仕事納め ―後編―
| 「お、と宮田じゃねぇか。」 「本当スね。仲良く会話しながら買い物袋提げて新婚カップルの買い物の図って感じだな。」 (また新婚ネタかよ。普通に荷物持ちに見えるだろ?!) 鷹村と青木の会話に木村は心の中で毒づいた。 「そういや、宮田の奴、ちゃんと話している姿をよく見かけるな。今までのバイトの子とは、あまり仲良くなかった気がするけど。」 青木が呟く。 「まあ、は媚びないからな。今までのバイトの殆どの奴が宮田に媚びたり、ちょっかい出したりしてただろ。 前は宮田の奴、バイトに来ていたやつらを練習の邪魔だって言ってたな。」 「ちゃんはこっちが手伝ってあげるって言っても反対に練習の心配するもんな。」 3人が話しながら走っていると達に追いついた。 「よう、。買い出しか?」 「あ、鷹村さん。木村さんに青木さん、ロードの帰りですか?お疲れ様です。 それよりも、ちょっと聞いてくださいよ。私これしか持たせてもらえないんですよ!どう思います?!」 そう言っては、文房具店の袋を鷹村に突き出す。 「だから、俺は荷物持ちでついて来たんだからさんに持たせるのはおかしいだろ?これ殆ど重いし。」 と宮田がうんざりした声を出す。 青木が『仲良く会話しながら』と表現していたこの二人の会話は、 「荷物を持つ、持たせない」の攻防であり、それは薬局を出たときからずっと続いている。 (さんって結構強情なところあるよな。) 「まあ、ちゃん。持たせとけって。これも筋トレの一種だ。」 木村は言いながらの頭にポンポンと手を置いた。 渋々納得をしたを見て3人は先にジムに帰っていった。 と宮田がジムへ帰ってきた。宮田は荷物を事務室まで運んでやる。 「お疲れ、二人とも。」 事務室に入ってきた二人の姿を見て八木が声を掛ける。 正月用の買い物袋を八木に渡し、残りの袋をソファーに置いた宮田に向かっては、「ありがとうございました」と改まって礼を言った。 宮田がジムに降りて行った後、は買い物の整理をした。 ジムに降りてきたが時計を見ると買い物に出てから1時間以上経っている。 ジムの中を見渡しても宮田の姿が無い。 (ロードかな。やっぱ練習の時間随分取っちゃたよな、私歩くの遅いし...) そう思い、苦い顔をしながらジムの救急箱の中身の補充の取り掛かる。 「、オレ様は前からお前に聞きたかったことがある。宮田をどう思っているんだ?」 いつの間にか傍に来ていた鷹村が突然いつものように無駄に偉そうに声を掛けてきた。 青木と木村も興味を示す。 「どうって...、もっと具体的にお願いします。」 「ほら、かっこいいとかあるだろ。」 「ああ、かっこいいですよね、と言うよりも美人さんですよね。」 間髪を入れずにが答える。 「今までのバイトの子もさ、宮田のことかっこいいって、モーションかけたりしてたんだよ。 あいつみたいに顔がいいのが彼氏なら自慢できるって。」 「にはその行動が見られない。何でだ?」 は暫く鷹村を見上げる。 かっこいいとか言っておきながら態度が普通なの考えが気になる3人はの言葉を待つ。 「や、だって。私ここにアルバイト、働きに来てるんですよ? 宮田君って言うか、誰かに構ってばかりだと仕事する時間無くなっちゃうじゃないですか。 バイト代貰っているんですからそれに相当するだけの仕事はしないと。 それに、私ステータスシンボルのためだけの彼氏、欲しいと思いませんから。モテない人間の僻みと思われるかもしれませんけど。」 「ステータスシンボル?」 「ほら、友達に恋人いるから自分も欲しいとか、自慢したいからってそういう為に恋人作る人っているじゃないですか。 それって人格否定だと思うんですよね。私は好きじゃないです。」 「なあ、ちゃんって真面目すぎやしねえか?」 「まあ、今時珍しいくらい素直な子だよな。」 青木と木村が声を潜めて話をする。 「、お前騙されやすいだろう。」 鷹村が突然言い出したことには首を傾げて、 「鷹村さんまでそんなこと言うんですか? この前クラブの副顧問の先生に、『いいか、悪い男に引っかかって騙されるなよ。』って言われたんですよ。 他に女の子居たのに、何故か私の目を見てピンポイントで。 『大丈夫です』って言ったら、先輩も、『何か騙されて1000万の壷とか買いそうだよね。』って。 そんなに抜けてそうですか?」 (((...あり得る。))) 3人は口に出さないものの、同意した。 「ちゃんは、生真面目で素直だからな。でも、そこがいいトコロだろ?」 「そうそう。あんまり気にすんなよ。騙そうって奴もちゃん相手だと気がひけるって。」 木村と青木がフォローを入れる。 「ありがとうございます」とが答え、それがこの会話の終了の合図となった。 こうして年内最後のバイトは終わった。 |
...やっぱり前回切ったところは、どう考えてもハンパでした。
桜風
04.9.11
ブラウザバックでお戻りください