「海水浴?」

目をキラキラと輝かせている刀剣たちを見て彼女は問い返した。

「そうです。ダメですか?」

この本丸の在るところは海から遠い。

よって、出陣や遠征時に使用しているゲートを使用させてほしいと言われたのだ。

「遠征任務で時間が余ったから海で時間を過ごしたってのなら、使用可、かなぁ...」

どうもグレーゾーンのような気もするが、彼女はそう言った。

「じゃあ、遠征。遠征行きます」

「一応、聞いてみるけど。錆びないよ..ね?」

彼女の問いに彼らは頷いた。

「汗をかいても錆びていません」

「それもそうだ。じゃあ、海に行きたい人編成しておいで。6人までだから」

彼女の言葉に彼らは歓喜の声を上げてバタバタと遠ざかって行った。

「主は海に興味が無いのか」

「突然現れるね」

ふいに声を掛けられて彼女は振り返る。鶴丸が「どうだ、驚いたか」と言った。

「まあ、一応。海は..苦手かな」

驚いたことに「一応」と返し、海についても答える。

「苦手。何故だ?」

「日焼けがね...そう言った意味だと、鶴丸もやめた方がいいよ」

「俺か?日焼け..とは?」

「え、日焼け知らず?刀剣は焼けないから、日焼けもしないのかな?」

ずるい、と心の中で呟きながら彼女はぶつぶつと言葉を零す。

「主は、日焼けというのが苦手なのか。日焼けとは?」

「太陽の光で、肌が焼ける事?要は、太陽の光、熱で火傷すること。人によってはいい具合に焼けるんだけど、私の場合は赤くなって終わる。痛いだけなんだ」

「何故俺もやめた方がいいんだ?」

「日焼けをすると仮定した場合、鶴丸も私の仲間だ。赤くなって痛いだけで終わる。肌の色が白いとそうなってしまうんだ」

確かに目の前にいる主は色白の類に入る。自分も白い。

「なるほど...ちょいと海に行ってみるか」

「やめておいた方がいいと思うけど?私は忠告したよ」



「こんな赤い鶴なんて見たことがないね」

半眼になって彼女が言う。

その視線から逃れるように顔をそむけた鶴丸は「すまん」と返した。

彼女の忠告を聞かずに海ではしゃいでこの様だ。

刀剣だからもしかしてと思ったが、体の構造は人のそれにかなり近いらしく、見事に真っ赤になっている。

「鶴丸は手入れでこれが治るから羨ましいよ。ほら、手入れ部屋に行くぞ」

そう促されて「いたい、いたい」と呟きながら鶴丸は彼女のあとをついて歩く。

「人というのは面倒なのだな」

ため息交じりに言う鶴丸に彼女は振り返り

「たまにな」

と返した。









桜風
(15.7提出)


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