本日も晴天












天気予報は嘘吐きだ。

いつも見ているお気に入りの天気予報士がいる朝のニュース番組。

「今日は一日晴天が続くでしょう」

確かにお気に入りの天気予報士はそう言ったのに、部屋の外を眺めるとそこには大粒の雨が降り続いていた。

・・・・大嘘吐きだ。







「う〜、外に行きたい!」

唸るように私が声を発したのは午後に入ってからの事だった。

今日は久々に彼氏である一郎君が私の部屋に遊びに来た。

六畳の部屋に静かに音楽が流れコーヒーの香りが脳内を穏やかにしてくれているはずなのに、私の脳内はストレスでいっぱい。

一郎君の職業の関係とかもいろいろあって実はなかなか会う時間が持てない私達。

その為私は一郎君に会える日を指折り数え、何をするのかかなり調べたりする。

予報では天気が良い今日は駅の南口に新しくオープンしたカフェに行って帰りに買い物をして公園とかをお散歩してと、いろいろ考えていたのだ。

それなのにこの天気の所為で計画が全部ダメになっちゃった。

オープンしたカフェは並ぶから雨じゃ大変だし、買い物はそのついでと思ってたからどうしても行きたい訳じゃないし、公園なんて完璧無理。

天気予報を恨むのも少しは許してもらえるでしょう?







「仕方無ぇだろ、雨なんだから」

私がいつまでも外を眺めては溜息を吐いているので、見兼ねた一郎君が雑誌を閉じて私に話し掛けて来た。

ああ、一郎君はクールだなぁ。

ちょっぴり羨ましい。でも、ちょっぴり冷たい・・・・。

「でも今日は折角一郎君と一緒なんだもん」

気持ち良く外でお散歩したりしたいじゃない?

一郎君と一緒にポカポカとお日様に照らされたいじゃない?

「散歩ねぇ〜」

一郎君が少し笑いながら天井を仰いだ。

「あー、何?もしかして馬鹿にしてる?」

笑われた!絶対に今私の事を笑った!!

「馬鹿になんてして無ぇよ」

一郎君は更に可笑しそうに笑って私を宥めようとするけど、笑った事を怒ってるのに更に笑ったら逆効果でしょ?

分かってないのかワザとなのか。

一郎君の真意なんてさっぱり分からない!

「してるじゃない」

「してない」

「してる」

「してないって」

「してるってば!」

同じ様な言葉の攻防はその後暫く続いたけど、一郎君の厭くまでも余裕な態度に流石の私もバカバカしくなって途中で言葉を切ってしまった。

別に元々一郎君と喧嘩したかった訳じゃないしね。

「晴れた方がいい?」

思わず溜息を吐く私に少し心配そうな顔をした一郎君が話し掛けて来た。

「そりゃあ、晴れてた方が気持ちいいでしょ?」

「散歩してる方がいい?」

「うん。部屋でこうしてゴロゴロしてるのもいいけど、やっぱり外に行きたいでしょ?気持ち良いし」

「ふうん」

何だか不満げな顔をした一郎君はさっきまで読んでいた雑誌を再度開いて読み始めた。

あれ?あれれ?

もしかして怒った?

私怒るような事何か言ったのかな??

自分の身に覚えの無い事で怒られる事程驚く事はない。それが好きな人なら尚更ビックリしちゃう。

どうしよう、謝った方がいいのかな?



「俺はさんと二人で居られれば何処にいても幸せだけどな」



雑誌のページを捲りながら、一郎君がポツリと呟いた。

あまりにも小さな声で聞き逃してしまいそうだったけど、私の耳にはちゃんと届いていた。

「い、一郎君・・・・!」

じ〜ん。

たった一言なのに何でこんなに感動しちゃうんだろう。

相変わらず雑誌を捲っている一郎君を見つめながら、私は温かい言葉のぬくもりをゆっくりと噛み締める。

ズルイよ、一郎君。これ以上好きにさせてどうするつもり?

暫くの沈黙。一郎君は雑誌と睨めっこを、そして私は一郎君に愛されてる実感に身を委ねていた。

・・・・ん?

あれ?

「どうしたの?」

「何でも無い」

私が何について聞いたのか尋ねもしない一郎君がそう答えた。

たぶん今の自分の状況を把握して私が何を聞きたいのか予想していたんだろう。

だって、一郎君ったらものすごく、

「顔が真っ赤だよ?」

「何でも無いってば!」

照れ隠しなんだろうか、いつもよりも慌てて声を荒げる一郎君が妙に可愛い。

うわ〜、こんな一郎君初めて見た!

自分の言った台詞に自分で照れちゃったんだ、きっと。

顔全体を真っ赤に染めて私から顔を背けている一郎君を眺めながらクスクス笑っていると、一郎君が何か諦めたように私の方を見た。

照れ隠しするの、もう降参?

隠そうとしててもバレバレだけどね。



「私も一郎君と一緒に居られれば何処でもいいよ」



笑顔でそう応えると、一郎君が驚いたような、でもちゃんと受け止めてくれているような表情をした。

「俺の言った事繰り返すなよ」

「いいじゃない」

「別にいいけどね」

一呼吸置いてから少し溜息を吐いて彼がそう言った。

気持ちは落ち着いたようだけど、まだ顔が赤い。

さっきの台詞そんなに恥ずかしかった?私はとってもお気に入りなんだけどな。

「コーヒー、新しいの入れよっか?」

コーヒーカップに手を伸ばしながら私がそう言うと一郎君が少し微笑んで、

「お願いします」

小さく頷いた。

「了解!」

一郎君のその自然な笑顔が妙に嬉しい。







いつも見ているお気に入りの天気予報士がいる朝のニュース番組。

「今日は一日晴天が続くでしょう」

どうやら私のお気に入りの天気予報士の予報は当たっていたらしい。

だって、私の所には雨なんて全然降ってないもの。



そう、本日も晴天!










END



『Strawberry Sugar』の関リョーコさんから10000hitキリリク夢を頂きました。
リクエストは
宮田が真っ赤になりながら甘いセリフを吐く宮田夢』 
でした。

そんな宮田は可愛いだろうなと思ってリクエストしたのですが、...可愛かった。


関さん、ありがとうございました!!