今日は時間もあって、店番に出ていた。
店番って言っても大したコトがあるわけでもなく、ただぼんやりしていたら人の気配がして顔を上げると、がニコニコしてそこに立っていた。
「なによ...」
こっそり吐いたはずの溜息もには分かったらしく、ちょっと膨れっ面で聞いてくる。
「いいや、どうした?」
何でもなかったように声を掛けると、
「タツ兄は今度のお休み、暇?」
と聞いてくる。
...暇なことは暇だけど、でも、
「ガキのお守りをするような暇はない。」
と返した。
「え〜、いいじゃん。どうせ彼女もいないんでしょ?」
...青木の奴、今日のスパーでボッコボコにしてやる!!
そんなことを決心しながらゆっくりに顔を向けると、目を合わせないほうがいいと思ったのか、も俺とおなじ速さで顔を逸らした。
まあ、仕方ないのかな...
「わかったよ。んで?どこ行きたいんだよ。」
「ほら、最近出来たお店があるじゃん?あそこ。」
「ガキの行くところじゃねえな。」
別に行ってもいいけど憎まれ口を叩いてみると、
「いいじゃん。一緒に行こうよ、タツ兄。」
腕をつかまれてぶんぶん振られる。
「わかった...」
結局、俺はに甘いんだよな〜。
は小さいときから知っている。4つ下で、何故か俺には懐いて、青木には懐かなかった。俺も、いつも俺の後ろを一生懸命てとてと付いて歩くを可愛がっていた。
でも、俺はだんだんを構わなくなった。
だって、俺と仲良いって噂になったらあいつ、大きな誤解を受けることになるだろ?
は素直で、明るくて。そんな子が俺みたいなのと仲良くしてたら絶対に良くない、そう思ってた。
それでもは俺を見かけたら笑顔で声を掛けてきて...
そして、困ったことにだんだん『ガキ』じゃなくなっている。
そして、約束の日にを迎えに行く。
満面の笑みで玄関から出てきたに
「んじゃ、行くか?」
そう言って先を歩いた。
...お、驚いたぁ。女ってやっぱり凄いかも...
は俺の後ろを足取り重く付いてくる。
「ほら、が行きたがってた店だろ。どうしたんだよ。」
「うん...」
は気の無い返事をした。
何か、ちょっと悪かったかなって思う。
今日のの格好はかなり頑張ったのが良くわかる。
見た瞬間危うく「可愛い...」って口走りそうになったほどだ。
でも、今更それが照れくさくて口に出来なかった。
そんなことを考えているとだんだんも買い物にノッテきた。
―――そして、延々待たされる俺。
買い込んだものを持ってやり、並んで帰りながら
「やっぱり、も女だな。」
今日の感想を呟く。
が嬉しそうに顔を上げてくるから慌てて
「買い物が長ぇ...」
と言っておいた。
そしたらの足取りは行きと同じく重くなり、だんだん俺との距離が開く。
少し歩く速度を落としてに並び、
「70点。」
辛口評価をしての頭に手を置いた。
がきょとん、と顔を上げるから
「あと30点だな。2、3年くらいなら待ってやるよ。」
答えてやる。
そして、こんなことを言ってしまった自分に照れてしまい、の少し先を歩く。
本当はもっと点をやっても良いんだけど、でも、今は70点。
2、3年ってのは本当は俺につけた期限。本当はに待ってもらいたい時間。
それまでに俺ももっと頑張らないとな。
でもまだ、誰にも言えない、こんなことは。そう、、お前にも。
お題11ときのキム兄さんの心情はこうでした。
キム兄さんも実はイッパイ、イッパイだった模様...
桜風
04.11.3
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