| 「ちょっと待てよ!」 暗い部屋の中、ホーキンスが訴えていた。 「オレら大人が戦えと言って戦場に送ったんだろ。それなのに、此処に来て『君たちは戦争に加わった。そして、人を沢山殺した。つまり犯罪者だから、君たちを死刑にするよ』って。ふざけてるだろう、その理屈は!」 ホーキンスの言葉に目の前の男は目を瞑り、テーブルの上で手を組んだ。 「第一、そうやって戦犯とかいうんだったらこのタイミングだって変だろう!もう終わった事だ。条約も締結した。つまり、地球軍は今のプラントの体勢に納得したってことだろう!?何だって、今更軍事法廷を開くとか言い出すんだ!」 バンッ!とテーブルを叩いて抗議する。 目の前の彼は溜息を吐いて落ち着いた声で話し始める。 「しかし、ホーキンス隊長。彼らは人を殺したのですよ。自分の意思で。それで裁かれないと言うのは...」 「だから、さっきも言っただろうが!オレたち大人が、ナチュラル全て滅ぼせって命令して殺させたんだろう!?そんな、ガキに罪があるっていうなら、オレたちプラントの大人全員に罪があるだろう」 「それでも、その道を選ばなかった人だっているではないですか」 「それは...」 ホーキンスの語気が弱まる。 それでも、納得は出来ない。 「けど、お前等の理屈だって偏りすぎてる!責任を取るのは、まずは国防委員会だろう。ザフトを束ねて指揮してたんだから」 「だが、その最高責任者は殺されました。部下によって」 ホーキンスがギリ、と奥歯を噛み締める。 不意に、がちゃりと後方のドアが開いた。 ホーキンスは振り返り、目を瞠る。 「お前、何で...」 彼女は微笑んだ。そして、ホーキンスに向かって一礼する。 「ホーキンス隊長、引退してください」 彼女の言葉に、ホーキンスは言葉を失くす。 「待て、何を言っている!」 「ホーキンス隊長の除隊。そして、シルバーレイこと、・の復隊。これで、今回の少年兵たちへの刑罰および、ホーキンス隊長の不敬罪は白紙ということで、よろしいですね?デュランダル議長」 ホーキンスは「くそっ!」と目の前のテーブルを蹴った。 つまり、彼は初めからの、シルバーレイの復隊のためだけに少年兵を軍事裁判に掛けた。少年兵の中には、イザークはもちろん、友人が大勢いる。そして、それに反対する自分が邪魔で、ついでに追い出そうと... 「わかった。その取引は成立だ。...そうそう、」 彼に名前を呼ばれて不快そうに眉を顰める。 「何でしょう?」 「ご息女、ノルン嬢は健やかに育っていると聞いたよ。可愛いだろう?君と愛するご主人の子だ。君が戦場を駆けているときも定期的に成長した姿を送ってあげよう」 デュランダルの言葉にの表情が嫌悪に歪む。 つまり、娘は人質というわけだ。 「お心遣い、感謝いたします」 「ついでに、ご主人のイザーク・ジュールにも定期的に写真を送って差し上げたほうがいいのかな?」 「いいえ。それは遠慮いたします。夫は娘がかわいくて仕方ないようなので、娘の写真が気になってうっかり撃墜されるかもしれません。正直、そうなってしまっては目も当てれらませんから」 と返した。 「そうか、それは残念だ。ああ、それと。君をFAITHに、と思っているのだが。どうだね?」 「勲章にまったく興味がありませんし、それをいただけるくらいなら、娘の安否いついて心配になるようなことをちらつかせないでいただきたいと思いますが?」 が挑発的に言う。 「ふふふ」とデュランダルは笑い、 「まあ、いい。では、明日法廷で。ああ、何か言いたいことは?」 といって立ち上がる。 は微笑みながら「では、一言だけ」と言い、一度言葉を区切って「地獄に落ちろ」と低く唸る。 その言葉すら軽く流してデュランダルは部屋のドアに手をかけて一度立ち止まる。 「もちろん、私は地獄に堕ちるよ。しかし、まあ。もたいしたことないな」 勝ち誇ったようにそう呟いて出て行った。 「くそ!」 ホーキンスはもう一度テーブルを蹴った。 「申し訳ありません、ホーキンス隊長」 が頭を下げる。 「もう、隊長じゃねぇよ」 そう乱暴に返す。 「...悪かった。守ってやれなくて」 呟くようにホーキンスが言った。 は静かに首を振る。 「いいえ、ここまでたくさん守っていただきました。私とイザーク。そして、父とエザリア様。他にも...」 「最後まで面倒を見れなかったら『守った』って言えないんだよ。...仕方ない、辞表の書き方、教えてくれ」 これについてはのほうが先輩である。 は「はい」と静かに頷いた。 |
桜風
08.12.1
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