| 校内で見かけるラスティは同性の友人の他に異性の友人と思われる人と共に居ることが多い。 しかも、その異性の友人と言ったら綺麗な上、とても賢そうな人ばかりだ。 はそんな彼の様子を見かけるたびに溜息を零している。 年上の従兄のラスティ・マッケンジーは人付き合いが上手で誰にでも好かれる。 とても羨ましい。 それに比べて、と自分を比較対象にして凹んだ。 ラスティを素敵だと思う反面、自分の素敵じゃない部分が浮き彫りになると言うこの図式にそろそろ嫌気が差してきているところだ。 「」 声をかけられて顔を上げた。 「ラスティ?!」 「どうしたの?元気なさそうだけど。背中をこーんな風に丸くして」 そう言いながらラスティは自分の背を丸めた。 「ほっといて」 そう言ってラスティからズンズンと離れていく。 少し離れたところから「可愛くなーい」という嘲笑が聞こえた。 まっすぐ家に帰る気がしなくて街中をブラブラと歩く。 ビルの壁面の大きなデジタルモニタにはラクス・クラインが映っていた。 「あたしもあれくらい可愛かったら...」 見事なないものねだりだな、と自分で可笑しくなる。 ちゃんと親の愛をもらって生活をしているのに、更に色々とほしいと思ってしまう自分は少し欲深いのだろう。 気を取り直して買い物をして帰ろう。 モニタから視線を外して一度溜息をつき、気分を切り替えていつも利用しているショップに足を向けた。 「あれれ?君、この間も会ったよね。いや、奇遇」 目の前に人が立ってを見下ろす。 は不思議に思って彼を見上げたが、さっぱり知らない人だ。 向こうの勘違いだろう。 「人違いですよ」と言ってその横を通り過ぎようとしたらその腕をつかまれた。 「いやいや、人違いなんてことないから」 掴まれた腕が痛い。 「離してください」 訴えても「じゃ、再会を祝して」と全く自分の意見を聞かない知らない人に恐怖を覚えた。 周囲を見渡しても皆知らん顔。が困っているのは見て分るだろうに... 「離して!」 「ほら、暴れない。いいとこに連れてってあげるからさ」 は抵抗を試みるも、力で敵うことができず、引き摺られるように路地裏に連れて行かれる。 恐怖で視界がにじみ始めたところで、「はい、手を離す」という聞きなれた第三者の声には顔を上げた。 を掴んでいる腕を彼が掴んでいる。 男は顔を顰めた。 「そこ子、俺の大切なツレだから。離してもらえるかな?」 穏やかな口調だが、声に迫力がある。 しかし、男はを中々離さない。 「ははっ、聞こえてないのかな?離せよ。最後の警告だ」 笑顔で低く命じる。 男は慌ててを掴む手を離し、何度か転びそうになりながら逃げていった。 「あの、ラスティ」 「いやいや、通りすがりの正義の味方」 にこりと微笑んでラスティが言う。 「だったら、せめて顔を隠すとか...」 「だって、咄嗟に割り込んじゃったんだもん」 肩を竦めて言うラスティには俯いた。 「怖かったね」とラスティがの頭を撫でる。 「うん...」 「此処最近元気がなかったね」 「うん」 「理由、教えて?」 「や」 一言拒否するとの頭を撫でていたラスティの手が止まり、彼の両手はの頬に添えられた。 「はい、吐きなさーい」 そう言いながらラスティはの頬をむにーんと伸ばした。 「いひゃい!」 「うん、言う気になった?」 「や!」 「はい、むにーん」 「はふふぃ、ひゃへへー!」 「うん、やめてあげるから」 そう言って伸ばしていた手を緩める。しかし、両手はの頬に添えられたままだ。 「何か、凹んでただけ」 「うん、が凹んでるのは見てて分った。俺が知りたいのはその理由だよ」 ここでまた「ナイショ」とか言ったらこの両手はまたの頬を掴んで左右に広がるのだろう。 観念しては最近ラスティに抱いていた劣等感を口にした。 それを聞き終わったラスティは笑い飛ばす。 「なに、それ」 「笑い事じゃないよ!今日だって...『可愛くない』って言われた」 しょんぼりしてが言う。 「ふーん。けど、それってのことを何にもわかってないやつの言葉じゃないか」 あっけらかんとそう言う。 「あの...」 どう言い返して言いか分からず、が悩んでいると 「ね、。俺の言葉を信じてよ」 そう言ってラスティはの顔に添えていた手で優しく頬を包む。 「は、今のままで十分可愛い」 そう言っておでこにキスをした。 ラスティを見上げていたは一瞬自分の身に何が起こったかがわからず、呆然としていたが、やがてそれに気付き顔が赤く染まっていく。 「ほら、ってば可愛い」 「か、からかわないで!」 「やだなー、からかいじゃないよ。自信を持ってごらんよ、」 そう言ってラスティはパチンとウィンクをした。 ぱくぱくと何かを言おうと口を動かしただったが、結局何を言って良いのか分らず「ありがとう」と肩を落として返した。 |
桜風
11.9.1
ブラウザバックでお戻りください