| 秀麗が貴陽に帰ってきて数日経った。 既に正月と言う雰囲気はなく、も街に賃仕事をする毎日を送っている。 秀麗は本人の言ったとおり毎日朝廷内を奔走しているらしく、夜遅く帰ってきて夕食をとった後すぐに寝ているが、朝はパンパンと頬を叩いて気合を入れて出仕をしている。そんな毎日を送っている。 ちなみに、静蘭の姿をアレから見ていない。 大丈夫だろうか、と父に聞くとおっとりと「大丈夫だよ」と返されてそれ以上は何も言えなくなっていた。 賃仕事から帰ると、家から珍しい人物たちが出てきた。 絳攸と楸瑛だ。 彼らの姿を見るのは随分久しぶりのような気がする。 が朝廷での賃仕事を辞してからは時々彼らは家に来て顔を覗かせて様子を見に来てくれていた。お土産は何か必ず持ってきてくれていたが、以前のように食材ではなかった。果物とか、花とか。 彼らが来るのは秀麗がいたときのように定期的でもなければ、共に食卓を囲うことはなかった。 彼らは突然家にやってきてお茶を飲みながら少し挨拶程度の話をして帰っていく。 「前以て仰ってくだされば、お食事を用意してお待ちしますよ」とが言ったことがあるが、彼らはそれを断った。 はいつも秀麗と一緒に食事を作っていたため、手間を掛けるのは申し訳ないから、と断られた。 彼らとしてはひとりで、あのご馳走を作るのは大変だろうと思っていたのだ。 は別にそう言ったことは気にならないが相手が気にするのなら強く言うのも悪いだろうと思って引き下がった。 それに、大抵材料は彼らが調達してきてくれていたのだから、きっとこちらも迷惑を掛けていたはずだ。 「あら。絳攸様、藍将軍、お久しぶりです。新年のご挨拶がまだでしたね」 そう言いながらは挨拶をする。 流石に貴陽にある彼らの家を訪ねて挨拶をするのは気が引けたのだ。 突然挨拶をされて彼らも慌ててそれを返す。 「ごめんなさい、秀麗はまだ朝廷に居ると思います」 の言葉を聞いて彼らは「いや、いいんだ」と口々に言う。 「ああ、そういえば殿」 楸瑛が名を呼び、は彼に視線を向ける。 「静蘭は、きっとまだ帰ってこないよ」という彼の言葉には絶句した。 「たしか、羽林軍の飲み会に出たとか聞いたのですが。みんなまだ潰れているんですか?」 が問うと楸瑛は苦笑して「今も、その飲み会が続いているんだよ」と返す。 「今、何かあったとき、羽林軍は出られるんですかね...」 が素直に疑問を口にすると楸瑛は苦笑して 「たたき起こされて無理やり現場に向かわされるだろうね。羽林軍ってそんな感じだよ」 と返す。 確かに、ガラの悪い人が揃っているが... ああ、そういえば、山できのこ採り対決をするような左右羽林軍だったと思い出した。 「そうですか。藍将軍の目処としてはあと何日その飲み会、というか宴会は終わりますか?」 「おそらく、あと10日は続くね」 楸瑛の返答には一瞬言葉を失くし、 「お酒、そんなに持つんですか?」 と中々いいところに目を着けた感想を口にした。 が家に帰ると人が居た。 黎深だ。 最近良く家に来るな、と思う。 秀麗がいた頃は彼女に見つかっては大変、と来たくても来れない状況だったのだが、秀麗が茶州に赴いてからというもの、よく顔を見る。 「いらっしゃいませ、黎深様」 「、何度も言わせないでくれないかい。『素敵な叔父様』が抜けているぞ」 ニコニコとしながら返す黎深には「失礼しました」と返して、心の中で「いつものに何かくっついた」と突っ込みを入れていた。 「あら、秀麗のお見合いですか?」 卓子の上の文箱の山を見てが問う。 「まあ、多少目端の利く高官が居るということだよ」 機嫌悪くの言葉に黎深が返し、「には..そういう話は出てこないのかな?」とチラチラと様子を見ながら聞いてきた。 「今のところ、のらりくらりと全てお断りさせていただいています」 の返答に邵可は溜息をつき、黎深は嬉しそうに扇を広げた。 そんな黎深に苦笑しては庖厨に向かった。とりあえず、父がお茶を淹れる前に淹れてしまおう。そんな気分だ。 |
あー...ヒロインが脇役だ。
というか、秀麗がいない間はきっと黎深はのボロい紅邸に入り浸っていそうな気がします。
桜風
08.11.23
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