Like a fairy tale 10





ルナマリアとの約束の時間が近づいたため、調整を途中でやめて演習場へと向かった。

すでに彼女は準備万端のようだ。

「お手柔らかに」

が言うと

「こっちのセリフです」

と返された。

それぞれが持っているのは銃器だけだ。

レーザー砲は攻撃力のないただの光を放つ銃型のレーザー。

そして、実弾ではなくペイント弾を使うということになっている。

カッターやサーベルは攻撃力のない別のものを用意する時間がなかったため、今回はそういう装備になった。


「レイ、合図をお願い」

レイがそれぞれのコックピットに同時にブザーが聞こえるように操作してブザーを押す。

それが合図となり、ノルンが駆けた。

ルナマリアは距離を取ってレーザーを撃つ。



「何か、良い試合って感じだな」

管制室からレイと共にその様子を見ていたシンが呟いた。何だか、期待を裏切られたという表情だ。

「...そうか?」

しかし、レイの見方は違っていた。

「今までの使っていたエンジンよりデュートリオンの方が出力が上がっている。ノルンはそれを抑えながら戦っているんだ」

レイの言葉にもう一度シンは2人の戦闘を目にする。

「彼女のことはアカデミーでも聞いたことあるだろう。実際、テレビでも見たことないか?プラントへ向かってきた核を全て彼女が撃ち落した映像を。あのときのエンジンは核ではなかったらしい。それであれだけ動けたんだ。あの機体のスペックものあるだろうが、パイロットの性能に拠るものも少なくない」

「じゃあ、何であんなに。ルナマリアと同等なんだよ」

不本意そうにシンが抗議する。

「まずは、以前と同じ動きを心がけているんだろう。それが出来れば出力が上がろうが何になろうが自分で調整できる」

「ふーん...」とやはり何だか納得いかない表情でシンは窓の外の戦闘を見ていた。



「そんなもんですか、シルバーレイって!」

ルナマリアは楽しそうにそういった。

に向けてペイント弾を撃つ。

間一髪でそれをかわしてはレーザーを撃った。それはルナマリア機の肩に掠る。

「はずれ!」

そう言って今度はレーザーを撃ってきた。

掠ることなくの下方を通るレーザー。

「んー...やっぱ、出力が慣れないなぁ」

は呟きペイント弾を撃った。ルナマリア機の膝に当てる。

「それくらいじゃ、墜ちませんよ!」

はチラッとコックピット内の時計を目にした。

そろそろ18分。

「じゃ、カタをつけよう」

はそう呟き、少しだけエンジンの出力を上げた。

一瞬にしてルナマリア機の懐に入り込みそのまま足払いをして転倒させてコックピットに銃口を突きつけた。

「時間です」

静かにレイの声が両機のコックピットに響く。

ノルンはルナマリア機の上から下りて手を差し伸べる。

ルナマリアのザクがその手を取って立ち上がった。

「最後の。びっくりしちゃいました」

コックピットにルナマリアからの通信が入る。

「あ、うん。ごめんね。そろそろ時間だったし。終わらせたほうが良いかと思って」

の言葉にルナマリアはムッと頬を膨らませる。

「遊んでたんですか?」

「まさか。色々動きを見ていたの。ほら、この模擬戦のお願いしたときにも話したでしょう?エンジンが変わったからちょっとどんな感じになってるのかと思ってね。相手が居ないとこういうのって分かりにくいから。だから、付き合ってくれてありがと」

が素直にそういうとやはり膨れたままのルナマリアは

「せっかく、シルバーレイと良い試合が出来てたから自慢できると思ってたのに」

とブツブツ言っていた。

「残念。もっと修行を積んでからじゃないと。アカデミー卒業したばかりの子に互角だと思われたとあっちゃ、同期たちに申し訳ないわ」

笑いながらがそう言う。そして「戻りましょう」とが言うと

「今度またリベンジさせてください」

とルナマリアが言う。

「...まあ。このまま平和ならね」

の返答は何だか遠まわしに断ったっぽい印象を受けたルナマリアは「けちー」と言いながらミネルバへと向かった。

「...ペイント弾。水性ですって。良かったね」

の一言に

「じゃあ、整備班たちに自分で落としておけって言われますね」

と溜息混じりにルナマリアが言う。

「...手伝うから」

そのペイント弾を当てたのは。何となく手伝った方がいいのだろうと思った。

「助かります〜!」

ルナマリアはそう言っての申し出を断ることなく快諾した。









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桜風
08.12.15


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