Like a fairy tale 9





復隊して、が一番ショックを受けたことは、周囲の兵士たちの年齢よりも、ザフト内の技術革新よりも、自分の射撃の腕の落ちっぷりだ。

は元々、ストレスがたまったりすると射撃で発散させている節があった。

だから、イザークと結婚した後も、暫くは射撃を毎日のように行っていたのだが。

子供を身篭ってからイザークより射撃の禁止令が出ていた。

どうせイザークは家に居ることが少ないんだし、と思っていたが、家の人が皆イザークの意見に賛成だったらしく、ことごとく邪魔をされ、いつしかは射撃を諦めた。

そして、今回復隊して銃を握ったのは1年以上のブランクがあることに気づかされたのは、射撃の得点を見てからだ。

周囲はの出した高得点に驚きもしたが、今までたたき出していた成績に比べれば一目瞭然で自分の腕が鈍っているのが良く分かる。

きっと同期のパイロットたちやミゲルが居たら別の意味で驚いただろう。

そして、MSのシュミレーション。

これにも驚愕した。

先日アカデミーを卒業したばかりのパイロットを相手に勝ちはするものの、向こうからしたらいい勝負と言ったところになる。


ノルンの調整をしながら、射撃とシュミレーション。

さすがにスケジュールが過密だと自分でも気づく。それでも、この艦の進水式までにはしておきたいことが山積みで。

艦長室に向かいながら今後の処理したい事項の優先順位の入れ替えなどを行っていた。

艦長室の前でブザーを押して名乗ると入室を促される。

「失礼します」

艦長はの訪問が意外だったらしく少々驚いたようだ。

「どうしたの。何か問題でも...?」

「いえ。艦長に許可を頂きたくて」

グラディスはを促した。

はとりあえず、ノルンはマニュアルに書いている調整が終わったため多少動かして微調整を行いたい旨を話した。

つまりは模擬戦だ。

「模擬戦、ね...」

「マニュアルは、本当に規定値のことしか書いていないものですから。ノルンは、その規定値から外れていることも多いですし、何よりもエネルギーが変わったことで出力の調整が気になります。もし、今のうちに慣れることが出来るのなら慣れておきたいというのが正直なところです」

「確かに。先の大戦から2年しか経っていないというのに、最近のザフトの技術開発は目覚しいものがあるわ」

艦長もそれについては納得できる。

「そうね、どれくらいの時間が必要なの?」

「時間は...20分あれば大抵の動きは試すことが出来ると思います。一度動かせば何となく勘は戻ると思いますし、それを元に次の戦闘中にでも多少調整しながら戦うことも出来ます。と、言っても。戦わないで済むなら、それが一番いいのですが」

の言葉に「そうね」と言い、

「では、汎用機になるけど、模擬戦の許可を出しましょう。ただし、実弾の使用は不可とします。本当なら、ついでに新型機のテストも兼ねてといいたいところなのだけど、まだ調整中らしいの。そのときは、もしかしたらお願いするかもしれないわ」

「ドックに新型機が1機、配備されていたと思いますが...?」

全部で4機配備されるらしい。

「ええ、そうね。でも、それも併せて調整中なのよ。進水式に間に合うかが心配だわ」

なるほど、とは何となく納得した。

ハンガーにはザクだけが配備されていることに少しだけ疑問を持っていたのだ。

「では、模擬戦のスケジュールことはあなたに任せるわ」

「ありがとうございます」

は敬礼をして部屋を後にした。



パイロットが集まっているのはどこだろう...?

艦内ではドックか自室というは艦内の情報に疎い。

レストルームに差し掛かると先日挨拶を交わした赤服のルーキーを目にした。

「あ。ちょうどいいところに」

3人揃っていたため、彼らに声をかけた。

「何でしょう」とすぐに反応したのはレイだ。

「あのね、MSの模擬戦に付き合ってくれないかな?」

突然のの申し出に3人が首を傾げる。

先ほど艦長に話した内容を彼らに話した。

「そういうことなら、私がお相手しましょうか?あのとお手合わせいただける機会なんて滅多にないことだし」

そう言ってきたのはルナマリアだ。

「じゃあ、お願い。いつがいいかしら?」

そのまま話を進めて時間を決める。

2時間後に演習場ということでその場を後にした。


ドックに向かいながらは溜息を吐く。

自分が初めてクルーゼ隊に配属された時は父親の名前から、彼女に勝負を吹っかけてきた人たちは居たが、今度は正真正銘自分の名前で勝負を吹っかけられるようになったらしい。

「やっぱ、時代は変わるのね...」

何やら年寄りくさいことを呟きながら頭の中では演習場の使用許可の手続き方法を算段していた。









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桜風
08.12.15


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