ある日、アルバイトに新人さんの男の子が入ってきた。名前は宮田一郎というらしい。
愛想なさそうだけど大丈夫かなと思って見ていたら、やっぱり愛想はないけど仕事を覚えるのが早い。
あまり人と係わるのが得意じゃないみたいだけど、話しかければ何らかの答えは返ってくる。
あたしと彼は結構バイトのシフトが一緒で話す機会も多かった。
「俺が持ちますよ、さん。」
苦笑しながら言われた。
「う..ん。お願い。」
あたしが重くて持ち上げることの出来なかった箱を宮田くんは軽く持ち上げる。
「さすが...男の子だわ。」
感心して呟くと箱を持ったままちょっと振り返ってフッて笑う。
その表情が凄く優しくて思わず顔が熱くなる。
時々こういう顔するんだよね...
しかし、ウチのコンビニは最近客足が減ってきている。近くにもう一軒コンビニが出来たらしい。
つまりお客が分散されたわけだ。
「暇だね〜。」
「そうですね。」
ボー、としながら呟くと同じく今日のバイトが一緒の宮田くんが相槌を打ってくる。
ちなみに今お客さんがいません。
「暇〜。」
もう1回呟くと宮田くんは苦笑を漏らした。
だって、暇でしょ?
「このままお客さんが減っていったら、ココ潰れちゃうよね。そうなったらまたバイト探さないといけなくなるなぁ...」
「それは困りますね。」
「そだね。」
そうなると、この先宮田くんに会えなくなっちゃうもんねぇ。
「そうなると、これからさんに会えなくなりますから。それは、困りますね。」
「あ?」
思わず間抜けな声が出る。
...うわぁ、あたしとうとう空耳まで聞こえちゃいましたか?
「俺はさんに会えなくなるのは、嫌ですよ。」
やっぱり空耳じゃなくて、宮田くんを見るとそれはからかっていってる言葉じゃないのがわかる。
だって、ねえ?顔赤いもん。
でも、
「どうして?」
どうも頭の中が整理できないから理由を聞くと、あたしを見ていた宮田くんが視線を逸らしてまっすぐお店の中を見ながら
「理由なんていりません、ただ好きなんです。」
なんて言う。
ストレートな告白に驚いたけど、
「そだね。理由なんて要らないね、好きなんだから。」
そう答えると、宮田くんはちょっと驚いた顔してあたしを見たけど、やっぱり優しくフッて笑った。
だからあたしもフッて笑い返してみる。
そう、好きってことに理由なんて要らないよね?
短いですねぇ...
タイトルが敬語だったので、迷わず宮田。
宮田の敬語って好きなんですよ、私。
こちらのお題は、書いていった順にアップしていきます。
桜風
04.7.24
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