11.今だけは背中を見ててあげるけど、いつかは





今日は暇なのか、タツ兄が店番している。

あたしがお店に入ると一瞬営業スマイルを浮かべるけどあたしだってことが分かったら溜息を吐いた。

「なによ...」

「いいや、どうした?」

「タツ兄は今度のお休み、暇?」

聞いてみると、

「ガキのお守りをするような暇はない。」

とつれない言葉が返ってくる。

「え〜、いいじゃん。どうせ彼女もいないんでしょ?」

そういうとタツ兄がピクリと手を止めてゆっくりこっちを見るからあたしはゆっくり顔を逸らす。

...地雷だったかな?

怒られるとか、追い出されるか思ったけど、結局溜め息が聞こえるだけで雷もチョップも落ちてこなかった。

「わかったよ。んで?どこ行きたいんだよ。」

「ほら、最近出来たお店があるじゃん?あそこ。」

「ガキの行くところじゃねえな。」

やっぱり、言われると思った言葉が返ってきた。

しかし、そんな言葉でめげるあたしではない。

「いいじゃん。一緒に行こうよ、タツ兄。」

腕を掴んでぶんぶん振りながらねだると

「わかった...」

半ば諦めた声で了承してくれた。


あたしは小さいときはタツ兄に可愛がられていた。

タツ兄が友達と遊んでいるときも仲間に入れてと駄々こねたら手を引いて遊んでくれた。あたしが苛められてたら全然自分が不利なのにタツ兄が守ってくれたこともある。

でも、タツ兄が大人になるにつれてあたしに構ってくれなくなった。

そして、あたしのことを『ガキ』って言うようになった。

そりゃ、あたしはタツ兄より4つも年下だけど、もう高校生なんだよ?

日本の法律でいうと結婚できる歳なんだよ?

でも、まあ、そう主張してみてもきっと

「でも、ガキだ。」

っていわれるのがオチなんだろうな...



そして、今度のお休み。

「んじゃ、行くか?」

ウチに迎えに来てくれたタツ兄がそう言ってあたしの前を歩いていく。

...ちょっと、他に言うこと無いんですか?!

あたし、今凄く頑張ってるんですけど?

友達に色々聞いて、雑誌とかたくさん見て一生懸命おしゃれしてるんですけど?

やっぱりタツ兄にとってあたしは小さい頃から知ってる近所のガキなのかなぁ...


とぼとぼタツ兄の後ろを歩いて例のお店に着く。

「ほら、が行きたがってた店だろ。どうしたんだよ。」

「うん...」

正直、お店なんてどうでも良かった。

ただ、タツ兄に構ってほしかっただけ。恋人同士みたいにタツ兄と並んで歩きたかっただけ。

それでも折角時間を裂いてくれたタツ兄に悪いからお店での買い物を楽しむことにした。

とりあえず、半分は叶ってるもんね。


「やっぱり、も女だな。」

買い物が済んで帰っている途中にタツ兄が呟いた。

ちょっぴり嬉しくてタツ兄を見上げると、

「買い物が長ぇ...」

と溜息混じりに言われてがっかりする。

もっと、他の事で言ってほしいよね。


行きと同じくとぼとぼ歩いていると、隣を歩いているタツ兄が

「70点。」

と呟いた。

どうせちょっとタツ兄好みのきれいなオネエサンでも見つけて点数つけてるんだろうと思っていたら、ポンと頭に手を載せられる。

何事かと思って見上げると

「あと30点だな。2、3年くらいなら待ってやるよ。」

そう言ってあたしの少し前を歩く。


初めは何を意味したことか分からなかったけど、それを理解したあたしはその背中を見て不敵に笑ってみせる。


今だけは背中を見ててあげるけど、いつかは...

いつかは絶対その隣を歩いてやるんだから!

あと、2、3年後を楽しみにしててよね!!



お題第2弾はキム兄さん。
やっぱりタイトルでピンと来ましたね。
キム兄さんって結構『オトナ』なところがあると思うんです。



桜風
04.7.31


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