Affection for 6





イザークとヴィンセントの方が早く帰宅した。

「ちちうえ、今日はありがとうございました」

礼儀正しく例を言われて「いや、また出かけよう」と返す。

その言葉に彼は嬉しそうに頷いた。


「で、どうだった?」

ヘロヘロになって帰ってきたは就寝前に何とか持ち直してイザークに話を促す。

「まあ、だいたいはディアッカの予想通りだったな」

「え、どんな子?可愛い??お行儀のいい子???」

「俺は会ってないし、根掘り葉掘り聞かなくても良いと言うの言葉の通り話を聞いただけだ」

「そっか」とが寂しそうに呟く。

「で、そっちは?」

「フレイのお陰で一応ね。あと、途中でキラに会ったからキラが色々と荷物持ちしてくれた」

「そうか」

安堵の息を吐く。

たちが戻ってきたときの荷物の量を見てイザークは絶句した。

まさか、これをに持たせていないだろうな、と心の中でフレイに突っ込んでいたのだ。

、フレイ、ノルンだったらどう考えても軍人経験のあるがいちばんの力持ちだ。

だが、今は重いものを持たせるわけには行かない。

ただし、キラがいたのなら彼はそういう配慮に欠かないだろう。

(明日、礼でも言っておくか)

今日、ヴィンセントに戦争の話をした。

ふと、当時を思い出して苦笑する。

憎んでいた。恨んでいた。

その相手を今は友人と言える。



「なに?」

愛しい妻の名を呼べば返事がある。

イザークは彼女を抱き寄せてキスをした。

「どうしたの?」

「愛している」

「ん?うん。同じく?」

疑問形で返されてイザークは苦笑を漏らした。


「んで、どうだった?」

愉快そうにディアッカが開口一番聞いてきた。

「色ぼけた貴様の考えたとおりだった」

「わー、ヴィンセントの初恋かー。感慨深いな...てか、早くね?」

ディアッカが問うと

「俺は2つのときだ」

とイザークが返す。

「え、マジで?どなたに?」

ディアッカが食いつく。

だ」

「うわ、もうホントつまんないねー」

「やかましい」

忌々しげにイザークが返す。

「なあ、ディアッカ」

「んー?」

とりあえず、昨日の話を聞いて楽しんだディアッカは仕事を始めていた。

「憎しみの賞味期限と言うのは、あるのだろうか」

イザークの問いにディアッカは手を止めて彼を見た。

「お前がよく知ってるんじゃないのか?」

ストライクのパイロットを憎み、恨んだ。しかし、受けた顔の傷を消さないことで憎しみをもたせていたような気もする。

「俺には、がいた」

「...そうだな」

ディアッカは頷く。

「それに、戦争で家族は失っていない」

「どうしたんだよ、突然に」

困惑気味にディアッカが問う。

「ディアッカ」

「早退するか?今の時期、ギリ大丈夫だぞ?」

「お前にとって愛って何だ?」

「よし、帰れ」

ディアッカがイザークの帰り仕度を始める。

そんな彼を見てイザークは溜息を吐き、仕事を始めた。


午後の会議のため、会議室に向かっているとキラを見つけた。

「キラ」

イザークに呼ばれて彼は足を止め、振り返る。

「ああ、イザーク」

「昨日は世話になったそうだな。礼を言う」

「ううん。僕も時間があったし。ノルンとフレイって何だか姉妹みたいだね」

苦笑してキラが言う。

「ああ、だからはその勢いに押されていつも大変そうだ」

イザークも苦笑で返す。

「かもね。って基本的に押しに弱そうだし。そういえば、イザークはヴィンセントと出かけたんでしょ?」

「ああ、よく知ってるな」

しか見えなかったからイザークを探したんだよ。そしたら、が『イザークは今日、ヴィンセントとデート』って言ったんだ」

なるほど、とイザークは納得した。

「終戦記念博物館に行った」

キラは俄かに驚いたように眉を上げた。

「どうして?」

「ヴィンセントのたっての希望だったんだ」

「そういうところに行きたがるのって、珍しいよね...」

キラが少し呆然と呟くと

「俺がどうしてヴィンセントと出かけていたか、聞いたか?」

とイザークが問う。

「ううん。デートだって話しか」

「どうも最近ヴィンセントが悩んでいたようでな。男同士話をしてくれとに頼まれたんだ」

「そうか。そうだよね。やっぱりお父さんのほうが話しやすいこともあるよね」

キラは頷く。

「どうも、恋をしたそうなんだがな」

「へえ」

イザークの言葉にキラが興味を持った。

「相手の親が、戦争で身内を全員なくしているらしくて、軍を毛嫌いしているらしい」

キラは反応に困った。

「え、と。それで終戦記念博物館?」

「おそらく、ヴィンセントは相手にその話を聞いて、事実を、都合のいい歴史ではなく、美醜関係の無い歴史が知りたかったんだろう」

とても4歳になる子供の思考とは思えない。

「なあ、キラ」

「なに?」

「キラにとっての愛とは何だ?」

「ヴィンセントに聞かれたの?」

苦笑してキラが返すとイザークは困ったように頷く。

「ちなみに、イザークは?」

だ」

間髪いれず、迷いことなく彼は答えた。

「なるほど。理解してもらうには、難しい答えだったんだね」

「そういうことだ」

イザークは頷く。

に相談するか...

何とか自分で、と思ったが早々に白旗を揚げることにした。









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桜風
12.12.10


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