休み時間。
が先生に頼まれて教室へ資料を持って行く途中、廊下の角で誰かとぶつかった。





=偏見=






「っ、痛ぁ」

「ご、ごめん、さん」

思いっきりしりもちをついてしまった私は、
お尻をさすりながらぶつかった先を見ると、
バスケ部の宮益くんが尻餅をついてびっくりしていた。
しかし、目があった瞬間宮益くんはふと立ち上がって私に手を出して

「大丈夫?どこか強く打ったりしてないか?」

と優しい言葉をくれるが、自意識過剰とか勘違いじゃなければ
何となく目がおびえているような気がする。
そんなにバスケ部では私の事を恐れているのか?
気のせいじゃなければいいのだけど・・・。

「あ、大丈夫だから。ありがとう」

私はそういって差し出してくれた手をとるとぐっと引き上げられた。
自分より小さな男の子なのにいとも簡単に引き上げてくれる事にびっくりしていると、

「ごめん、これ授業で使う資料だよね」

といって今度は床にぶつかった衝撃でばらまいてしまった床の資料を集めて手渡してくれた。
その行動の素早さにはさすがバスケ部と感心しながら自分は何も出来ずにぼうっと見ているだけ。
同じクラスになった事もないし、バスケ部って知ってはいたけど練習をのぞきに行っても目立たないし、
昔の妹を見ていたときのように、『頑張ってるなぁ』という感覚で受け止めていただけだったので、
こんな風に素早い行動をするとは全く考えてはいなかったので、
ただ、『ありがとう』といって受け取るだけだった。

「本当に大丈夫?」

宮益くんはぼうっと突っ立っていたを今度は心配そうに見上げていた。
でもなんだか私に対して恐怖心があるのかやっぱり顔がこわばっている。
きっと、牧君や神君のせいなんだ。こんどとっちめてやらなくてはと思いながら、

「うん、大丈夫。だけどなんか怖いモノみたみたいな顔をしないでよ」

と苦笑いしながら首をすくめた。
すると宮益くんは慌てた様子で

「あっ、ごめん。いつも牧達と話しているのを聞いてるとさんってすごい人なんだと・・・」

という答えが返ってきた。

「すごい?」

「うん、バスケ部というくくりがなくても何かと一癖あるあいつらを、
 いとも簡単に丸め込んでるからさ、凄みのある人なんだと思って、
 ちょっとビビってたんだ。ごめん、すごい偏見だね」

宮益くんはそういってずれたメガネをかけ直した。

「あでも、あたしも宮益くんてみたいにもっとぼうっとしていて、
 すこし鈍くさいのかなって思ってた。ごめんね、私もすごい偏見」

そう言って笑うと、

「あはは、仕方ないよタッパも小さいし、こんなメガネだしね。でも一応これでも背番号もらってるんだよ」

と彼は笑いながら教えてくれた。
その表情には本当に真面目でまっすぐな人柄をにじみ出していた。
それにしても背番号とはすごい、ベンチ入りしているという事じゃない。
初めて知ってびっくりした。
すると、

「まぁ、試合にはほとんど出る事はないんだけどね」

と言ってまた笑った。

「でも、それでもあの部員数の中で選ばれるってとてもすごい事だと思うよ。
 だってそれだけ努力をしたという証拠じゃない。それってとても尊敬できるよ」

そう言っていると、チャイムの音が聞こえてきた。

「ほめてもらって嬉しいよ。それじゃ、本当にごめん」

そう言って宮益くんは頭をわたしに頭を下げた。
私も慌てて『こちらこそ、ありがとう、ごめんなさい』と頭を下げながら言うと、
危うく再び資料をばらまきかけた。

「びっくりした。危なかったぁ」

「本当に大丈夫?案外とおっちょこちょいなんだな?」

「うん、タッパばかりでこう見えても運動神経ゼロです」

 

宮益くんにそういうと彼はあははと笑ってもう一度それじゃと教室に戻っていった。











『Orange Tea Time』のチアキアスカさんからいただきました。
当家の神連載『恋すてふ』のヒロインのお姉ちゃんが今回の主役です。
チアキさんが彼女を甚く気に入ってくださって、書いてくださったものです。
このお話のお陰で、宮益は意外と『癒し系』若しくは『和み系』だと思いました(笑)


チアキさん、ありがとうございました!!


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