Affection for 4





ヴィンセントと約束をしたその日、イザークは彼とともに出かけていった。

そして、は遠い目をしながら娘と出かける。


「ねえ、パパはどうしてヴィンセントとお出かけしたかったのかな?」

ノルンが問う。

「んー、ねえ、ノルン。最近ヴィンセントの様子どうかしら?」

が問う。

「ん?いつも通りじゃない?あ、でも。話を聞いてないことが増えたかも。ぼーっとしてるっていうか」

「学校でも?」

「んー、学年が違うからわかんない」

「そっか」

わかんないんだ...気にし過ぎかな...

絶対に何か、悩みのようなものはあると思ったが...

そもそもイザークってそんな話をするのが苦手だろう。

「うーん、やっぱ間違ったのかな?」

がつぶやくとノルンは首を傾げる。

「あ、フレイお姉ちゃん!」

ノルンが手を振った。

今回、フレイが来たのはのためだ。身重の彼女がずっとノルンの買い物につきあうのは負担だろうと思ってイザークが頼んだ。

予定がないから、とフレイは快く引き受けてくれた。

エザリアに連絡をしなかったのは、先日を疲れさせた前科を持っていたからだ。

彼女はものすごく反省したが、少し距離をとってもらうことにした。

もちろん、エザリアが抜きでノルンと共に出かけることまで禁止していないので、彼女はこの措置にそこまで異議があるわけではないらしい。


少し買い物をしてと荷物をカフェに預けてまた買い物に出かけるノルンとフレイ。

年齢的にはフレイがよりも2つ下だから、親子といっても言い過ぎではないかもしれないが、そもそもの結婚が早かったから、やはり年の離れた姉妹のように見える。

フレイは一人っ子だったから妹ができたようでうれしいというが、そもそも妹のようなものだったら、ミーアという者がいる。

こちらは年が近くて、友達のような感覚だとか。世話焼き度なら、やはりノルンのほうだろう。

家から持ってきた文庫本を読みながら時間をつぶしていると「こんにちは」と声をかけられて顔を上げる。

「キラ」

「どうしたの、イザークは?」

が一人でこんなところにいるとは思わなかったのだろう。

彼にそう聞かれて、「イザークは今日、ヴィンセントとデート」と苦笑して返す。

「え、じゃあ。はひとり?大丈夫??」

彼女が身重なのはキラも知っている。

「うん、今日はノルンとデートなんだけど。体力諸々の問題を解決すべく、フレイにつきあってもらってる」

の言葉に「なるほど」とキラは苦笑した。

「キラこそ、ひとり?」

「うん。今日は僕だけ」

「珍しいね。ラクスは?」

心持ち音量を小さくして彼女の名前を口にしてが問う。

「家の方が忙しいみたい」

「家?」

が聞き返す。

「一応“クライン”が戻ってきているみたい」

「これまた面倒な...」

は溜め息混じりにつぶやいた。彼女も“家”の面倒くささは知っている。

「うん、そうみたい」

キラは困ったように笑った。

「こればかりは、僕が手伝えないからね。夕方、ちょっと抜けだそうって話をしているんだ」

「あら、ステキ」

は笑う。

「そうかな?だと良いんだけど」

キラは照れたように笑った。


そのままと相席をする。

「ねえ、キラ。ヴィンセントくらいの年の子って何を悩むかな?」

聞いてみた。ディアッカ説もなかなか良い線行っていると思うが、それが事実だと寂しいのだ。

「んー、子供も人..人間だからね。僕が地球にいたとき、マルキオ導師の孤児院手伝ってたけど。やっぱりみんな色々と抱えていたよ。特に、孤児院、あそこは戦災孤児ばかりがいたからね」

「...あー」

は何と言っていいやら、という表情をしていた。

もこれまでの戦争で孤児をたくさん作ってきているはずだから。

「僕もだよ」

不意にキラが言う。

「え?」

「僕も、と同じだよ」

悲しそうに睫を伏せてキラが言う。

「ごめん、思い出させたね」

が言うと

「ううん。これは、僕が..僕たちがきちんと背負って行かなきゃいけないことだから」

キラが静かに帰した。

「うん、そうだよね」

しばらく向かい合って沈黙していたら、それを明るい声が破った。

「あ、キラお兄ちゃん!」

一回りしてきたノルンが戻ってきたのだ。

「けれど、守ったものもたくさんあるよ」

とノルンを見ながらキラがいう。

「うん、そうだね」

は素直に頷いた。









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桜風
12.11.26


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