薄紅色の花咲く頃16





黄尚書と話をつけた後、燕青は人様の屋敷の周辺や庭に色んな罠を仕掛けた。

後は待つのみ、と庭にいると壁を越えて4つの人影がやってきた。

「やっぱ来てくれたんだなー、静蘭。さすが竹馬の友。でも、そんな大人数でやってくるなんて思ってもみなかったけど。おお!左羽林軍将軍さんまで。何と豪華な面子」

静蘭に仕掛けた罠について文句を言われても何処吹く風。

燕青は絳攸に黄尚書への説明を頼み、来るべき戦闘に向けて背中合わせに待っていた。

すると壁を越えて何かが入ってくる。

刀の柄に手をやる助っ人3人だが、燕青に止められた。

1人戻ってきていないのが居るという。

昼間飛び出した翔琳が戻ってきたのだ。

しかも、燕青が仕掛けた罠にまったく嵌ることなく。お陰で彼の後をついてきた盗賊たちも無事に屋敷にまで到達できたのである。

しかし、敷地内に入ると面白いように罠にかかる。

その様子を見ていた燕青たちも立ち上がり、自分の獲物を手にした。


外が騒がしくなり、秀麗が気にする。

「どうしたのかしら?...ねえ、姉様。外、気にならない?」

「んー?まあ、気にしなくても良いんじゃない?何かあったら、あの親切な方が言ってきてくださるでしょうし」

落ち着き払ったに秀麗も安心したのか「それもそうね」と納得した。

どうやら、が先ほど葉先生宛の文を書いている間に静蘭たちが来て、しかも絳攸まで来ていたそうだ。

まあ、主上が秀麗に『夜這い』をする約束をしたと絳攸に口を滑らせたのだろう。ついでに、楸瑛も一緒に居るに違いないとは思っていた。

紫州最強のメンバーが揃ってしまった。

今日この屋敷に来た盗賊たちを少しだけ気の毒に思っただった。


突然外壁に何かがぶつかったような大きな音が鳴った。

「何?!」

秀麗が慌てて半蔀を開けると大量の草が室内にばら撒かれた。

よく見るとそれは石斛だった。

「く、蔀まで閉じてあるとは思わなかった...うかつ」

「石斛を採ってきたぞ。早くお医者殿に」

「んー。これだけあれば大丈夫よ。安心して」

後ろから様子を見ていたがそう声を掛けた。

「ねえ、翔琳くん。外が何だか騒がしいようなんだけど」

秀麗が聞いてみると

「そこの庭院で浪燕青が賊に追いかけ回されているのだ」

「は、はあ?!何やってんのよ」

「まったくね」

「安心しろ。お前たちは俺の身内を助けてくれたから恩返しをする。そうだこれ。薬代の足しにでもしてくれ。今日いつの間にか持っていたんだ。ヘンテコだが金ピカだ」

そう言っては布に包まれた何かを貰った。硬くて、少し重い。

「なに、浪燕青のことは心配ない。今からこの超有名な山賊“茶州の禿鷹”二代目頭目翔琳様が加勢に駆けつけてやるからな。我が唯一の手下であり、弟の曜春を頼んだぞッ」

そう言って翔琳は半蔀から飛び出していった。

「忙しい子ね。...ところで、これはどうしたらいいのかしら?こういう場合ってやっぱり葉先生に渡すものなのかしら?」

そう言いながらは受け取った包みを開けてみる。

「へえ、凄い。本物の金ね。これで『続、脱麦ご飯』は確実よ秀麗」

が手の中のものを見つめてそう言う隣で、

「はぁああっ?ちょ、こ、こここれッ」

慌てる秀麗が居た。

「何、これがどうかしたの?」

「姉様。これは王宮宝物庫の鍵なの。世界にたった一つしかないの」

秀麗の一言に、流石のも「あらら」と呟き、もう一度手に持っている鍵を見つめた。

何であの子が持ってたんだろう...?

その後、外が落ち着いたと思ったら、部屋に人がぞろぞろと入ってきた。

燕青と翔琳は勿論、劉輝に楸瑛、そして絳攸。

「何やってんのよ、アンタは?!」

主に劉輝に向かって秀麗は怒った。

怒られるのを覚悟して秀麗に顔を見せた皆だが、秀麗の怒りっぷりに首をすくめてを見た。

その視線を受けて

「ま、居るものは仕方ないでしょ?お庖厨をお借りできないか聞いてくるわ。秀麗はみんなにお茶を淹れてあげなさい」

「はーい」

そう不服そうに返事をした秀麗は室内に有る茶器に手を伸ばした。

屋敷の主人は今来客中だと言われ、は家の人に庖厨が借りられないか頼んで使用させてもらうことにした。

料理を作り終わり皆が勢い良く食しているすぐ傍で、は料理を2皿ほど盛り付け、盆に載せて室を出て行った。




ヒロインは黄尚書の元に誰が来てるか知ってるようです。
喜んでもらえるでしょうね〜(笑)


桜風
06.11.3


ブラウザバックでお戻りください