| ひょんなことから蔵馬が
の家で食事を作った翌日も、学校で見かけた
はやはり棘があり、簡単に近寄れない。 本人が嫌がっているのもあって無理に近づこうとは思わないが、勿体無いと少しだけ思う。 あれから、時々メールを交わす。 学校に行けば直接話せそうなものなのに、 はそれを頑なに拒否する。 そして、時々蔵馬は の家に行って料理を教える。 「南野くんって花嫁修業ばっちりじゃん」と言って は笑う。 その日も食事を整えて食卓に着いた。 「そういえば、 の後見人ってあさっての進路指導に来てもらえるの?」 「あ。うん。連絡入れたら即OKしてくれた。『久しぶりの下界も悪くない』って言ってたよ」 「下界?」 「うん。普段は山奥に住んでるの。道場もやってるんだけど、あんな山奥に誰が来るのかね? 全国行脚の武者修行をやってる人でも見つけられそうにないんだけどな...」 そう言ってサラダを口にする。 蔵馬の頭の中には、『山奥』、『道場』、『霊能力者』のキーワードで思い浮かんだ人物が居たが、まさかそれはないだろうと否定した。 しかし、その2日後。 蔵馬は校内で見慣れた人物を目にする。 「幻海師範!?」 魔界トーナメント前に非常にお世話になった、霊光波動拳の使い手である幻海が普通に校内を歩いていた。 「蔵馬か。丁度良かった。3年E組はどこだ?」 『3年E組』。つまり、 のクラス。 「もしかして... 、ですか?」 「知り合いか?丁度いい。案内してくれ」 そういわれて断る理由も見つからず、3年E組まで案内した。 廊下には正門が見えるところに立って一生懸命窓の外を覗いている の姿があった。 「 、待たせたね」 幻海が声を掛けると嬉しそうに振り向いた は固まった。何故その隣に南野秀一がいる!? の表情の意味に気付いている蔵馬は 「じゃあ、俺はこれで」 「ああ、助かったよ」 幻海の言葉を聞いて一度だけちらりと を見て背中を向けた。 「ごめんなさい、幻海さん。お迎えにいけなくて」 「いや、構わないよ。珍しいものが見れたしね」 そう言って蔵馬の去った先を見て小さく笑った。 クラス担任と進路についての三者面談が始まる。 「で、 は大学進学か?」 「いえ。あの、働こうかと...」 の返事に担任は眉を上げる。 「我が校を代表とする秀才のお前が大学受験をしないのか!?」 「何故だい?」 隣に座っている幻海も静かに聞いてくる。 「もう、ひとり立ちしないといけないかなって思って。ほら、幻海さんにいつまでもお世話になってるのも悪いから...」 その答えを聞いて幻海は深い溜息を吐き、 の後頭部を軽くはたいた。 「痛い...」 「何を生意気なことを言ってるんだい。あたしは構わない。そういったらお前はどうする? 実際、構わないよ。こうやって後見人が必要になったら出てくるつもりだし、それを苦とも思わない。 第一、 は両親がなくなってからどれだけあたしに迷惑を掛けた?!全くと言って良いほどそんなもの掛けられた覚えはないよ。 寧ろ、あたしの馬鹿弟子のほうがよっぽどたくさん世話する羽目になってるよ」 そう言う。 そして、少し語気を和らげる。 「自分の生きたいように生きればいい。あたしは、 の両親と約束しているんだから。 両親が居ないことが原因で何かを諦めないように、お前が望むような人生を送らせてやるように力を貸す、とね」 幻海の言葉に、 は目に涙を浮かべて、 「大学に、いきたいです。もっと勉強したいです」 とかすれた声で答えた。 「そういうことだから。この子の行きたいところを受けさせてやってください。学校のための受験ではなく、 この子の思い描いた未来のための受験を。さあ、話はこれでおしまいだろ。 、帰るよ」 そう言って幻海は立ち上がる。 も慌てて涙を拭いて立ち上がる。 「しつれいします」と教室を出て家に向かった。 「幻海さん、こっちに泊るんですよね?荷物は?」 「ああ、ちょっと持ち歩くのが面倒だったからね。預けてある。後で持ってこさせよう」 「え、取りに行きますよ」 「良いから。そうそう、今日の夕飯は外で食べるよ。構わないだろ?」 そういわれてコクリと頷く。確かに、一向に構わない。 何はともあれ。まずは の家に帰ろうという話となり、2人は の家に向かった。 |
幻海さんが後見役。
凄い人が後ろ盾についていますよね...
そして、進路指導させてもらえなかった担任の存在。
さすが幻海師範です(笑)
桜風
06.11.24
ブラウザバックでお戻りください