Like a fairy tale 7





ある日、イザークが寮に戻るとテーブルの上に封筒が置いてあった。

「何だ?」

先に帰っていたディアッカに聞くと

の親父さんの名前が書いてあったぞ」

雑誌に目を落としたままそう答える。

差出人の箇所を見るとディアッカの言うとおり、確かにの父親『カイン・』のサインがあった。

何か連絡があるなら普通は通信と言う形を取るだろう。

それなのに何故態々郵便で?

そう思いながらイザークはその封を開けて中身を取り出す。

の親父さん、何て?」

一応は気になるらしく、ディアッカが声を掛けてきた。

「招待状だ」

簡潔に答えてイザークは「ふーん」と小さく呟いた。




「明日、お前のうちに行くからな」

週3回くらいのペースでイザークはの教えを受けている。

イザークの射撃に姿勢は変な癖が出るために無駄に力を入れていたらしいが、お陰でそれがなくなって随分と楽になったと思う。

イザークの言葉には首を傾げて

「明日はうちにいないから」

と返事をする。

「パーティがあるんだろう?だから、迎えに行くと言ってるんだ」

イザークの言葉にの口がぱかーと開く。

「不細工面をするな」

眉間に皺を寄せてイザークが注意をすると取り敢えずは口を閉じた。

「何でパーティの事イザークが知ってるの?」

「カイン殿から招待状が届いてな」

イザークの言葉には「はぁ?!」と叫びに近い声を出した。

「何でお父様はそんなことするの!?イザーク、イザークはその日はおなかが痛くてそのパーティには出席できないの。そうしよう」

殆ど懇願するようなの言葉だったが

「そうはいかない。招待されたのに嘘を吐いて欠席できるわけがないだろう。カイン殿は将来、父親と呼ぶようになる人だし」

一瞬、イザークの言葉にドキリとしたが、は気を取り直して

「ううん、来ないほうが良いから。本当に、ね?お父様には私からちゃんと話しておくから」

「尚悪い。良いから、ちゃんと用意して待ってろよ」

この話はもうお終いといわんばかりにイザークは話を纏めて終わらせた。





アカデミーに通っている生徒は全員寮で生活するが、休日に帰宅するのは認められる。

そのため、休日の寮は意外と人口密度が低く気楽なため、は大抵寮で生活をしているのだが、今回のように家の用事があれば帰るようにはしている。

「はあ...」

イザークに言われたとおりに家で父と共に待っていた。

意外と素直な性格だ。

「どうした、溜息なんて」

父に声を掛けられては顔を上げる。

「お父様、何故お父様はイザークを今回のパーティに呼んだの?伯父さまのお誕生日パーティだなんて」

少し恨みがましく言うに父は苦笑する。彼女の心配は分かっているつもりだ。

だが、そこはこの先避けられない。

だったら、早めに経験してもらっておいたほうが良いと判断して招待した。

「将来は、私の息子だ。これからもこういうパーティに出席することになるんだ。イザーク君はパーティには慣れているだろうが、少し具合が違うから慣れていたほうが良いだろう」

まあ、違うだろうなと思いながらは溜息を吐いた。


来客を告げるチャイムが鳴り、父が玄関に向かった。



玄関から父が呼ぶ。

「はい」と返事をして玄関に向かうと何故か花束を持ったイザークが父と話をしていた。

何故に花束?

そう思っていると「」とイザークが声を掛ける。

「何?」

「これは、お前にだ」

は3秒ほど固まった。

」と父に促されてそれを受けとる。

「あ、ありがとう」

なんと言うか...

こんな立派な花束を見ることなんて殆どないし、それを受けとったこともないわけで。はどんな反応を示したらいいものか悩んだ。

「花瓶に生けてきなさい」

父に言われてはっと気がつき、パタパタと家の奥へと向かった。

「あの、いけなかったでしょうか?」

思った反応とは違ってイザークは少し困惑してカインに聞いてみる。

「いやいや。ありがとう。アレはこういうのに慣れていないからな。先に謝っておこう。イザーク君にはのことで沢山苦労をかけると思う。すまないな」

突然の謝罪にイザークは驚き、少し困惑した。

声を掛けようと口を開きかけたらが戻ってきた。

「ごめんなさい、お待たせ」

「あ、ああ。では、参りましょうか」

イザークが促し、の父も頷いた。

はイザークの背中を見つめて、少しだけ、辛そうに顔をゆがめた。









NEXT


桜風
07.12.17


ブラウザを閉じてお戻りください