Like a fairy tale 7





とイザークが復隊して数日が経った。

エザリアはジュール邸で生活をしており、ノルンの世話をしている。

イザークの幼い頃を思い出しながら毎日孫の成長を見守っている。

そんなある日、カインから連絡が入った。

彼の親友、ヴァン・ホーキンスがノルンに会いたいといっているそうだ。

彼らが来る日を聞いてもてなす準備をして待っていた。


メイドが部屋に呼びに来て彼らの訪問を知らせる。

応接室に行くとカインとホーキンス。そして、彼の養女となったフレイの姿があった。

「お久しぶりですね、皆さん」

部屋に入ってそう挨拶をした。

「エザリア殿。ノルンをあなたばかりに任せて申し訳ない」

カインは立ち上がり頭を下げた。

「いいえ、経験者ですから」とエザリアは微笑んでソファに腰掛けた。

腕に抱くノルンを見てフレイが頬を緩ませた。

「抱いてみる?」

エザリアの言葉にフレイは思わず父親であるホーキンスを見上げる。

「いい機会だろう」

父にそういわれて恐る恐るノルンを受け取った。

「可愛い...」

思わず零れたフレイの笑顔にホーキンスも口元が緩む。

昔のエザリアならナチュラルであるフレイを見下したりするだろうが、今はそういった感情はない。

ゼロかといったら、肯定は出来ない。長い間培ってきた感情だ。

だが、それでも付き合えなくはない。ナチュラルも言葉が通じる『人』なのだから。政治家を相手にするなら警戒をすることはあるだろうが、相手はホーキンスの養女で、の友人のフレイだ。

暫くは何でもないそれこそ世間話をしていたが、カインとホーキンスは少し落ち着かないようだ。

「どうか、なさったのかしら?」

エザリアが聞く。

もてなしているつもりだが、何か不手際でもあったのだろうか。

「いや、何と言うか。エザリア殿。先ほどカインと話をしていたのだが。今日はノルンの世話を我々に任せてフレイと買い物に出てはどうかと思ってね。子育てには休息がないと聞くからな」

ホーキンスの言葉にエザリアは勿論、フレイも目を丸くした。

そんな話は聞いていない。

「一応、カインはダメダメだが子育て経験者でもあるし。メイド殿たちも居るから安心していただけると思うのだが...」

「ダメダメとは何だ」とカインが不服そうに文句を口にしている。それはきっぱり無視をしてホーキンスが体を乗り出して「どうでしょう」ともう一押しした。

「でも、フレイさんは...」

「私は、エザリア様さえよろしければ...何せ、お父さんと一緒に出かけても買い物が長いって文句を言うだけなんですもの」

と彼女が言う。

「じゃあ、久しぶりに休暇を頂くことにしましょうか」

当分買い物に出てないエザリアもこのホーキンスからの提案は魅力的に感じていた。

「エレカは、我々が乗って来たのをご利用ください」とエザリアに言ってカインがフレイにキーを渡す。

「分かりました。フレイさん、少し待っていてくださいね」

そう言ってエザリアは応接室を後にした。

フレイの腕でむずがりはじめたノルンに彼女がうろたえる。

「ああ、貸してごらん」と言ってカインが引き受けると大人しくなった。

「ほー。ダメダメでもさすが、父親経験があるだけあるな」

からかいながらホーキンスが言う。

「うるさい」とカインは短く返してノルンの顔を覗き込んだ。穏やかな寝顔に思わず目を細める。


エザリアとフレイを見送ったカインたちは、ノルンをベビーベッドに寝かせて先ほどの応接室へと戻った。

そこで、エザリアたちが戻るまで細工をしておく。

「ったく、何でこんな...」

「慣れていないだろうからな」

ぶつくさ文句を言うホーキンスにカインがそっけなく応える。

「元議員じゃないか」

「『元』だ。彼女自身はもう重要人物ではなくなったのだから」

「まあ、そうだが」

「口を動かさずに手を動かせ」

カインにそういわれて「へいへい」と不服そうに言葉を返して手を動かす。


エザリアの言っていた帰宅時間に彼女たちは帰ってきた。

夕食を摂って歓談しているときにホーキンスが紙とペンを取り出して何かを書いていく。

『そのまま話を続けてください』

フレイは驚いて会話を止めたが、エザリアは頷きながら本日の買い物のことについて話を続けている。

こういう言うところは『さすが』と評するべきだな、とホーキンスは感心した。

『応接室で話がしたい』というメッセージを目にしてエザリアが上手く応接室へと皆を誘った。









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桜風
08.12.8


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