| 少し寒い気がして目が覚める。 テレビはあまりつける習慣がないから、つけっぱなしで寝ることはないのに。目の前のそれには映像が映し出されている。 「うわぁ!」 飛び起きた におはよう、と蔵馬が声を掛ける。 「え、南野くん。あれ?何で?」 自分に掛けられている毛布と蔵馬を交互に見て寝起きの頭をフル回転させる。 そして、目の前のテレビをもう一度見た。 「ちょ、ちょっと。何見てるの!?」 は慌ててテレビに抱きつき、画面を隠す。 「だって。 は寝ちゃうし、テレビ見てても良いって言っただろ?だから、見てたんじゃないか」 全く悪びれずにそんなことを言う。 先ほどまで見ていたのは 家のホームビデオだ。幼い頃の が笑顔で手を振っていた。 ちなみに、生まれたときからずっと撮影されてる。中には真っ裸で家の中を歩いている姿を「可愛い〜!」と両親が撮ったものある。 はテレビを隠したまま周囲に首をめぐらせる。その問題のビデオは蔵馬の傍にあった。 「どれくらい見てた?」 「ああ、それはまだ2本目だよ」 リモコンの停止ボタンを押す気がない蔵馬。 テレビの電源を切ればいいのにそこまで頭が回らないらしく、 はずっとテレビにしがみついている。 面白いなーと思いつつ、ニヤリと笑って 「 は小さなころから可愛かったんだな」 と言えば、耳を真っ赤にして必死にテレビにしがみついている。 なんだか、自分に背中を向けられているだけってのも面白くないため、蔵馬はビデオを停止した。 ほっとしたように はテレビから手を離してその場でへたり込む。 疲れた... 部屋の時計を見ると、既に9時を回っている。 「ごめん。凄い寝てたんだね、私」 しょんぼりと言う に対して 「いいよ。楽しいものが見れたし」 と答える蔵馬。 は「もう!」と膨れながら立ち上がった。 そして、台所へ行き、「コーヒーでいい?」と声を掛ける。「うん。ありがとう」と返事をしながら蔵馬はビデオを片付けてテーブルに着く。 「はい、どうぞ」 差し出されたコーヒーマグは久しぶりに見る。懐かしいな、と思いながらコーヒーを一口飲んだ。 「やっぱり、 のコーヒーは美味しいね」 「そう?あのスーパーに売ってる豆だよ。市販の」 首を傾げながら答える が、「あ、ちょっと待ってて」と言って立ち上がる。 「何?」 冷蔵庫から何かを取り出して戻ってきた。 綺麗にラッピングがしてある。 「何?」 先ほどと同じ質問を繰り返す蔵馬に、「プレゼント」とそれを渡してきた。 「開けるよ?」 「うん、どうぞ」 に促されてリボンを解いて包装紙を開ける。 その中の箱を開ければ、チョコレートが入っていた。 カレンダーを見て、今日が2月14日だと気付く。 「これって...」 「バレンタインチョコ。取り敢えず、初めて作ったから微妙だけど...」 少し恥かしそうに が俯き加減にそう呟く。 ひとつつまんでそれを口の中に入れると甘い香りが広がる。 ああ、これか、と納得した。 この部屋に入ったときに漂ってきたあの甘い香りは がチョコレートを作ったからで、当然作っていた彼女にもその香りは移る。 「ありがとう。美味しいよ」 蔵馬がそう言うと 「ホント!?良かった!!」 は笑顔になり、機嫌よくコーヒーを口にした。 あっという間に時計が10時を回り、後ろ髪を引かれる思いで、蔵馬は立ち上がる。 「じゃあ、そろそろ」 蔵馬がそういうと はいつも一瞬寂しそうな表情を見せる。 が、それはすぐに笑顔で隠されてなかったことになる。 が玄関まで見送るためについてくる。下まで、と言っていたが寒いし風邪をひいてはいけないと断った。 玄関のドアを開ける前に、いつものように口付けを交わす。 名残惜しそうに2人の唇は離れ 「じゃあ、ね」 「うん。気をつけて」 いつもどおりの別れを済ませてドアが閉まる。 「さて、と」 蔵馬が出て行ったドアを暫く見つめていた は伸びをして自分の部屋へと戻る。 あと少し。これが終わったらまた蔵馬と過ごせる時間が増えるはずだ。 |
子供の頃の写真って人に見せられないものがありますよね。
全裸を写されたのは私です。祖母が可愛いからと言って撮ったらしい。
で、ウチの母に謝ったとか...
桜風
07.2.14
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