| リンゴーンと鐘が鳴った。 隣を歩くが足を止めて振り返る。それに倣ってラスティも振り返ると丁度教会から新郎新婦が出てきた。 宗教と言うものが無いこのプラントでは、こういう教会などは結局結婚式を挙げる会場という位置づけのみである。 昔は敬虔な信者がこういう教会で式を挙げて永遠の愛を誓ったのだと聞いたことがある。 「綺麗ねー」 ぼうっとしながら隣に立つが呟く。 「でもああいうのに憧れるんだ?」 「『でも』ってどういうことよ」 むくれるに「まあまあ」と言って宥めて歩き出す。 も慌てて歩き出した。 「ああいうのって、結局人に見せて..どうすんの?」 「『どう』って...お祝いしてもらうの?」 が首を傾げる。 「人を呼んで『お祝いして』っていうものなら、オレはあんまり興味ないなー」 ラスティがぼやくように言う。 自分達の幸せは自分達で決めればいい。 周囲に祝福されなければ相手を愛せないと言うなら、それは愛ではないだろう。 誰に祝福をされなくても、世界中が敵となってもその人を守りたい。 それが自分にとっての愛だ。 そして、その愛は隣を歩くこの... 「って、あれ?」 隣を歩いているはずの愛を捧げる相手が居なかった。 振り返ると彼女は足を止めて不機嫌全開の表情を浮かべている。正直、不細工面だ。 しかし、ラスティはそんなの気持ちがすぐに顔に出る正直なところも好きだから気にしない。 全く何を考えているのか分からないポーカーフェイスが恋人だったら大変だろうな、と思う。 「、どうしたの」 戻りながらラスティは声を掛ける。 しかし、彼女は俯いて何も言わない。 困ったな、とラスティは傍から見たら全く困ってなさそうな表情を浮かべたままポリポリと頭を掻く。 「」と優しい声音で名を呼ぶ。 しかし、彼女は頑なに俯いたままだ。 「顔を上げて」と言いながら彼女の両頬を手で包んで上を向かせる。 「オレは、今も昔も遠い未来もすぐ側ににいてもらいたいよ」 まっすぐ目を見ていうラスティに、は目を丸くした。 そして、みるみると顔が赤く染まっていく。 「ははっ、ってば可愛いな」 軽い口調でいうラスティに文句を言おうとしては思いとどまる。 その代わり、ラスティの腕をグッと引いた。 そんな不意打ちにラスティはバランスを崩してしまい、その隙をついては踵を上げて彼の唇に自分のそれを押し付ける。 勢い余ってコツンと歯が当たった。 「いて...」 は思わず声を漏らす。 カッコがつかなかったな、と思ってラスティを見上げると彼は呆然と自分を見下ろしていた。 「ははっ、ラスティも可愛いな」 唇が少し痺れていて少し舌足らずになる。 歯が当たったからか、それとも、自分からラスティにキスをしたからか。 いまだラスティは呆然と自分を見下ろしている。顔が赤く染まっているが、それは指摘しないであげようと思った。 此処まで動揺したラスティを目にするのは初めてだったから、とても珍しい。 は暫くラスティを見上げて彼の次の行動を待つことにした。 |
桜風
11.6.1