| 一歩と宮田の試合のチケットとポスターが刷り上った。 このカードは凄く人気があるだろうからきっと捌くのが大変だと思った八木が発売日前日に電話をしてきた。 手伝いを頼まれたは翌日鴨川ジムへ向かった。 発売開始時間の1時間前にジムへ着く。表は既に長蛇の列が出来ていたので裏口から入って事務室に向かう。 「こんにちは、お久し振りです。」 「ああ、さん。昨日は突然でごめんね、助かるよ。」 「いえ、私もお手伝いしに行った方がいいのかなって思っていましたから。でも凄い人気ですね。長蛇の列でしたよ?」 「よう、。久し振りだな。」 「悪いな、ちゃん。」 「仕事の方はどう?」 「さん、こんにちは。お元気そうですね。」 事務室にいた鷹村、青木、木村、板垣も手伝いながら声を掛けてくる。 勿論、鷹村は手伝うどころか邪魔をしているだけだが。 「鷹村さん、手伝わないなら下で練習でもしたらどうですか?」 「ふん、この俺様がジムに顔を出してみろ。外の客が大騒ぎするだろうが。」 「...地下でも練習できますよ。」 「世界チャンプが地下なんぞで練習できるか。そんなのはここの小物どもに言え。」 は肩を竦めて皆を手伝い始めた。 「そうだ、さん。今日のお礼代わりと言ったら何だけど、チケット譲るよ。」 八木の言葉を聞いたは申し訳なさそうに口を開く。 「ごめんなさい。私、もう赤コーナーの最前列のチケット貰ってるんですよ。」 「何?!と言うことはお前は宮田のスパイか!」 鷹村の言葉を聞いたは手を止めて無表情に鷹村をじっと見る。 居た堪れなくなった鷹村が目を逸らして 「わりぃ。」 と謝ったのでは「いえ」と返事をして手を動かし始めた。 「相変わらず、さんって強いですね。」 「てか、鷹村さんもなに余計なこと言ってんだよ。」 「ちゃんがそんな事するはず無いだろうが。」 板垣、木村、青木は額を寄せて話をする。 「さあ、そろそろ下に降りて準備をしよう。」 八木の言葉を合図に皆はジムに向かった。 「そういえば、ちゃん。宮田と上手くいったの?さっきチケット貰ったって言ってたけど。」 と共に一番後ろを歩いていた木村が声を掛けた。 「いいえ。宮田君、結構自分の試合のチケットくれていましたから。今朝新聞を取りに出たら門の内側に袋があってチケットとポスターが入っていたんですよ。 チケットが入っていた袋に私の名前が書いてあったから貰ってもいいのかなって。しかし、こんなプラチナチケットをポンって外に置いておけるあたり、宮田君ですよね。 勿体無いから使おうと思っていたんですけど、私が赤コーナーにいるのってやっぱりマズイですかね?」 「いいんじゃない?ちゃんはもうこのジムのバイトを辞めて中立だし、宮田とは知らない仲じゃないんだからさ。気にすることはないと思うよ。」 は「むーん」と唸りながら歩いている。 (鷹村さんがあんな余計なことを言うから、ちゃん気にしてんじゃねぇかよ。) そんなの様子を見ながら木村はこっそりと心の中で毒づいた。 OPBFタイトルマッチのチケットはあっという間に売り切れた。 事務室に上がり、売上金の整理をする。プロボクサーたちは練習に入った。 「そういえば、八木さん。バイトの人は?私が辞める前にはもう決まっていましたよね。あれから2ヶ月も経ってませんよ?」 「...先週で辞めちゃったんだよ。今は募集中なんだよ。まあ、さんが来る前の状態に戻ったっていうだけなんだけどね。」 そう言って溜息を吐く八木に 「苦労しますね...」 とは苦笑した。 はついでと思い事務処理も手伝った。 今職場でも似たようなことをやっているし、何年もバイトをしていたのだから手際がいい。 事務室にあった殆どの仕事を片付けては帰った。 |
ヒロインにはどちらに座っていていただこうかと思案した挙句、赤コーナー。
でも、確かに世間の目には奇妙に映るでしょうね。
ヒロインの赤コーナーって。
桜風
05.11.26
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