| 少し早いが食事にしようという話になり、が近くで知っている薬膳料理の店へ行った。 料理を一通り注文してから宮田が思い出して、 「そういえば、バイトはいつまで続ける予定なんだ?」 と聞いてきた。 「2月末日までの予定。3月には卒業旅行とか、卒業旅行とか、卒業旅行とかがあって忙しくなりそうだから。」 「...卒業旅行しかないじゃないか。」 「じゃあ、就職の準備も入れといて。大学と、高校と、宮田君も知ってるとちゃんとの3つが予定されているんだよ。大学のは韓国に焼肉食べに行くんだって、高校はスキーで、たちとは温泉らしい。スキーは確実に筋肉痛だね。何が悲しくて旅行先で筋肉痛にならないといけないんだろう...。あ、お土産は何がいい?」 「いや、いいよ。でも、韓国か。」 「懐かしい?」 「そうだな。ボクシングしかしてなかったけど、それなりに。...どうかしたのか?」 話をしている途中での表情が険しくなって何かを目で追っている。宮田もの視線を辿って見ると、その先にはデート中といった感じのカップルがいた。 「知り合い?」 「知っている人に似てるのよ。まあ、他人の空似でしょ?ごめんね、話し中に。」 の様子が気になったが宮田は何事もなかったかのように「いや」と答えておいた。 食事も済んで宮田が勘定を済ませる。 が割り勘を主張したが、 「俺の方が多く食べたから。ついでに、一応社会人なんだけど?」 と言われて反論できず、渋々従った。 食べ始めた時間が早かったため、今の時間は少し半端になってしまった。帰るには少し早い気がするが、何かするには少々時間が足りない。 「喫茶店にでも入るか?」 「いや、私お腹いっぱい。あ、そうか。やっぱり行こう。お茶葉買いたかったんだ。この近くに大きな紅茶専門店があるんだけど行ってもいい?」 は店の中で延々30分悩み、茶葉とティーバッグを買った。 「これは宮田君に。ストレートで飲めるものだから。1回飲んだことあるけどあっさりして美味しかったよ。」 駅に向かう途中でがティーバッグの方を宮田に差し出して言った。 宮田は少し驚いたが素直に貰っておいた。 帰りの電車は空いていて座席に座ることが出来た。 宮田は少し前から口を閉ざして険しい表情になっているの様子が気になっていた。 (...俺、何かやらかしたか?割り勘にしなかったのがいやだったとか。いや、でも渋々でも納得したみたいだし、何だろ。) 宮田が今日の自分の行動を回想していると、徐にが口を開く。 「...宮田君、浮気ってどう思う?」 「は?!え、いや、どうって...」 突然思いもよらない話題を振られた宮田は動揺する。 「えっと、俺は浮気はするのもされるのも許せないと思うけど...されたのか?浮気。」 「いや、相手いないから。...だよね、私も宮田君と同じだな。浮気する前にけじめをつけて新しい恋人って形にするべきだと思ってる。それが出来ないなら絶対にばれないように相手を騙し続ける覚悟持ってろって思うな。」 「え、いいのか?浮気されても。」 「いや、私鈍いからさ。知らなかったら幸せのままでいられるんじゃないかな、と。勿論やっぱり嫌だけどね。そして、知ったときは絶対に許さないと思うよ。」 「...それで、何でいきなりそんな話をしてきたんだ?さっきのカップル?」 「うん。私の友達の彼氏に凄く似ていたからね。私自身写真で1回見ただけだから見間違いって事はあるんだけど...。私の友達に『男は浮気してこそ!』みたいなことを言ってるのがいるから、そこら辺どうなのかなと思って聞いてみただけ。ごめんね、面白くない話で。」 そう言ってが宮田の顔を向けると、今度は宮田が床を見つめたまま真剣な顔をしていた。 (やっばー。もしかして宮田君ってこういう話嫌いだったのかな?なんか、凄く怖いんですけど...) 隣に座っている宮田の反対側に顔を向けては顔を顰める。 「俺は、」 不意に聞こえた宮田の声に驚いて振り返る。宮田は尚も床を見つめたままだった。 「俺は、そういう風には思えない。俺が守りたい、大切にしたいと思う人は一人だな。同時に何人も想うことはない。」 「あー、宮田君ってそういう感じするよ。宮田君の恋人とか、奥さんになる人って幸せだろうね。宮田君ってまっすぐで不器用だから。あ、これは私的に褒め言葉だから。...宮田君って今まで彼女いなかったの?」 それを聞いてやっと宮田は顔を上げてを見た。 「俺、ずっとボクシングしてたんだぜ?出来ると思うか?彼女なんて。それに...今まで居なかったから、大切にしたいとか、守りたいって思う女の子。」 「そうかぁ。意外って思ったけどよっぽど理解のある子じゃないと難しそうだね。これはこれで大変だぁ。」 「...だろ?(別の意味で本当にな。鈍いって自覚あるくらいだもんな。でも、いくら何でも鈍すぎじゃないか?)」 返事をした後、に気付かれないように小さく溜息を吐いた。 の家の最寄り駅で電車を降り、宮田はを自宅まで送る。 宮田がお祝いに買ってあげた鞄はずっと宮田が持ち歩いていた。一度に渡すとは自分が持つと言って頑張るのが簡単に想像できたからだ。それでなくとも今日のの学校の鞄は重い。 そのため、宮田はを自宅に送り届けるまで渡すつもりはなかった。 もすっかり自分の性格を読まれているのが可笑しかった。 宮田の意図が分かっていたため、何も言わなかった。 それに自分に持たせてというとなんだか催促をしているようなので大人しく宮田の考えに従っていた。 「じゃあ、改めて、就職おめでとう。」 「ありがとう。」 宮田はが家の中に入っていくまで見送って独り家に帰る。 その数ヵ月後、宮田と一歩のあの約束の対戦が決まった。 |
ここから先、思いっきり捏造となります。
ええ、本当に思いっきり捏造しております...
桜風
05.10.29
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