薔薇姫の憂い1





今朝は早めに家を出た蔵馬は、高校への登校途中に妙なものを見つける。

久しぶりに見る下級妖怪。大した力はないが、人を驚かせて楽しむ程度のものだ。力が弱くても、人は奇妙な現象を怖がる。

とりあえず追い払っておくか、と思いそれに近づいた。

が、それが居るそばには盟王高校、つまり、蔵馬が通っている高校の制服を着た子がいた。

どこかで見たことあるな、と思って様子を見ていたら、彼女はそれが見えるらしく、睨みつけている。

下級妖怪は逃げていった。


休憩時間、クラスメイトと雑談していると、誰かが窓の外の人物に気付く。

「薔薇姫だ」

「薔薇姫?」

聞いたことのない単語に蔵馬は聞き返す。

「そう、ホラ。あの子。


クラスメイトが口にした『
』という名前が気になる。漢字まで頭に浮かんだほどだ。

「どこかで聞いたことがあるような...」

蔵馬の呟きに、クラスメイトたちは溜息を吐く。

「ほら、大抵お前とか海藤とかと試験で学年トップ争いをしてる」

言われて納得。そういえば、そういう名前が自分の近くにあったと思い出す。

「で?何で彼女を薔薇姫って言うんだ?」

蔵馬が聞くとクラスメイトは少し興奮したように

って、綺麗だろ?」

と聞いてくる。

「まあ、そうだね」

「でも、毒舌。というか、他人と距離を置きたがってるみたいで、団体行動が苦手みたいなんだ。それが『トゲ』があるってことで...」

「綺麗な薔薇には、棘がある?」

「そういうコト」

「なるほど」とつぶやき、再び彼女を見遣る。

確かに、彼女は他人を寄せ付けないようにしているようだ。けど、彼女は団体行動が苦手なのではない。きっと、人と関わらないようにすることで自分の何かを守っている、そんな印象が残った。


部活動も早々に引退していた蔵馬は、学校が終わるとまっすぐ家に帰る。

勿論、友人に誘われれば寄り道して帰るが、蔵馬を進学組だと考えているものが多いため今の時期そんなことをする者は殆ど居ない。

そんなわけで、その日もまっすぐ家に帰ろうとして思い出す。

今日は家族が誰も家に居ない。

外で済ますのも面倒だし、たまには自分で作るか、ということで帰路を変更した。

そして、スーパーへ続く道の先にまたしても彼女、
を目にする。

今日は縁があるな、と思いつつ適当に気配を殺して歩いていた。

すると、彼女に妖怪が近づく。

今回のは今朝に比べて強めだ。魔界と霊界の協定があっても破るものも居るし、取りこぼしてしまうことだってある。

こう半端な力の者だと魔界、霊界両方の網を潜り抜けて人間界にやってこれるものだって出てくる。

蔵馬も見つけ次第、害がありそうなら魔界へ強制送還しているがそれだって草の根レベルで大した解決策に至っていない。

今回のも、害がなければ放っておこうと思っていた。しかし、そいつは人を食う種の妖怪で、彼女はその餌に選ばれてしまったらしい。

実際、彼女は霊感が強いのか、妖怪の好みそうな感じでもある。

さすがに静観できなくなった蔵馬は彼女に駆け寄り、妖怪と彼女の間に割り込む。

「今すぐ魔界へ帰れ。そうすれば、見逃してやる」

そう言って睨みつけていると別の妖怪がやって来て風の速さでそいつを連れ去っていった。

所謂、魔界から人間界へ派遣された保安員の役割を果たす妖怪だ。人間とのトラブルをなるべく少なくするために出来たシステムで、中々活躍してると聞く。

は蔵馬を見上げる。

「一応、お礼を言っておくわ。ありがとう」

無愛想にそう言って彼女はスタスタと歩き出した。

「本当に、棘があるな」

蔵馬は苦笑しながらそう呟いた。


勢いって大切ですね(笑)
と言うわけで、自分の中で消化できそうになかった蔵馬夢。
書いちゃいました☆
しかし、つくづく私は短編書くのが苦手デスね。
また連載です(笑)


桜風
06.11.20


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