| イザークの運転するエレカでの伯父にあたる人の家へと向かう。 の伯父、つまり本家だ。 車内では段々口数が少なくなっていくを気にしながらもカインと会話をしながら目的地へとエレカを向かわせた。 目的地に着いたの表情は沈んでおり、イザークはどうしたものかと少し困った。 「、イザーク君と挨拶してきなさい。ちゃんと紹介するんだぞ」 そう声を掛けて父がいなくなり、は少し頼りなげな表情を浮かべた。 が、一度深く息を吐き、顔を上げたときには引き締まった表情だ。いうなれば、格闘の実践訓練中の戦っているときの表情。 「行きましょう。先に謝っておくわ、ごめんね」 会場内を見渡すと、皆が皆スーツだ。ドレス姿がひとつもない。 これは、軍人家系ゆえのこんな雰囲気なのだろうか。 だから、も黒を基調としたスーツなのだと納得した。 イザークは会場内を歩いている自分たちに集まる視線が気になった。 それは決して気持ちのいいものではない。値踏みをされているような、そんな感覚だ。 が挨拶に行った親戚と思しき人たちもイザークのことを頭も天辺からつま先まで舐めるようににジロジロと見る。 その視線に気付いたが気をそらそうと話を変えても全く興味がないといったような反応を示される。 一通り親戚にイザークを紹介しつつ挨拶を済ませた。 「ごめんね」 しょんぼりとが呟く。 その姿はアカデミーに居るときのとは違い、イザークは少し胸が痛んだ。 彼女は何も悪いことはひとつもしていない。礼節だってちゃんと身につけているし、寧ろあの親戚連中の方がおかしい。 「大丈夫だ。気にしてない」 イザークはの頭にぽんと手を載せた。 「そういえば、今日はお前の伯父のパーティなのだろう?挨拶、してないよな」 に紹介された人の中に今日の主役は居なかったと記憶している。 「うん、まだ会場にはいらっしゃらないみたい」 そう言っては少しだけ肩の力を抜いたような表情になった。 それに少しだけイザークは安心した。そして周囲を見渡す。 以前ラスティから聞いた話だと本家の子供がエースパイロットだったはず。たぶん、今日も軍服を着ているだろう。 ざわりと一角が騒がしくなった。 を見ると 「たぶん、伯父さまだと思う」 そう言って少しだけ憂鬱そうな表情を浮かべた。 少し人垣が薄くなった隙間から人が見えた。壮年の男の隣に、予想したとおりにザフトの赤の軍服を着ている人物が居た。 赤を着ているというコトはそんなに年は離れていないのだろう。 何せ何処かの隊のエースパイロットで優秀なのだろうから、それならすぐに黒や白に行くはずだ。 隣で深呼吸をするを見下ろす。 「よし、行こう!」 気合を入れてが足を進める。イザークはそれに続いた。 「伯父さま」 が声を掛けると伯父と呼ばれた人物はチラリとを見遣る。 その視線には何の感情も込められていないがはそれに怯まず 「お誕生日おめでとうございます」 と言葉を続けた。 伯父は「ああ」と一言だけ返す。 さらにめげずにはイザークを紹介した。 すると少しは興味を持ったらしく伯父がイザークをまじまじと見る。 「初めまして。先日嬢と婚約をさせて頂きましたイザーク・ジュールと申します」 イザークが挨拶をすると伯父はを見て 「上手く取り入ったな」 と一言言って去っていった。 は俯いて奥歯をグッと噛む。その一方でイザークのジャケットの袖を握っていた。 流石のイザークも腹立たしく思ったがすぐ傍で「ごめん、我慢して」というの言葉にこの場は堪えた。 伯父の放った言葉に周囲はを見てクスクスと笑っている。 「、少し外そう」 イザークが促し、建物の外に出る。 「ごめんね」 「さっきから謝ってばかりだな。別には何一つ悪いことはしていないだろう」 本当、これでよく性格が歪まなかったなとイザークは感心する。 「でも、これが親戚だから。...だから、言ったの。お腹痛くなっちゃいなって」 「そう簡単に腹痛を起こせるほど器用じゃないんでね」 イザークの言葉に「そこは気合でカバーして」とが返し「何だそりゃ」とイザークが笑う。 「何だ、こんなところに居たのか」 そう声を掛けてきたのは先ほどの伯父の傍に居た、多分いとこだ。 「ジョンお兄様」 ジョンという名前か、と記憶しながらもイザークは一礼をする。 「入ってきたらどうだ?そんな落ち零れのお前でも一応親戚だ」 が「はい」と返事をしようとしたが、イザークがそれを制した。 「失礼ですが、ジョン・氏はザフトのエースパイロットだと伺いました。アカデミーも首席で卒業だとか。もし、よろしければお手合わせを願いたいと思っております」 イザークの言葉には蒼白した。 「い、イザーク!」とジャケットの裾を引っ張って止めるが 「良いだろう。何で勝負する?」 ジョンが意外にも乗ってきた。 「...戦略、ということでチェスの相手をお願いしたいのですが」 「良いだろう。言っておくが、オレはチェスで負けた事はない」 ジョンは自慢げに胸を反らせて承諾した。 「それは、選択を誤りましたか...」 そう言いながらもイザークは不敵に笑っていた。 |
桜風
07.12.31
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