薔薇姫の恋6





文化祭当日、いつもつるんでいるクラスメイトと回っていると聞きなれた声と名前で呼びとめられた。

「おーい、蔵馬ぁ!」

振り返ると予想通り桑原が居る。

その側には、雪菜、蛍子、そして、昼間だというのに幽助までいる。

「桑原君、此処では南野秀一です」

小声でそう言うも聞きそうにない。

「南野?『クラマ』って...?」

「あ、あー...あだ名だよ。ごめん、俺この人たちを案内するよ」

「ああ、いいぜ。俺はこれからナンパしに行くから」

そう言って一人は余所の学校の制服を着ている女子高生の方へと駆けて行った。

そしてもう1人は

「じゃあ、俺はアイツのブレーキになってくるわ...」

溜息を吐きながらそう言ってその場を離れた。


「で、何で桑原君たちがウチの文化祭に来てるんですか?」

クラスメイトに軽く手を挙げて応えた蔵馬は桑原たちに向きなおって聞いた。

「私が
さんから聞いたんです」

意外なことに、雪菜が答えた。

、ですか?」

「はい。この間お邪魔したときに文化祭のことを教えてくださって、よろしければ来てくださいって。
静流さんはお仕事で来られなかったのですが、蛍子さんには声を掛けることができましたから」

それなら何となく納得だ。

桑原が雪菜を1人で此処に来させるはずがないし、蛍子だって一人になるのはイヤだろうから幽助を誘うに決まっている。

「まあ、そういうことなら。
のいるところに案内しますよ」

そう言って蔵馬が案内を買って出た。


正門から離れた校舎へ向かっている途中、擦れ違う人間の思わず手を掴む。

「わぁ。ビックリした」

それはこっちのセリフだ。

擦れ違ったのは
で、ノースリーブに何故か太腿の辺りまでの深いスリットが入ったチャイナドレスを着ている。

一緒に居る女子生徒はチャイナ服だと言うのに...

、その格好、何...?」

「え?ウチの喫茶店って中国茶専門だから」

そういうことではない。聞いているのはそういうことではないのだ。

さん、可愛いです!」

雪菜が声を上げる。

「ホント、よく似合ってる」

と蛍子も感心する。

いや、だから...

蔵馬は色々言いたい言葉を飲んだ。

そして自分たちの側を通り過ぎる男性陣の視線にイライラする。

は、何でチャイナ服じゃないの?」

「何でだろうね?分かんないけど、そう決まってた」

あっさりと返されて蔵馬撃沈。

「じゃあ、これからどこへ行く気なんだ?」

「営業。正門付近でチラシ配ってくるの。あそこ、中々人が気付かないじゃない?案内の地図も分かりにくいしさ」

そう言ってチラシを掲げる。

主催者の意図がわかった。

を餌に客を掴むつもりらしい。

「じゃあ、俺もそれを手伝うよ」

虫除けをする気満々の蔵馬。

「ホント?助かるよ南野君」

一緒に居たチャイナ服の子が自身の持っているチラシを蔵馬に渡した。もしかしたらこれも計算のうちかもしれない。

嵌められたにしても何にしても。このままひとりで歩かせたくない。

「雪菜さん、ごめんなさい。私これからちょっとお店に居ないの。昼前からホール担当だから、出来ればそれくらいにでも来てくれる?」

そう言って雪菜にチラシを渡す。

「場所、分かりそうですか?」

蔵馬が聞くと、後ろから覗き込んでいた蛍子が

「たぶん...まあ、この学校の人だったらこれを見たら分かるんですよね?迷ったら聞いてみます」

と答えたのでその場で蛍子たちと別れた。


青くさい子って結構好きですよ、蔵馬さん。
ヒロインは綺麗な子ってなので客寄せに最適です。
ついでに、ヒロインはスタイルもいい(静流さん談)なので
チャイナドレスも良く似合っているはずです。
まあ、蔵馬にはそれが面白くないのでしょうけど!(笑)


桜風
06.12.26


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