| ディアッカが発した“初恋”という単語が頭から離れない。 しかし、の話によれば、学校に通い始めてから様子がおかしいとのことだ。 かなり高い確率でそれはありうるかもしれない。 ヴィンセントと外出の約束をしている前日、イザークは早めに家に帰った。 といっても、そろそろ議会がはじまるので帰る時間は遅くなってきている。 帰宅しても家は静かだった。 子供たちが起きているとパタパタと駆けてきて「おかえりなさい」とキスをしてくれる。 ちなみに、には子供を身ごもっていると聞いて以来、早めに休むように言っている。 それなのに、 「おかえりー」 彼女はイザークが帰宅するのがわかっていたら起きているのだ。 「いつも言っているだろう。寝ていろ」 「いいじゃない。今、目が覚めたの」 「うそつけ」 「はーい、つきました」 そう言ってはイザークにお帰りのキスをし、彼はただいまのキスをする。 「今日、ディアッカと話をしたんだが...」 「ん?」 軽めの夜食を口にするとイザークが言ったのでが作っている。 「もしかして、ヴィンセントの悩みの種は、初恋じゃないだろうか」 「へ?!あつっ!」 熱した鍋に手が当たってしまった。 急いで手を冷やしているの元に、イザークも足を向ける。 「大丈夫か」 呆れたように言う。 「うん、びっくりした。で、えっと。初恋?」 「よくよく考えたら、学校に通い始めてからなんだろう?」 「まあ、そうねー」 「ない話じゃないだろう?」 「まあ、そうねー」 同じ言葉を繰り返す。 どうやらは動揺しているらしい。 イザークはクツクツと笑う。 「な、何よ!」 「いや、何でもない」 そう返すがやっぱり笑っている。 「初恋だなんて...ちょっと早くない?」 「そんなことないだろう」 イザークが言う。 「どういうこと?」 は首を傾げた。 イザークはおもむろにの額に唇を落とす。 「俺の初恋は、どうやら2歳の頃らしいからな」 いたずらっぽく笑ってそういったイザークには目を細める。 の母親のノルンが、戦場を駆けている夫に娘の成長を見せるためにたくさん記録を取っていた。 日記や、録画。写真もたくさんある。 その録画されたものの中に、イザークとが初めて出会ったときのものもあった。 イザークはヤキン防衛戦の後に、カインとともにそれを見た。 はっきりと記憶にはない。けど、何となくそう言うことがあったかもしれないという感覚はあった。 「そっか。それを考えたら...」 は頷きかけてとまった。 「やっぱ、ちょっと寂しいなー」 彼女の言葉にイザークは苦笑する。 「俺がいる」 「イザークしかいないじゃない」 照れ隠しにが不満げに言うと 「素直じゃないな、ホントに」 とイザークは笑った。 夜食を口にしているイザークにつきあっては部屋に戻らずに彼の食事を眺めていた。 「あまり見るな」 「いいじゃない。普段こうやってゆっくりできないんだから」 が言うとイザークはそれ以上言えなかった。 「そういえば、ディアッカに文句を言われたぞ」 「なんて?」 「母上がを自慢しまくるから、ディアッカにプレッシャーが掛かり始めたらしい」 イザークの言葉には苦笑して「わー、ごめんねー」と今ここにいないディアッカに謝罪する。 「今度ミリィ上がってくるじゃない。そのときにガッと頑張っちゃったらいいのに」 「難しいだろうな」 イザークがつぶやく。 「何で?」 「1回振られているからな。及び腰だろう」 「わー、めげないのがディアッカのいいところなのに」 が笑うと 「めげなさはラスティの方が上だ」 とイザークがつっこみを入れる。 「あそこはまとまるかしら?」 が愉快そうに言う。 「さあな。両方とも素直じゃないからな。ニコルを見習えばいい」 「もしくはイザーク?」 「の間違いだろう」 イザークの返しには笑う。 「平和っていいねー」 「そうだな」 イザークは頷いた。 |
桜風
12.11.19
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