう言うと仙道くんは少し眼を丸くして、そして笑った。

「じゃあ、一緒に回ろうよ」

ビックリして返事が出来ないでいると

「もしかして、一緒に回りたい人が居るとか?」

と聞かれた。

首を左右に振ると

「じゃあ、いいでしょ?」

そう言って手を引かれた。

「え、でも。仙道くんの班は?」

「居心地が悪くてさ」

仙道くんの班も知らない人が沢山混ざったようだ。

「友達は?福田くんとか、越野くん。植草くんも」

「あいつらにだってクラスに友達が居るし。約束もあるんじゃないかな?それとも、俺と一緒に歩くの、イヤ?」

「いや、じゃない...」

けど、緊張するのよ...

飄々として掴み所がなけど仙道くんはバスケ部のエースでキャプテン。学校内でもかなりの人気者。

そんな人気者の彼と一緒に歩くって自分的にはどうなんだろうって思う。

しかし、私がそう思っていても仙道くんはさっきの私の返事に気を良くして再び私の手を引いて歩き始めた。

私も諦めて仙道くんに並んで歩いてたけど、少し歩いてて「あれ?」って思った。

仙道くんと歩いてるのに、全然きつくない。

これだけの身長差だったら少しくらい早歩きになると思ってたのに。

見上げると仙道くんは「ん?」と首を傾げる。

「歩くの遅くない?」

「いいや、丁度いいよ」

そうやってにっこり微笑むから思わず見惚れてしまった。

「やだな、そんなに見つめられると照れるじゃないか」

という仙道くんの言葉に、ハッと我に返って視線を逸らした。

そんな私の隣で仙道くんは笑っている。

「笑いすぎ!」

「だってさあ...」

中々笑いが止まりそうにない仙道くんを放っておいて私は目的地へと足を進めた。

「待ってよ」

そう言って仙道くんが私の手を取って握る。自然と手を繋ぐ形になったことに多少なりとも困惑するし、心拍数も早くなる。

仙道くんはそんなの全然気にならないのか、終いには繋いだ手を前後に振り始めた。浮かれた子供みたい。

体はおっきいけど...

色んな神社仏閣を回って、バスで移動して。

そう!バス移動のときも仙道くんは凄いと思った。

まずは私に席を譲ってくれて、更には自分が座っていた席を凄くさりげなくお年寄りに譲る。

私より気が利く人だと思った。何となく、敗北感...

そうやって騒ぎながら2人だけで回り、あっという間にホテルに戻らないといけない時間になった。

大人しくホテルに戻って、ホールであっさり別れる。

そのあっさり感が余計に寂しさを強調した。

仙道くんとはクラスが違うし部活動だって違う。もう、接点がない。

部屋で待っていると友達も帰ってきた。

何人かが私と仙道くんが一緒に歩いているのを見たと言って詳細を聞いてきたけど、隠すほどのことなんてなかったから、普通に話した。


食事が終わってお風呂も済んで部屋で騒いでいると何人か男の子が遊びに来た。

その中になぜか仙道くんが居て...

皆でカードゲームで盛り上がっていると仙道くんがチョイチョイとトレーナーの裾を引く。

「何?」

「抜け出そうか?」

突然の仙道くんの提案に答えあぐねていると、

「こっちは誤魔化してくれるように話がついてる。行こう」

そう言ってカードゲームに盛り上がってる皆の目を盗んでこっそり部屋を出た。

先生の目を盗んで少しスリルのある冒険へと出かけた。

「寒くない?」

昼間に比べて気温が下がってる。

「少し」

「上着、持ってくれば良かったな」

「仕方ないよ。そんな充実した装備だったら抜け出せないし」

そう言うと仙道くんは笑って「たしかに!」と同意した。

そして、大きな手で私の手を包む。

「少しはあったくならない?」

「うん、あったかい」

少しどころか。またしても緊張してしまって体温が上がる。

「何処行くの?」

「えーと、確か...」

呟いて歩き始めた。

仙道くんに手を引かれてあること30分。

先ほどから仙道くんの口からは「あれ〜?」という言葉ばかりが零れていた。

「迷っちゃった?」

「え。いや...大丈夫!」

少し目を泳がせて仙道くんは言い切った。

まあ、確かに。仙道くんが居たら大丈夫な気がするし。


そして、ようやくたどり着いたところから見える夜景に私は思わず声を上げる。

「すごーい!」

「でしょ?地元の人でもあまり知らないスポットなんだって」

「え、それなのに仙道くんは知ってるの?」

「京都に詳しい知り合いが居たからね。良かった、たどり着けた」

そう言う仙道くんは心からほっとした顔をしていた。

「ありがとう、仙道くん」

そう言うと嬉しそうに笑った。

「ねえ、何で私をこんなステキな場所に連れて来てくれたの?」

不思議に思って聞いてみた。

仙道くんは視線を外してポリポリと鼻の頭を掻く。

「...さんに見てもらいたいって思ったからかな?」

そう言った。

そして、

さんは、何で俺と一緒にホテルを抜け出そうと思ったの?」

と聞いてきた。

ちょっとだけ視線を彷徨わせたあと、深呼吸を1回して

「仙道くんと一緒に居たかったから、かな?」

と答えた。

仙道くんは少し眼を大きくして驚いた後、

「じゃあ、俺と一緒だ」

そう言って笑った。

その笑顔につられて私も笑う。

少し肌寒い風が吹いていたけど、それが気にならないくらい暖かい気持ちになった。













桜風
07.4.11


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