| 時間が有れば仲間と共に修行に励む。 これは彼らのライフワークのようなものだ。 どうしても倒したい相手が居るというわけではない。 強いに越したことはないが、今の魔界は強くなければ殺されるというほど殺伐とした世界でもなくなった。 何となく、平和だ。 人間界でひょんなことで知り合った仲間と過ごす時間も、まあ、悪くない。 だから、死々若丸は彼らと共に居ることを選んでいる。素直ではないため嫌々といった感じを醸し出しながら。 最近は本性で居ることが多い。 たまに、修行相手の仲間から大きなサイズになってくれと頼まれ、裏御伽チームにいたときの外見となることもある。 その日も付き合いで人型となって修行相手を務めていたが、ふと視界にある人物が入り手を止める。 だ。 思わず攻撃する手が止まる。 「危ない!」 彼女が思わず声を上げるが、死々若丸は本性に戻ってそれをかわした。 「お前、それずるいぞ!」 抗議する仲間に 「俺みたいなのが相手だったらこういう状況もありうるってことだ」 と悪びれずにそのまま修行を放り出して少し離れた崖の上から彼らの修行を眺めていた彼女の頭の上に載った。 崖に腰掛けて はぶらぶらと足を揺らす。 頭上の死々若丸にもその振動は伝わり、何だか揺りかごのようだと、伝え聞いたその道具の事を思っていた。 「死々若って、何でいつも此処に落ち着くの?」 はそう言いながら視線を頭の上に向ける。 と、言っても頭の上のその存在までは視界に入らないが... 「別に。理由はない」 死々若丸がぶっきらぼうにそう答えた。 「ふーん」と は興味なさそうに相槌を打つ。 それが少しつまらないと思った死々若丸が再び口を開いた 「まあ、お前の頭の上は丁度いい高さだからな」 と取って付けた様な言葉を口にする。 「あるじゃん、理由」 は笑いながら細かいところを突く。 「ふん、」と死々若丸は鼻を鳴らしてそのまま の頭に体重を掛けた。 本当は、心地よいから。 ならきっと心地がいい。肩とかでもいいと思う。 だけど、そんな表情をしている自分を見られたくない。 だったら、ひとつしかない。頭の上だ。 あまり の表情が見れないが、それでもいいと思う。 「まあ、そうだよね。鈴木の頭はツンツンしててちょっと据わりが良くないかもしれないし、凍矢は寒そうだし。酎はお酒臭いから遠慮したいな、私も。あと..鈴駒は、ちっさいもんね」 はそう言って笑う。 「まあ、そういうことだ」 死々若丸は偉そうにそう肯定した。 「ま、仕方ないから死々若に私の頭の上を貸してあげよう。私にとっても丁度いい重さだしね」 やはりそう言って は笑う。 カラカラと笑う の声に死々若丸の口元は少しだけ緩く笑みを浮かべた。 お互いが丁度良いと言うなら、それでいいのだろう。 |
桜風
08.5.1
08.7.1(再掲)
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