| 百足に向かって跳ねていき、その屋根部分に着地した。 「『お邪魔します』くらい言ったらどうだ?」 少し楽しそうに声に蔵馬は肩を竦めて振り返る。 「相変わらず耳敏いですね。久しぶりですね、躯。元気そうで何よりです」 少しだけ呆れたように蔵馬が言った。 蔵馬の背後に居たのは、躯だった。蔵馬がこの辺りにいることを知って百足を向かわせたのだろうとあたりをつける。 「飛影は、留守ですか?」 「ああ、残念ながらパトロール中だ。ところで、そのかわいらしいお嬢さんをオレに紹介してくれないのか?」 躯はそう言った。 はきょとんと躯を見ていた。 声は少し低めであるが、軽装である躯はその体格から女性だと分かる。でも、カッコイイなとか思ってしまう。 「知っているんでしょう?こちらに来てから彼女を紹介したためしがないんですけど?」 「勿論知っているが、紹介されないのに話しかけていいものかと思っていたんだ。こう見えて人間界の礼儀を弁えているつもりだったんだがな」 そう言いながら彼女は足を勧めて の目の前で止まる。 「初めまして、 。オレは躯だ」 「あ、こちらこそ、初めまして。 です」 ぺこりとお辞儀をする に躯は少し愉快そうに口角を上げた。 「本当に噂どおりだな」 「どういう噂か、かなり気になるところですね」 躯の呟きに蔵馬が声を掛ける。 「悪くはない噂だ。気にするな」 さらりとそう言うが、蔵馬は何となく釈然とせず肩を竦めた。きっと面白おかしく自分の事が噂されているのだろう。勿論、 の事は絶対にくっついている。 「まあ、とにかく入れ。茶ぐらい淹れてやる。もう少ししたら飛影も帰ってくるだろう」 そう言って躯は百足の中に入っていった。 は蔵馬を見上げていたが「行こうか」という蔵馬の言葉に嬉しそうに頷いた。 黄泉の屋敷も大きくて、中々あんな建物の中に入ることはなかったので楽しかったが、この走る家も楽しそうだ。 蔵馬に続いて も百足の中に入った。 百足の中の通路は学校の廊下くらいの幅があり、意外と広いと思った。妖怪が蔵馬を見て を見る。そしてなにやら納得したような表情を浮かべる者も居れば、蔵馬を楽しそうに眺める者も居た。 蔵馬は気づいていないのか、気にしないのか。そんな彼ら反応をしない。 きっと後者だろう。 「飛影さんに会いに来たの?」 此処へ来た目的をやっと蔵馬に問う。 「うん、顔を見ておこうかと思って。この要塞、百足って言うんだけど。さっき見たとおり移動しているから中々見ることはないんだよ。飛影自身も居ないことの方が多いみたいだからどうかなと思ったんだけどね。やっぱり居ないって」 「そっか、残念だね」と呟く。 も飛影とは会ったことがある。ちょっと雰囲気的にはとっつきにくそうだけど、そんなにツンツンしていない。 残念だな、と思いながら はそのままもの珍しそうに周囲を見渡していた。 通された部屋はどうやら躯の私室のようだ。 「少し待っていろ」と躯が茶器に手を伸ばすものだから 「躯が淹れるんですか?」 と蔵馬が問うた。 「何か不都合でもあるのか?茶くらい淹れられる」 不服そうに躯が言う。 「ちなみに、今まで淹れた事は?」 「ないが、見ていたんだ。それくらい出来る」 「座っていてください」 自分はともかく、 に変なものを飲ませるわけにはいかないとばかりに蔵馬が躯を押しのけて茶器に手を伸ばした。 仕方ない、と躯はソファに向かう。どうしたらいいのか分からない は入り口に突っ立っていたが躯に促されてソファに向かった。 手際よくお茶を淹れている蔵馬の姿を眺めながら躯が口を開いた。 「あいつはいつもああ口煩いのか?」 「まあ、大体あんな感じですけど...面倒見は、いいと思います」 家でも時々見ていられないとばかりに手を出すことはある。が、それを『口煩い』と思わない はそう返した。 躯は何故か愉快そうに笑う。 「蔵馬も変わったな」 「昔からのお友達なんですか?黄泉さんみたいに」 『友達』などと聞きなれない単語を耳にして躯は喉の奥で笑う。そんな彼女に は首を傾げた。 「いいや。最近だな、蔵馬と知り合ったのは」 全く、本当に彼女の発言は平和くさい。噂以上だと思う。 しかし、だからこそそんな彼女に執着している蔵馬が面白いのだろう。 「飛影さんは、ここに住んでいるんですか?」 この部屋に来るまでに何人もの妖怪とすれ違った。 「まあ、これは移動要塞だからな」 要塞と言うことは兵士が詰めているということだ。 意外と穏やかに話をしているな、と少し離れたところからお茶を淹れながら眺めていた蔵馬が3人分のお茶を淹れてソファに足を向けた。 |
魔界の三大妖怪では躯が一番好きです。
cv高山みなみってのが好き要素のひとつかもしれませんけど。
包帯ぐるぐるよりは、タンクトップな彼女がカッコイイ。
まあ、包帯グルグルでカッコイイとは表現しづらいですよねぇ...(苦笑)
桜風
08.5.6
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