愛しきみ 1





上司に呼び出されたときから嫌な予感はしていた。

その予感が的中したその後、は携帯片手にロッカールームへ走っていた。



「てかさ、どう思う?!もう左遷?!私が何やったって言うの??」

凄い剣幕でそう訴えられたは困ったように笑う。

「いや、左遷って...立派なキー局じゃない」

「大阪の人が聞いたら激怒だねー。普通に異動を宣告されただけでしょう?」

そう言ってはお茶をすする。

「何言うてるん?ちゃんのおらん土地やったら左遷やん!てか、何かその姿ババくさいんやけど、ちゃん」

お茶をすすってほう、と息を吐いているに息巻く

そんなの様子をは首を傾げながら見守る。

「いいじゃない。どうせ私が一番誕生日が早いんだから。よりババくさくて当たり前よ〜」

のほほん、とまたお茶をすする。

「あのさ、。履歴書って嘘偽りなく書いてたんだよね?」

が聞いてみる。

「うん。勿論よ」

「だから、じゃないの?」

の返事を聞いてもそう言う。

「やっぱり関西弁話せるってのが大きいんじゃないかな?やっぱり取材とかするのに関西弁を話せたほうがいいと思うよ?取材を受ける側も答えやすいだろうし」

「ああー!こんなことやったら、大阪に住んでたこと書くんやなかった!!」

頭を抱えてそう叫ぶに、

「って、それはダメでしょう?詐欺じゃん?」

がおかわりのお茶を淹れながら冷静な突っ込みを入れる。

「そうだよ。それに、大阪に居なかったら初恋の君にも会ってなかったんだから」

のんびりとそうに言われても黙った。

「まあ、そうだけど...」

途端には大人しくなり、机の上の煎餅に手を伸ばしてバリバリと食べ始めた。

「でも、アレだね。私ら何新婚さんの家に上がりこんでるんだろうね?旦那が居ないことをイイコトに結構長居してるし」

ぼそりとが呟き、も「そだねー」と笑いながら同意をする。

「いや、さっきから居るし」

ドア付近で声がした。

背を向けていては気付かなかったが、どうやら少し前から宮田が帰ってきていたらしい。

「あらー。気付きませんで〜」



「お構いなく〜」

と宮田にそう声を掛ける。

は宮田が帰ってきたときに目が合っていたし、も宮田に顔を向けていた。見えていなかったなんて言わせない。

正直、小姑が2人居座っている状態だ。

しかも、この小姑たち。宮田には少々冷たい。

「あ。お帰り。ごめん気付かなくて」

ひとり素直に気付かなかったが席を立ってドア付近に居る宮田に近づいた。

その姿を見ては溜息を吐いて椅子から立ち上がる。

「長居してごめんね、ちゃん。私らもう帰るわ」

荷物を持って玄関に向かう2人をと宮田が見送りについていく。


「何か、騒いでたみたいだけど。何があったんだ?」

2人が帰って落ち着いた後、宮田が聞いてみる。

は先ほどまでの騒ぎを宮田に説明する。

「でね、私考えたんだけど。ウチで送別会みたいなのしてあげたらどうかなって?いいかな?」

「ああ、それは一向に構わないよ」

もういい加減、あの小姑2人の冷たい待遇にも慣れてきたし、という言葉を飲みながら宮田は笑顔で応えた。

は嬉しそうにお礼を言って早速に連絡を入れる。


の引越しの日程が決まり、そして、送別会の日程も決まった。









桜風
07.5.5


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