| 早速、ミネルバのドックへと向かう。 議長はグラディス艦長にを紹介してすぐに帰った。本当は忙しいようだ。 懐かしい戦艦のドック内で一機だけ、見慣れた機体がある。意識しなくとも頬が緩んだ。 「ノルン...」 と思わず呟く。 「この機体をミネルバに、と議長から聞いたときには誰が乗るのかと思ったけれど、貴女だったのね」 共にドックに来た艦長に言われては頷いた。 というか、ノルンはいつこの艦に配備されたのだろう。 「艦長、申し訳ありませんが。当分、私はこの機体にかかりっきりになります。何か命令事項がありましたらノルンに直接通信していただくか、ドックに入れてください」 の言葉に艦長は了解し、戻っていった。 は近くに居たメカニックを捕まえてノルンの調整について話を聞いてみる。 装甲とエネルギーをの変更があったことは議長から聞いているがその他についても確認をしたかった。 「マニュアルは?」 「またノルンの整備が出来るとは思いませんでしたよ」 メカニックの一人がそう言いながらマニュアルを渡してきた。 確か、本部に居たはずだ。補給のために何度か顔を合わせたことがある気もする。 「ありがとう」と受け取り、パラパラとページを捲りながらノルンのコックピットへと向かった。 新しいシステムの開発も進んでいるようで、初めて見るものも少なくない。 ノルンのコックピットの匂いも懐かしい。 シートについて深く息を吐く。 「久しぶりね、ノルン。会いたかったような、会いたくなかったような...」 苦笑いを浮かべた。 そして、気を取り直したように伸びをする。 「さ、あなたのことを教えてね」 OSを立ち上げ、装備を確認する。本当に誰もノルンのOSを触っていないようだ。 一度取り出してリセットすれば以外でも弄れるはずだ。 まあ、そうすれば、今までが培ってきた戦闘データも消去することになる上、ノルンに最初から育てなくてはならなくなるが。 「チーフ、あの人は...」 「ノルンのOSの調整はあの人しか出来ないからな。まあ、ノルンが搭載されたときには不安だったけどもう心配は要らないな」 そう言いながら見上げた機体に目を細める。 連日、はノルンの調整を行っていた。 ドックでメカニックたちの噂を聞いた。 今度アカデミーを卒業する赤服のパイロットが3人配属されるらしい。 さらに、現在製作中の新型も何機か搭載される予定だとも聞いた。 しかし、今はまだその機体自体はまだミネルバに配備されていない。 近々搬入される予定なのは『インパルス』という機体らしい。これは、資料を見せてもらうと、今まで見た機体とは構造が全く違うことがわかる。 「やっぱ、変わるもんだね」 「そりゃ、我々ザフトも進歩していきますよ」 「軍備縮小、ってのはどうなったことやら」 あきれたようにが呟く。 「オレたちに言わないでくださいよ」 「ですね」とは言って自室に向かう。 数日後、その噂のルーキーたちが配属された。 ノルンのコックピットにいると彼らを連れた副長であるアーサー・トラインに呼び出された。 ハッチを開いて顔を覗かせる。 噂のルーキーらしい。 がドックに降りていくと、彼らは一様に驚いた表情を浮かべていた。 「初めまして、・です」 敬礼と共に自己紹介をする。彼らは慌てて敬礼を返した。 「レイ・ザ・バレルです」 「ルナマリア・ホークであります」 「シン・アスカ..です」 「聞いていたとは思うが、この艦に配属されたパイロットだ」 アーサーに言われて頷く。まだもう数人アカデミーを卒業したばかりのパイロットが来るとも聞いている。それはまた後日になるのだろう。 「ところで、MSパイロットの隊長についてだが...」 「貴方たちの中でMSの実践成績は誰が一番かしら?」 の問いにシンとルナマリアの視線はレイに向く。 「じゃあ、レイに隊長になってもらいたいかな」 の言葉に皆が訝しがる。 「何故ですか。さんは、あのヤキン防衛戦では一部隊を率いていましたよね」 ルナマリアの言葉には肩をすくめる。 「部下を放ったらかしにしていた隊長ってのは聞いてない?」 の言葉に皆が顔を見合わせた。 「ああ、確かに。聞いたことあるなぁ」 アーサーがのんびりと呟く。 「ま、そういうわけで。それに、この子の調整があるしね」 アカデミーで聞いたことのある機体だ。 あの機体はパイロットにあわせて成長していくものだときいた。 「副長、連絡事項は以上ですか?」 の言葉に持っていたファイルを開いて頷く。 「そうだな。パイロットの紹介だけだが、勿論、新しくメカニックも加わったからそちらはチーフに聞いておいてくれ」 「了解しました」と返しては再びノルンのコックピットの中へと戻っていった。 |
桜風
08.12.1
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