| 日が傾き、外の空気が少し冷えてきた。昼間はまだ暑いが、夕方からはもう秋という季節を身に感じる。 「どうぞ」 は玄関を開けて家に入るように促す。 何故か の家で皆で夕飯を作って食べようという流れになり、別に不都合もないため は皆を家に招いた。 帰る途中に馴染みのスーパーに寄って食材を購入する。 比較的整頓することを苦と思わない の部屋は大抵片付いている。突然お客さんが来ることなんてなかった けど、それが習慣づいているためこんなときも困らない。 きっと母の影響だろうな、と思いながら皆を案内した。 案内された3人は少し殺風景な部屋だな、と思いつつも足を進める。 はとりあえず自室に荷物を置いてリビングに向かった。 「何飲みます?コーヒー、紅茶、緑茶に麦茶。グレープフルーツジュースもありますよ」 「麦茶って冷蔵庫に入ってるの?それでいいよ。面倒でしょ」 静流の言葉に蛍子と雪菜も頷き、 はそれをコップに注いで持っていった。 「ねえ、 さん。これ、どうしたの?」 白い狐のぬいぐるみを持った蛍子が聞いてきた。 何故皆はそれを聞くのだろう? 不思議に思いながら「南野くんに貰ったの」と正直に答えると、「へー」と静流が注目する。 その白いぬいぐるみに少し妙な感じを受けていた。このマンションのある場をぼやけさせるような、そんな感じだ。 恐らく、霊感が強かった を狙って妖怪が襲ってこないように蔵馬がそのぬいぐるみに何か細工をして渡したのだろう。 中々抜け目がない。 「ごめん、灰皿あるかな?」 タバコを吸おうとして静流が声を掛けてくる。 「灰皿、ですか?」 タバコを吸う人間の居ないこの家にそんなものがあるはずがない。 とりあえず何か代用になるものを探していると 「ああ、いいよ。ごめんね、無理言って」 と止められた。今度灰皿を買っておいたほうがいいのだろうか?? それから、「今日は私が作るわ」と言って腕まくりをした蛍子によって夕飯が作られていく。 蛍子の実家が定食屋だと後で聞いて何だか納得がいった。 食事のとき、気になったので皆に聞いてみた。 「あの、何で皆さんは南野くんのことを『蔵馬』っていうんですか?」 「あれ、 さん聞いてないんですか?蔵馬さんの昔の話」 驚いたような声で蛍子が聞き返した。 「昔の..妖怪だという事は聞きました。で、そのときの名前が蔵馬、って。たぶん、それって普通はヒミツ なんじゃないかって思ってたんですけど...」 「ああ、ちょっと前。1・2年くらい前に色々あってね。それであたしたちも知り合ったんだよ。 そのときは蔵馬の方で呼ばれることが多かったから。寧ろ、人間の名前の方を知らずに過ごしてたわ。 まあ、色々の内容は蔵馬君に聞けば教えてくれるよ」 そう静流に言われて今度聞いてみようと思った。 あまり遅くまでお邪魔しては迷惑だというコトで、3人は遅くならない時間に帰っていった。 もマンションの下まで見送った。 家に帰ると携帯が鳴っていた。 慌てて取ると、ディスプレイに『南野くん』と表示されている。 「もしもし!」 『 ?今、大丈夫??』 「うん、大丈夫」 『どうだった、今日?』 蔵馬にそう聞かれて今日あった出来事を話す。 電話の向こうで蔵馬も楽しそうに相槌を打つ。 「そういえば」 『ん?』 「さっき静流さんに言われたんだけど。1・2年くらい前に何があったの?何で皆は南野くんのことを『蔵馬』って いうのかって聞いたらそう言われたの」 の言葉に少し言葉が詰まる。 『今度、話せる時間があるときに話すよ。長くなるから』 そう言う。意表を突かれた質問でそう返す以外、思い浮かばなかった。 実際、少し話が長くなりそうな内容だ。 「そう。分かった」 もそう答えたきり強くは聞かなかった。 |
蛍子ちゃんや静流さんって蔵馬のこと『蔵馬』って言ってますよね?
まあ、あのメンバーの中では『南野秀一』の方がマイナーになってそうですけど(笑)
桜風
06.12.5
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