Like a fairy tale 4





結局、家出をするかのようには復隊をした。

つまりは、喧嘩別れだ。

次に帰宅したときに離婚届が置いてあったらどうしよう...

そんなことを思いながらも評議会へ向かう前にエザリアの元を訪れた。

「イザークは納得したの?」

心配そうな表情をして聞くエザリアの言葉に、苦笑いを浮かべては首を振る。

エザリアは「そう」と言いながら息を吐く。

「ノルンのこと、お願いします」

母親経験のあるエザリアに頼むのが一番だと思った。

自分とイザークが不在でも、きっと娘を守ってくれる。

「理由を、復隊する理由は教えてもらえないのかしら」

悲しそうにエザリアが言った。自分はそんなに頼りないのか、と。

イザークもそんな表情をしたことを思い出し、再び胸が痛む。

「守らなければならないので」

は短くそう言い、それ以上何かを言われないようにその場を逃げるようにして去った。

小さくなっていくの背中を見送りながらエザリアは目を瞑る。

の瞳はあの時と変わっていない。

揺るがない、何かを胸に秘めているのだ。何を言っても無駄だということ。

「昔の家に戻るわ。留守を預からないと」

近くに居たメイドにそう声をかけた。

両親が不在になれば、ノルンの面倒はさすがに身内が見なければ。そして、その両親が戻ってくるまでは自分が愛情を注いで、ノルンが笑顔で彼らの帰りを迎えられるように。



評議会へと向かうの顔には表情がない。

ドアをノックすれば「入りたまえ」という声が返ってきた。

部屋に入ると立派な椅子に座ったデュランダルがゆっくり振り返った。

「ああ、来てくれたね。ご息女は?」

「エザリア様にお願いしてきましたので」

「それは安心だね。ああ、あの約束はちゃんと守るよ。成長記録はしっかり君に届けよう」

ここに来てもまだ釘を刺す。

「ありがとうございます」

心は篭っていないがは言った。

「確認するが、FAITHは本当に...」

「要りませんし、欲しいなんて思いません」

デュランダルは頷いた。

「さて、君が配属される先だけど」

早々に話が始まる。

今度進水式を迎える新造艦、『ミネルバ』に配属となるらしい。

艦長は『タリア・グラディス』。も聞いたことある名前だ。

その艦には新型のMSも搭載される予定だと。そして、そのパイロットはアカデミーの優秀な生徒だとか。

「君のMSは、勿論“運命の女神”だ」

「以前と何か変わりましたか」

は何の感慨も見せずに淡々と話を進める。

「いいや、さほどいじっていない。装甲や、エネルギーは技術革新のお陰で多少変わっているが。進水式までにはまだ時間はあるし、調整は君がしてくれ。OSはまったく触っていない。というか、触れないからね、君以外は」

「了解しました」

「では、案内しよう」

その言葉には驚く。

何故、議長自ら案内するというのだ。

「艦はアーモリーワンにある。近々、私はそこに行く予定があってね。一応、下見をしておこうと思って」

の驚いたその空気が伝わったのか、彼がそう言い添えた。

「そうですか」

短く応えては彼の後に続いた。




アーモリーワンに着き、新造艦を目にする。

まだ調整中らしく、周囲にはメカニックの姿が多く見られる。

基地の管制塔へと行き、議長が艦長を呼び出すように管制官に連絡を入れていた。

暫くして、白い隊長服に身を包んだ女性が部屋に入ってくる。

軍人であるが、幾分纏っている雰囲気は柔らかい。

彼女は議長に向けて敬礼をして、の存在に気づく。

は彼女に敬礼を向けた。彼女もそれを返し、手を下ろす。

「知っているとは思うが、一応紹介しておこう。。シルバーレイだよ。今度、君のミネルバに配属になった」

です。よろしくお願いします」

「ミネルバ艦長、タリア・グラディスです。あなたのことは、知っているわ。きっと、ザフトはみんなね。でも、“”で良いの?」

溜息を吐きたい衝動をこらえては「ええ」と小さく頭を下げる。

「でも、除隊したでしょう。それなのに、今になって何故?」

「守りたいものがあります。そのために、この道しかありませんでしたので」

の言葉にグラディスは納得したような、そうでないような表情を浮かべた。そして、議長に目を向ける。

「まあ、そういうわけで復隊を希望してね。君の隊は今度若手が配属されるだろう。少し、経験のあるパイロットが居たほうがいいのではないかと思って」

「少し、どころか。彼女は英雄です」

「では、彼女の配属は受け入れてもらえるね?」

グラディスはに目を向ける。

「これから、お願いね」

は敬礼をもって応えた。









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桜風
08.12.1


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