あたしは小さいときから面倒を見てくれている所謂『近所のお兄ちゃん』が居る。
凄く昔はとても面倒見が良くて、そして、今では花屋『木村園芸』の看板息子。
ちょっと遠くからタツ兄と話がしたくてやってくるお姉さんたちだって居る。タツ兄は自分に向けられる好意に意外に鈍いけど、あたしはちゃんと知ってるんだ。
タツ兄は、途中やんちゃだった時期があったけど、そんな時もあたしは面倒を見てもらえてた。
今でも『妹』である強みがあるから構ってもらえる。
それが、いいコトかわるいコトかは何とも言えない。
タツ兄に彼女が出来るたびに落ち込むし、だからと言って振られたタツ兄を見るのは何だかイヤだった。
他の人には沈んでる姿を僅かにでもみせるクセに、あたしには絶対にそんな姿を見せない。
それは、あたしがタツ兄と対等でない証拠。
それが悔しくて、あたしはタツ兄が振られたことをからかう。
お陰であたしは小生意気な近所のおチビさん。悪循環が続いてるってのは分かってる。
でも、やっぱり構って欲しくてタツ兄の傷つく言葉を口にするあたしは子供だと痛感する。
「」
「ん?あ、ああ。タツ兄。どうしたのー?」
振り返るとそこには木村園芸店のエプロンをつけたタツ兄がいた。
「どうしたのー?じゃねぇよ。さっきから『』って呼んでるのに振り返らないから別の人かと思ったじゃねぇか」
「ごめんねー。あたしこう見えても悩めるお年頃なの〜」
「あっそ」
タツ兄は半眼になってつまらなさそうに応える。
「タツ兄は、どうしたの?」
「配達。近いから歩いて届けにいったんだよ。帰りは走ったらいい運動になるし」
「ウワー、ナンダカサワヤカスポーツセンシュミタイデスネー」
「適当に言ってんなよ」
笑いながらタツ兄はあたしのおでこを小突く。
「いったー!暴力反対!」
「こんなん暴力の内に入らねぇよ」
笑いながらそういうタツ兄の顔にドキッとした。
「ん?どうしたよ。え、ホントに痛かったのか?ちょ、ごめん。大丈夫か」
俯いてるといきなり慌てだすタツ兄。
「アイスが食べたいなー」
そう言って顔を上げる。心配そうにあたしの顔を覗き込んでいたタツ兄は眉間に皺を寄せて「ったく」と呟いた。
「コンビニアイスだぞ」
「ありがとー、タツ兄。大好きー!!」
「へいへい」
いつか、こんな冗談交じりではない本当の言葉を伝えたいよ。
たくさんの好きと、たくさんの愛を、あなたに。
またしてもこの2人。
えーと、いつだろう...
以前のデートよりは前の話くらいです(笑)
桜風
07.3.5
ブラウザバックでお戻りください