| 黄尚書に手伝うように言われて共にその部屋に向かう。 「黄尚書をお手伝いするって、何をすればいいのでしょうか?」 「お前は、計算は得意か?」 「ええ、商家の賃仕事で帳簿付けとかありますし」 「そうか。では、私が渡す書類の計算をしてもらう」 それって、国家の内部情報もいいところなのでは? がそういう前に 「何の数字か分からなければ、そんなもの関係ないだろう。勿論、他言無用だ」 またしても顔に出ていたらしいの考えに黄尚書はそう答えた。 戸部長官がそう言うならいいのだろう、とちょっと無理に納得して仕事を手伝うことにした。 黄尚書の渡してくる書類の数とても多く、しかも次々に渡されるので気が抜けない。 昨年の夏、秀麗や燕青が言っていたが、仕事に対して全く手を抜くことがなく、それでいて、相手の最大限の能力ギリギリの仕事を振り分ける。 今、自分の目の前に山積みになっている書類を見ては少し微笑む。認められているようで何だか嬉しい。 只管計算をしていき、いつの間にか目の前の書類がなくなっている。 は小さく息を着き顔をめぐらすと、室の中にある茶器に目が行く。 「黄尚書。お茶を淹れました。休憩しませんか?」 書類に目を落としていた黄尚書は筆をおいて席を立った。 「これは、何という茶だ?」 「甘露茶です。先ほど庖厨で見つけました」 の言葉を聞いて一口、口にする。 「初めて飲む気がする」 「そうなのですか?茶州の名産ですよ。甘いから疲れたときに丁度いいかなって。でも、高いんですよね」 言った後、は慌てて口を押さえる。『高い』とかそんな世知辛い話をしてしまった。はしたない。 「そうか。確かに、この甘さはしつこくなくて口当たりも良いな。は良くそんな茶州の茶のことまでを知っているな」 「昔、茶州に行ったことがありますから。秀麗は小さかったから覚えていないかもしれませんけど、ご飯よりも甘露茶を欲しがって大変でした」 昔のことを思い出しては小さく笑う。 ふと、仮面の向こうでも笑う気配がした気がする。 「では、あとちょっと頑張りますね」 「休憩していろ。もうに見せてもいい書類はなくなった」 道理で、計算する書類の底が尽きたわけだ。 「では、庖厨をお借りしてもよろしいですか?」 「好きに使え」 黄尚書の返事に礼を言っては庖厨へ向かった。 家人たちが戻ってきたらしく段々家の中が賑やかになってきた。 庖厨の用事も済み、家人に黄尚書に呼ばれていると聞いては慌てて黄尚書の室へ向かった。 「失礼します」 「ああ、今日はご苦労だったな。もういいぞ。皆が帰ってきた。報酬は3日後、また取りに来い。秀麗たちには内緒なのだろう?」 「ありがとうございす。あの、それで。先ほど庖厨をお借りして作ったのですが...」 湯気のたつ饅頭が皿に乗っている。 「冷めても美味しいので宜しければ召し上がってください」 「ああ、後でもらおう」 そう言って黄尚書はそれを受け取り、を門まで送った。 |
しつこいようですが。
絳攸夢です。
名前がひとつも出てこなくても、絳攸の誕生日を祝う連載です。
...説得力が無い。
桜風
07.1.13
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