| 紅家からの帰り、は町に出た。 夕飯までには家に帰る。これは昔からの習慣だし、暗黙の了解だ。 最近、秀麗は忙しくしているため、が本日の夕飯の材料の買出しをするようにしている。 頭の中では夕飯の材料と他に、さっき思いついたことを纏めている。 昔本で読んだことがある。 遥か西の国では、生まれた日を祝うのだと。 絳攸は生まれた日が分からない。でも、李絳攸になった日は百合の日記で分かった。 は、何だかお祝いをしたくなったのだ。 「何にしようかしら?」 「何がですか?」 突然すぐ後ろから声を掛けられて、は驚き振り返る。 「荷物、お持ちしましょう」 そう言って本日の夕飯の材料を取られた。 「静蘭。突然真後ろから声掛けないでよ、ビックリしたじゃない。本日の米倉門番終わったの?」 「気をつけます。今日もいつもどおりに定時退庁です。ところで、夕飯の材料は揃っているようですけど。何かまだ買うんですか?」 「ううん。何でもないの。じゃあ、帰りましょう。夕飯、遅くなっちゃう」 そう言っては家に向かって足を進めた。 の後ろ姿に静蘭は首を傾げ、そしてに追いつくように少し足を速めた。 夕飯のあと、は家計簿に目を通す。 相変わらずギリギリだ。 思わず「ふぅ」と溜息が漏れる。これ以上賃仕事を増やすと言う手もあるが、コレほどまでに家計がギリギリだとこちらに回すべきだろうし。 「胡蝶妓さんにお願いして、賃仕事の時間を増やしてもらおうかしら...でも、ちょっと無理かなぁ」 小さく呟く。 「どうかしたの、姉さま」 室の灯りが漏れていたため、秀麗が室を覗き込んで声を掛けてきた。 「秀麗。ううん、何でもない。コレ、相変わらずだなーって」 そう言って机の上に広げた家計簿を指さす。 の指さしたものが何か理解し、「ああ、そうね」と秀麗は苦笑する。 「でも、私は今のままでも幸せよ。大好きな父さまと姉さま。そして、静蘭。皆元気で、そして、一緒にいてくれてるもの」 「そうね。でも、秀麗はまだ満足してはいけないでしょ?国試、結果が待ち遠しいわね」 「出来る限りのことはやったもの。どんな結果でも受け入れられるわ」 「そう。でも、きっと大丈夫よ。あの絳攸様の授業についていけてたでしょ?秀麗ならきっと今の志を見失わない立派な官吏になるわ」 「ありがとう、姉さま。姉さまが言うと何だか心強いわ」 「そう?さて、そろそろ私は寝るけど...秀麗もあまり遅くまで本を読まないようにね」 「油が勿体無いものね」 秀麗の冗談には小さく笑い、秀麗は「おやすみなさい」と言って室を出た。 翌日、花街での髪結いの賃仕事の帰り、はいつもの通りとは違う別の通りを歩いた。 探していた店を見つけて入ってみる。目的のものを見つけて一瞬眉間に皺が寄る。 高い... 流石にちょっとばかり賃仕事を増やしたくらいで買える代物ではない。 諦めるよう自分を諭しながら家に向かった。 空を見上げると少し雲行きが怪しい。早く帰らないと雨に降られてしまいそうだ。 気が付くとずっと同じ軒がの歩調に合わせて進んでいる。 黎深かと思ったが、紅邸で見たことのないものだ。楸瑛のものとも違う。寧ろその2人なら進んで声を掛けて来るだろう。 気付かないフリをして歩いたが、やはり同じ速さで進む。 不気味に思い、少し歩調を速める。 すると軒も少し早くなった。 「まだ気付かないのか」 呆れたような声が軒の中から聞こえた。 聞き覚えのある声に、はようやく安堵した。 |
紅家に来た日が、李絳攸の誕生日。
ということで誕生日大作戦!
いきなり挫けてますけど(苦笑)
そして、変なストーカーがついて来ました。
すみません、嘘です。今のうちに謝っておきます(笑)
桜風
07.1.6
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