| スーパーへ行き、かごを手にする。 チラシを手に取り、特売品のチェックをしながら中を歩いた。 そこで、またしても を見かける。 彼女も蔵馬に気付いたらしい。 最初は視界の隅にその姿を認めたようで、もう一度蔵馬を見る。 二度見された蔵馬は苦笑した。 は首を捻り、下を向いて、今度は上を向いてまた首を捻る。何かを考えているようだ。 そして、蔵馬に向かって近づいた。 「南野、くんよね?何してるの??」 「見てのとおり買い物。今日は両親が旅行に行ってるし、弟は修学旅行。家に1人だから外食でも良いんだけど。何か作ろうかと思って」 蔵馬の返答を聞いた は少し考えて 「じゃあ、さ。ウチに来て一緒に食べる?」 と言い出した。 のその言葉に少し驚いた蔵馬だったが 「迷惑でなければ」 面白い展開になったと興味がわく。 「じゃあ、そうしよう。あ、材料費は、割り勘ね」 の言葉に、笑いながら蔵馬は頷いた。 買い物を済ませて の家へと向かう。 「ここよ」、と が言ったマンションはオートロックで、立地条件外観ともに中々のものだ。 案内されて部屋の中に入ると少々殺風景な感じがした。 「ありがとう。それ適当に置いてて。悪いけど、ちょっと着替えてくるわ」 スーパーで購入したものを蔵馬は言われたとおり適当において、リビングのソファに座った。 出窓の写真立が目に止まる。 その写真には嬉しそうな笑顔の幼い少女と、彼女を挟むようにその両親と思われる男女が微笑んでいた。 幼い少女に の面影を見る。 少しして部屋のドアが開く音がして、ジーパンにTシャツというラフな格好に着替え終わった が出てきた。 「コーヒー、紅茶、緑茶、麦茶、オレンジジュース。どれがいい?」 「じゃあ、コーヒー」 「オッケー」と言いながらエプロンをして台所に立つ。 やかんを火に掛けて先ほど買ってきた食材を仕舞い始めた。 「何か手伝おうか?」 「いいよ。さっきずっとコレ持っててくれたんだから」 そういいながら冷蔵庫を開ける。 蔵馬にとって、というかその年頃の男性にとって別に大した重さではないが、人の家だしあまりうろつくのは良くないと判断して大人しくソファに座っていた。 「あー、そこら辺にある本とか。好きに読んでいいよ。テレビゲームも有るけど、やる?」 「いや、ゲームは良いよ」 そう言って手近なところに無造作においてある雑誌を手に取った。 パラパラと雑誌を捲っていて段々可笑しくなった。 今日、面識を持ったクラスの違う女子の家に何で自分は何の違和感もなくお邪魔しているのだろうか? 「何、思い出し笑い?」 「いいや。なんだか、今の状況が可笑しくてね」 「そ?」一言そう言ってコーヒーの入ったマグカップを置いて台所に戻った。 そして、程なく「痛っ!」とか「うわっ」とか振り返るのが怖くなる声が聞こえだす。 「 さん...」 「声掛けないで。今、集中してるの」 マグカップに入ったコーヒーを一気に飲み干して蔵馬は立ち上がった。 大人しく待っているとどんな料理が出てくるか分からない。 集中している は蔵馬の動きに気付いていないらしく、一生懸命野菜を刻んでいる。 が、不揃いだ。 見ていられない、と思った蔵馬は「貸して」と言って の場所を占領する。 蔵馬の包丁捌きに は「ぐぐ..」と唸った。見事だ。 「南野くん、制服の上着脱いじゃったら?」 「うん、大丈夫」 そう言って残りの工程を全て自分の手によって済ませた蔵馬は、 が用意したテーブルにそれらを並べていく。 「さあ、どうぞ召し上がれ」 蔵馬が笑いを含んだ声でそういい、 は悔しそうに「いただきます」と手を合わせた。 しかし、その悔しそうな表情も料理を口に運んだ途端綻ぶ。 「美味しい!」 「それは良かった」 そういいながら蔵馬は自分の料理を口に運ぶ。うん、美味しい。 これが、2人の初めてのデートだった。 |
展開が早い(笑)
蔵馬の口調を悩みます。
ヒロインは同級生だからタメ口にしているのですが。
一応彼は海藤君にも敬語だったしなぁ...
そこが難しい...
桜風
06.11.21
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