| 本命1本に絞っていた
の受験は本日を以って終了となった。 やっと味わうことの出来た開放感に伸びをする。これで、何も気にせずに遊べる。 勿論、結果如何によってはこのまま就職活動をしなければいけないが、合格発表の日までは遊びたいものだ。 受験校の正門付近が俄かにざわついている。 皆受験が終わって浮かれてるんだなーと思う一方、今日の夕飯は何にしようと考えながら歩いていた。 「 !」 聞きなれた声。 見たことがあるバイク。 見慣れた人物。 見慣れたその瞳。 「あれ、南野くん?」 予想していなかった人物が目の前に居る。首を傾げているとバイクを押しながら蔵馬が近づいて来た。 「驚くと思ったんだけどな」 少しつまらなさそうに言う蔵馬に 「十分驚いてるよ」 と は笑顔で返した。 久しぶりだなー。あ、でもちょっと前に会ったばっかりじゃん。 そんなことを思いながら蔵馬を見つめていると 「何?俺の顔に何かついてる?」 と苦笑しながら蔵馬が聞いてくる。 「ううん。久しぶりだなーって」 「実際はそうでもないはずなんだけどね」 小さく笑いながら蔵馬も同意する。 「ところで、今日は何処かに寄る予定があった?」 蔵馬が話を変える。 「ううん。行くとしてスーパーかな?今夜何作ろうかって考えてたから」 「じゃあ、丁度良かった」 そう言う蔵馬の笑顔に、 はイヤな汗が流れる。 「今日、 の受験が終わるって話をしたら母さんが を連れて帰って来いって言うんだ。勉強して疲れてるだろうから、今日のご飯は家で食べてもらえって」 「え、いや。その...こんな格好だし」 「大丈夫、 は可愛いよ?」 だから、そんなコト誰も聞いてない... 逃げてもいいのだろうか... 悩んでいる間に蔵馬は笑顔で「はい」、とヘルメットを渡す。 中々それを被らない に被せてやり、バイクにまたがる。 「ほら、行こう」 諦めた は小さく頷き、蔵馬の後ろに乗った。 「しっかり掴まっててよ」 そう言ってアクセルを回す。蔵馬は上機嫌にバイクを走らせた。 バイクを快調に飛ばして畑中家に着いた。 「着いたよ」 思ったより早く着いたことに驚く。 「あのー、お土産とか買っていかなくても良いのでしょうか?」 なぜか敬語で聞いてくる に「いらないって」と笑って返す。 「あら、秀一。もう戻ったの?」 スーパーの袋を提げて蔵馬の母、志保利が戻ってきた。 「あ!お持ちします!!」 慌てて志保利の元へ が駆け寄る。 「ああ、いいのよ。 さんはお客様ですからね」 そう言って微笑む彼女は、少しだけ亡くなった母に似ているな、と思った。 蔵馬がバイクを置きに行っている間に、志保利に促されて も家に上がった。 「コーヒーでいいかしら?」 「はい。え、あの。お構いなく」 「そんな緊張しなくても大丈夫よ」 またしても の緊張が高まってきた。そんな姿を志保利は微笑ましい目で見る。 志保利に言われて大人しく「はい」と言うも、落ち着かない。 「あの」と志保利に声をかける。 「何かしら?」 「洗面所をお借りできませんか?手洗いうがいがしたいのですが...」 いつも家に帰って必ずすることなので省略すると気持ち悪い。 「洗面所ね」と言って廊下に顔を出し、 に説明をした。 「ありがとうございます」とお礼を言って、恐る恐る畑中家を歩いた。 洗面所で手洗いうがいをしていると、目の前の鏡に人影が映る。 「どうしたの?こんなところで」 少し驚いているらしく、蔵馬はまじまじと を見た。 「手洗いうがいをさせてもらったの」 そういえば、 の日課だったなと思いながら蔵馬もそれに倣った。 二人が揃って戻るとコーヒーカップが2つテーブルの上に並べてあった。 「ありがとう」と蔵馬が声を掛ければ、志保利は「どういたしまして」と答える。 は、正月に来たときよりは着慣れた服だからか落ち着いている。しかし、それでもなにやらそわそわして落ち着かない。蔵馬と志保利はアイコンタクトを取り、 「 、俺の部屋に行こう」 と蔵馬がそう言った。 「え、でも。お手伝い...」 「いいのよ。だって、ほら。 さんは今日まで全然ゆっくり出来なかったんでしょ?良いから休んでて」 志保利にそういわれ、更には自分のコーヒーは既に蔵馬が手にしている。 「では、あの。お手伝いが必要になったら声を掛けてくださいね」 そう言ってぺこりと頭を下げて蔵馬の後を着いていった。 |
南野秀一のお母さんは確か畑中さんと再婚したはず。
ということは、再婚後の苗字は『畑中』となっているはずなのでは...?
蔵馬は、南野姓を選んだのでしょうけど、多分表札は『畑中』。
ずっとこれ悩んでました(笑)
桜風
07.2.21
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