薔薇姫の戸惑い2





休日は大抵家で過ごす蔵馬は、先ほどから2階にある自室の時計を見たり、携帯のメールの問い合わせを
してばかりをしている自分に気付いて可笑しくなる。

無造作にベッドに携帯を投げ、自分もそこに横たわる。

彼女にとって初めて出来た同性の友人との買い物はきっと楽しいものとなるだろう。何より、その友達はあの雪村蛍子だ。

イヤな思いをするはずがない。これをきっかけに他にも友達を作ればいい。彼女が気にしている霊気は抑えられたのだから。

そんなことを考えていると小さく振動がくる。

先ほどベッドに投げた携帯を手探りで手に取り、開いてみる。

件名に
です』とあり、思わず起き上がる。自然と顔が緩んだ。

『携帯電話買いました!ただ今カフェで皆で休憩中。何だかキーボードに慣れているから携帯でメールを打つのは難しいです…(-.-;)
あ、電話番号は0×0………です。
なれるのにもう少し時間がかかりそう。絵文字の使いどころとかイマイチ分からないです。今度、使い方を教えてもらうことになりそう(^_^;)』


早速アドレスと電話番号を登録して返信する。

『早速のメールありがとう。慣れればこっちのほうが便利だよ。簡単に連絡が取れるしね。
楽しんでるようで安心したよ。また後で連絡するよ』


簡潔な文章で送信ボタンを押す。

そのまま財布を持って階下に下りた。

「あら、秀一?」

「ちょっと出かけてくる」

母にそう告げて玄関を後にした。


電車に乗って繁華街に出る。

さて、何処に行こう、と考えていると露店が目に入った。

足を止めてそこに並べられているものを見ると、携帯のストラップがあった。

薔薇の細工が施してあるそれは、色違いで2つある。

店主に声を掛け、それらを購入する。

ひとつは何もつけていなかった自分の携帯に付けた。そして、もうひとつをポケットに入れる。

出かけたついでに何か買って帰ろうと思い、少し回ってみることにした。


同じ頃、
は戸惑っていた。

休憩を済ませてカフェを出た後。何故か自分は着せ替え人形になっていた。

服を買いたいという蛍子に付き合い、店を巡る。

彼女自身しっくり来るものが中々見つからない中、
は静流のおもちゃにされていた。

「さすが似合うわー...」

心底感心したような声を出して静流は溜息も吐く。

その隣で雪菜も真剣に頷いた。

「タッパもまあまああるし。色白でスタイルが良いから大抵のものは着こなせちゃうみたいねー」

しみじみといわれて
は反応に困る。

そこに店員もやって来て強く購入を勧めてくるのだ。

そうは言っても、両親の遺産だけで生活している
はなるべく日々の生活を質素に送るようにしている。

こんな服、買ったことがないし、たぶん着る機会もない。

何とか断って店の外で待たせてもらうことにした。

「人付き合いって大変だぁ」

しみじみと呟き、空を見上げた。

でも、何だか楽しい。爽やかな風を頬に感じながら目を瞑った。



季節的には初秋ですね。
9月の半ばとかそれくらい。
でも、カレンダーの休日って美容師さん(静流さんの職業はそれだったと思うのですが...)って
お仕事ですよね。
あ、年休か?!


桜風
06.12.4


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