薄紅色の花咲く頃 65





翌朝、秀麗が爆睡中に燕青が一度戻ってきてシュウランをつれて出て行く。

彼女は今回の作戦の重要な役割を担っているのだ。

は秀麗を起こさないように静かに朝餉を作った。

「龍蓮君。あなたも、腹ごしらえなさい」

の言葉に龍蓮は頷いて大人しくの作った朝餉を口に運んだ。

「リオウ君も。何をするにも腹ごしらえから!」

その場を静かに離れようとした少年に向かってが声をかける。

「...わかった」

「よろしい。特にキミは成長期真っ只中でしょ?」

そう言って大盛りによそう。

「朝からこんなに食べれるかよ」

リオウが文句を言うとは静かに龍蓮を指差した。

リオウ以上の大盛りだ。

「いただきます」

手を合わせてそう呟き、リオウは渋々箸を動かした。


「ごちそうさまでした」と食べ始めたときと同じように手を合わせてリオウが言う。

箸をおいてを見た。

「はい。いい食べっぷりだったわね」

満足げに微笑んでが言った。ちなみに、龍蓮はお替りをして既に3杯目だ。さすがにそれはも呆れる。

「じゃあ、オレ行くから」

「そうね。じゃあ、またね」

がそういう。

リオウは目を丸くして少し驚いたような表情を浮かべたが、そのまま「ああ」と応えて森の中へと消えた。

「...いいのか?」

龍蓮が箸を動かす手を止めて問う。

「いいのよ」

はそう言って苦笑した。


「では、私も行く」

そう言って龍蓮はそのまま馬に跨り、榮山の方角へと馬を走らせた。

その入れ替わりで燕青たちが戻ってきた。

「姫さんは?」

「まだお休み中」

面白うそうにが言う。

「起こしてくるわ」

「あー、頼む」

「ご飯食べてて」と言いながらは天幕へと向かった。

しかし、我が妹ながらこの神経の図太さ。すばらしい...!

「秀麗、そろそろ起きた方がいいわ。シュウランちゃんも一仕事終えて戻ってきてくれてるわ」

体をゆすりながらが言う。

「んー..」と唸っていた秀麗だったが、突然ガバッと起き上がる。

「きゃーーー!今何時?朝?昼?それとも夜中??」

「まだ、朝ね。ほら、シャキッとなさい」

が少し軽く秀麗の背中を叩く。

「身支度整えて出てきなさい」と言って天幕を後にした。

「どうだ、姫さん」

「起きたわ。ごめんなさいね、あなた達は一仕事を終えてきたというのに」

苦笑しながらは2人に言う。

「いいって。てか、姫さんはやっぱり図太いなー。肝が据わってるって言うか...さすがだよな」

本当に『図太い』という言葉は秀麗にぴったりだ。

身支度を整えて出てきた秀麗には朝餉を渡す。

「あ、そうだ。姉様は..」

秀麗が最後まで言うのをさえぎるようには降参したように両手を挙げた。

それを見て秀麗は安心した。

姉はついてこないといっている。

しかし、彼女は明確にそうは言っていない。

そのことに秀麗は気づけず、に差しだされた朝餉を口に運んだ。

「ところで、リオウは?」

燕青が不意に問う。

「え!?」と慌てて秀麗は周囲を見渡し、を見た。

「やることがあるから、って出てったわよ。あ、朝食はちゃんと摂ったから心配しなくても大丈夫」

「そうじゃなくて!」

「日も昇ってるし、石榮村に行けば人も居るし」

飄々というに続けて「リオウは元々村の子じゃないよ?」とシュウランが言う。

「けど、何かやることがあって村に来たって言って。それが済んだら出て行くって。だから、それが済んだんじゃないの?」

シュウランの言葉に、秀麗と燕青は顔を見合わせ、なんとも奇妙な感覚を覚えていた。


シュウランとを石榮村に預けて秀麗と燕青は榮山に向かう。

その背中を見送っては葉医師を探した。

「ああ、葉医師」

「おお、か。一緒にいくとばかり思っていたんだがのぉ...」

面白そうにを見ながら葉医師はそういう。

「今から行きます。ここ、おひとりで大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃない、と言うても行くんじゃろう。ほれ、行って来い。じゃが、すぐに戻ってくるんじゃぞ」

「恩に着ます」と言っては復興に来ていた職人たちに頼んで馬を借りた。




リオンと龍蓮は旅立ちました。
影月とか香鈴とかそういうところは端折ります。
ヒロイン、全く感知できないことですしね。


桜風
09.8.23


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