| やってきた2人組を見てラスティが苦笑いを浮かべる。 「ああ、何だ。やっぱりお前らか」 ラスティが声を掛ける。 それに応えるように「よ!」と軽く右手を上げたのはディアッカ。 そして、彼が此処に来たというコトは 「何処に居ても騒がしいものだな。ったく。何だってこんなガサツなのが俺の婚約者だ」 勿論、昨日付での婚約者になったイザークも居るということだ。 「うるさいなー」 はそう言って顔を顰める。 「そんな顔するな。余計に不細工に見えるぞ」 「うっさい、おかっぱ」 「何だと、ガサツ!」 そう言った後、イザークはフンと鼻を鳴らす。 「第一、貴様みたいなガサツ女がジュール家の嫁だなんて..」 さらに言い募ろうとしたところでが突然勢いよく立ち上がる。 「うるさいわね、言われなくても分かってるわよ!どうせ私は乗馬じゃなくて騎馬よ。ライフルじゃなくて拳銃よ。ダンスじゃなくて体術よ!!」 の強い口調にイザークは驚き、少し体を引く。 「ラスティ、ごち!」 そう一言言っては足早に食堂を後にした。 「何なんだ、突然...」 ブツブツと言いながらイザークはラスティの前に座る。 「なあ、今と擦れ違ったんだが...」 そう言ってこの一団にやって来たのはアスラン・ザラだった。イザークはあからさまに嫌そうな顔をするが席を移動しようとはしなかった。 そんなザークに肩を竦めてその隣にディアッカは腰を下ろす。 が抜けたため椅子がひとつ空いたのでニコルが詰めて、そのニコルが居た席にアスランが腰を下ろした。 「イザーク、追いかけないのか?」 不意にラスティが言う。 「フン!勝手に拗ねて行ったやつを何で俺が態々追いかけなきゃならん」 鼻を鳴らしてそう言った。 ラスティは一度溜息を吐いた。 「『まあ、あんなのがイザーク様の?』『いい気なものね。身の程を弁えたらどうなのかしら?作法、ご存知なのかしらね』『食事用にちゃんとナイフ使えるのかしら?条件反射で人を襲ったりしないの?オホホホ』」 ラスティが少し声を高くしてそんな会話らしい言葉を口にする。ちょっと気持ち悪い。 「何だ、それ?ちょい、気持ち悪いんだけど...」 ディアッカが聞くと 「今日、とイザークの婚約話に嫉妬した女たちが態々ウチのクラスの前までやって来て囁きあった言葉の一部」 と、もの凄く不機嫌にラスティは答えた。そんな会話の中でアスランはニコルから現在の状況を聞いている。 「何だ、それ?」 ディアッカが先ほどと同じ言葉を今度は別の感情を込めて言う。 「だろ?も『真正面から喧嘩を売られたらゴメンナサイと泣き出したくなるくらい言い負かしてやれるけど、聞こえよがしに言われる噂って対処の仕様がないよね』ってさ」 イザークの表情も不愉快極まりないものになっていた。 「ってお袋さん、小さいときに亡くしたんだろう?」 ラスティが話を続ける。 「ええ、4歳くらいに亡くなったって僕は聞いています」 ニコルが頷く。 「お袋さんが生きてたら少しは環境が違ってたかもしれないけど。アイツんちって代々続く軍人家系じゃん? 生まれたときからもう軍に入るって決められて生きて来たんだよ。アイツにそれ以外の選択肢はなかったんじゃないかな。それに、親父さんにいつも鍛えられてお陰で現在どっかの誰かさんと並んでアカデミーの成績トップだしな」 ラスティが『どっかの誰かさん』ことアスランに視線を遣れば、少し居心地悪そうにアスランが視線を逸らした。 「けど、それじゃダメなんだと」 「どういうことだ?」 「アイツんち、今も言ったけど軍人家系だろう?で、この間アイツの親戚、本家の子がちょっと休暇で帰って来たんだって。それで、親族集まって凱旋パーティみたいなのがあったんだと。で、その親戚はアカデミーの成績は単独トップ。で、今は一応エースパイロットらしいんだ。 、今パイロットクラスだから余計に比較されるらしいんだけど、単独トップじゃないだろう?しかも、同位は生粋の軍人家系じゃないアスランだ。そのパーティで色々言われたらしいんだけど、が反論しようとしたら親父さんが『申し訳ない』って言ったんだと。言い訳はするな。本家に逆らうなってことだろうな。アイツも大変なんだよ。 ...ま、これで婚約者様が同率トップだったら話はちょっとは違ったかもだけどな」 「どういう意味だ?」 イザークが不機嫌に言う。 「だって、それなら今のパイロットクラスのツートップが婚約ってことだろう?優秀なもの同士ってやつでさ」 まあ、確かにそんな話の流れにならないとも言えない。皆は少し納得した。 「けど、何でラスティがそんな話知ってんだよ?」 ディアッカが聞くとラスティが肩を竦めた。 「ああ、オレのお袋の友達にアイツの親戚筋に当たる人がいて。この間うちに来てその話を楽しそうにしてた。オレがアカデミーに通ってて、さらにパイロットクラスでトドメにと友達ってのを知らないから言えたんだろうけどな。 知ってる?アイツ毎日残って何時間も練習してんだぜ。射撃とか、MSのシュミレートとか。ちゃんと頑張ってるのにな」 ガタリ、と音がした。 「...どっか行くの、イザーク?」 ラスティが立ち上がったイザークを見上げて楽しそうに声を掛ける。 「便所だ!」 そう一言言って食堂の出口に向かう。 「オイオイ、カレーを食べている人が居たら大変だぞ」 ラスティが楽しそうに言うと 「別にそこまで詳しくイザークは言ってないだろう。というか、何でその思考なんだ?」 アスランが呆れながら呟いた。 「いや、だって。多分長いだろう?」 ニヤニヤと笑いながらさらに言葉を重ねる。 カチャリとスプーンを置く音がした。 「サイテーですね、ラスティ」 カレーを食べていたのは、ニコルだった。 |
桜風
07.12.3
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