優しいキミ 3





店に入って一通りの注文を済ませた後、乾杯をする。私はお酒が飲めないからウーロン茶。

2人はお酒も手伝って凄い勢いでグチりだす。圧倒された私はただ聞いているだけだ。

ふと、の視線が一点に集中している。

私が腕を動かすとそれを追うようにの視線も動く。

ちゃん、何ですか、その指輪は?」

目敏いなぁ〜。

「貰ったんだよ、...宮田君に。」

やっぱり人に話すのって何だか照れくさい。

「宮田君?良かったね、ちゃん。...ちゃん、今日のこれ、木村さんに言われてやってんの?」

さっきまで勢い良く話していたちゃんが沈んだ声を出す。わけが分からないは私とちゃんを見比べて静かに見守っている。

「いや?仕事のストレスが溜まったって言ったでしょ?2人といるときが一番騒げるから誘ったんだよ。木村さんに何か言ったの?」

努めて普通を装った。私は顔に出るらしいから隠せているかが心配だ。

「...そっか。じゃあ、2人とも聞いて。私ね、この間フラれたんだ。二股かけられて、向こうの方が選ばれたみたい。――――――。」

ちゃんはコップの中のドリンクを見つめながら淡々と話した。私とは店内の喧騒の中、静かに話を聞いた。

ちゃんの話が終わって私たちも口を閉ざしていた。

ちゃん、飲め!!こんなイイ女と別れる奴なんて忘れなさい!きっといい人に会えるよ、大丈夫。アレだけ無頓着だったちゃんにも彼氏が出来たんだから、ね?だから、今は飲もう!!」

何だか少し失礼なことを言われた気がしたけど、私は飲み始めた2人を眺めていた。

さて、この2人が酔い潰れたらどうしよう。...家が近い木村さんにヘルプ求めるかなぁ?

しかし、私の心配は杞憂に終わった。翌日も仕事がある2人は途中からウーロン茶やオレンジジュースを器用にもお酒のノリで飲むに留めた。


が席を外しているとき、

「木村さんって、いい人だよね。」

ちゃんがポツリと呟いた。

「...そだね。でも、本人はそれが悩みらしいよ?いっつも『イイヒト』で終わるんだって。」

「ふうん、勿体無い。」

「うん、絶対にいい旦那さんになると思うよ。良く気が付くし。」

「...そこまで言っておいて何で、ごめんなさいしたのよ?」

「さあ。でも私の中では木村さんは結構初めから『お兄ちゃん』だったから。」

「なるほどね。...あ、戻ってきた。そろそろ帰ろう?」

そして私たちは帰って行った。



帰り道、携帯が鳴る。宮田君からだ。

「もしもし、です。」

『今いいか?...もしかして帰ってるのか?今日徒歩だろ?迎えに行こうと思って電話したんだけど、今どこにいるんだよ。』

「ジムの近くの商店街を抜けたところ。」

『たしか、近くにコンビニがあったよな。そこに居ろよ、今から走っていくから。いいな?』

そう言って返事も聞かずに通話が切れた。仕方がないから言われたとおりにコンビニの中に入って待つことにした。


程なく、コンビニのガラスの前に立つ彼の姿が目に入る。雑誌を立ち読みしていた私はそれを棚に戻して飴を買って店を出た。

「早かったね。体休めなくても大丈夫なの?」

「これくらい大した事じゃないし、もう1週間以上たってるんだぜ?いい加減トレーニングも再開しないと体が鈍る。」

私たちは何を話すでもなくただ手を繋いで歩く。

「そういえば、去年新宿に行ったとき、私の友達の彼氏に似てた人いたでしょ?あれ、たぶん本人だったみたい。酷いよね。」

「...さんの彼氏だったのか?ずっと前だけど『ラブラブだ』って言ってなかったか?」

「うん、結婚の約束したって言うのも聞いたことあるしね。」

「約束もしてたのにか?...人として恥ずかしくないのかよ。」

「宮田君は意地でも守ろうとするもんね。約束したときは逆にこっちが結構プレッシャーだったりするんだよね。私も意地でも守らないと、っていう気になるよ。」

「昔、命懸けで守ってくれた約束もあるもんな。」

「まあね。私も『約束をしたからには守らないと』って思ってるから。」

彼は私の言葉に満足したのか、繋いだ手に少し力を入れてぎゅっとしてきた。

ふと、何かを思い出し、私の方に顔を向ける。

「そういえば、この間はよくもやってくれたな。父さん、凄く動揺したじゃないか。説明しても半信半疑だったんだからな。納得してもらうのにも随分時間が掛かったし。」

「はっはー、ごめんって。寝顔が可愛かったからついイタズラしちゃった。」

大して反省していない私の様子に彼はブツブツ文句を言っていた。


「じゃあな。」

「うん、ありがとう。おやすみ。」

家の門に手を掛けると後ろから抱きすくめられて耳元で囁かれる。

「また、夢の中でな。おやすみ、俺の。」

心の準備が出来ていなかった私は動けなくなる。これはやはり、さっきの私の態度に対しての仕返しなのだろうか。

彼は私の反応に満足したらしく、フッと笑ってトドメに頬にキスをして去っていった。

「...やられた。」

既に自力で立つことが出来なくなっている私は、門に体重を掛けて何とか崩れないように凭れてた。

これはもう宮田君から私に対する宣戦布告と言うしかない。

受けて立ちましょう!?


―――でも、宮田君ってあんなキャラだったっけ...?




ホントに...一郎さんのキャラ、壊れてます!!(笑)
読み返しながら思わず、
『この浮かれポンチめ!!』
と言ってしまった...
書いたの、自分なのに、ねえ?
相変わらず、大暴走中な私です(殴)


桜風
06.1.28


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