Like a fairy tale 13





が帰艦すると何故かルナマリアが避難してきたらしいカガリとアスランに向かって銃を向けている。

「何をしているの」

コックピットを開け、機体から降りながらそう声をかけた。

!この2人があの機体から降りてきたの」

そう言ってルナマリアは彼らの後方のザクを指した。

「...新聞読みなさい。ニュースを見ないさい」

呆れたように言うに彼女は目を丸くする。

「こちらは、カガリ・ユラ・アスハ様。名前を聞いたら何者かくらいは分かるわよね。オーブ首長国連邦の代表。で、きっとこの人は護衛か何かでしょ」

知っているが、確かアスランは偽名で生活しているはずだからそう濁した。

偽名までは、覚えていない。

「え!?で、でも。何でザクから降りてきて。しかも、この艦に...」

自分が勧めたことを言ったほうがいいのだろうかと悩むを視線でアスランが制した。

「オレは随行員のアレックス・ディノ。デュランダル議長との会見の最中に騒ぎに巻き込まれ、避難もままならないままこの機体を借りた」

アスランの説明を聞いてルナマリアは少し呆然とした。

「代表は、怪我もされている。議長はこちらに入られたのだろう。お目にかかりたい」

「...私が、案内しましょう。議長はきっとブリッジにいらっしゃると思います。ごめん、整備をお願い」

はメカニックに声をかけて「さあ、」とアスランたちを促した。

「あ、待って。私も!」

ルナマリアがの後を追いかけてきた。



ミネルバが降下しているのに気づいたカガリがこの船は避難するのかと聞いてきた。このコロニーはそんなに危ないのかと。

は内心溜息を吐いたが、その言葉にルナマリアは少し気分を害したようだ。いや、元々彼らのことを不審に思っているのかもしれない。

そんな中、コンディションレッドが発令された。

パイロットはブリーフィングルームへ集合するようにアナウンスが流れる。

「...行かないと」

が呟く。

「待て。戦闘に出るのか、この船は!」

ブリーフィングルームに向かおうとしたの腕を掴んでアスランが言う。

「まあ、そうみたいですね。進水式を迎えずに戦闘っていう状況のようです。ほら、ルナマリア。ブリーフィングルームに」

がルナマリアを促した。

「アスラン!」

カガリが思わずアスランの本名を口にした。

はこっそり溜息を吐いた。

アスランは少し慌てた表情を浮かべ、それ以上にうろたえたのはカガリで。ルナマリアはその名前を繰り返して振り返り、アスランの顔をじっくりと見る。

「ルナマリア。時間ないのよ」

が促したが、「私、今機体が使えないから」と言ってルナマリアはブリーフィングルームへは向かわないという。

まあ、それもそうかと納得したは一人でブリーフィングルームに向かった。



ブリッジから通信が入る。

現在、シンとレイがMAと交戦中であるが電波妨害が激しく連絡が取れないため、その2機を援護しに行ってほしいとの事。

急いでドックに行き、発進する。

「帰艦信号を撃つわ。それでも、戦域から離脱できない可能性もある。レイはともかく、シンはエネルギー残量の限界に来ているの」

「殴ってでも帰します」

はそう簡潔に返して戦域へと向かった。

MAの動きを見て既視感を覚える。

どこかで、見た動き。戦ったことのあるパイロット...?

地球軍といえばMAだ。

が、は宇宙での戦闘といえば、ボアズ侵攻後が主だ。殆どは地球で戦っている。

しかし、ボアズ侵攻後となれば地球軍はMSを出してきていた。MAといえば、核を持ってプラントに向かってきたあれらしか覚えていない。

だとしたら、地球に降下する直前の、地球軍の第8艦隊との戦闘、ノルンの初陣のときか。

「...まさか」

は小さく呟いた。

あの戦争の停戦直後、ホーキンスはあの三隻同盟の行方不明になったパイロットを探しに出ていた。

結局見つからなかったが、もしかしたら...

そう思いつつもガンバレルを破壊する。

本体に向かっていくとその間にガンバレルのカッターが迫ってきてノルンはMAから距離を取る。

その隙にMAは母艦らしき艦に向かっていった。


ミネルバからも帰艦信号が出る。

「何で!」

シンが不機嫌そうに呟いた。

「命令だ」

「まだやれる」

「宇宙の藻屑になりたかったらどうぞ。けど、機体は回収させてもらうから」

がわざとそういった。

「分かったよ!ったく...」

「息が上がってるようですけど?エネルギーはちゃんと確認して突っ走りなさい。ミネルバにすぐに戻れるとは限らないんだから。特に、宇宙域では即命取りになるよ」

「分かってるよ。ガミガミうるさいな」

ブツブツ文句を言いながらシンはミネルバに向かっていった。

それに続いてレイも帰艦する。

「艦長、」が通信を入れた。

MSで追撃をするならこのまま出るという意思を示した。

「あなたも戻ってもう一度補給を受けて。ミネルバで追います」

艦長の言葉で帰投した。



帰投してすぐに大きな揺れがミネルバを襲う。

ドック内は大混乱となった。

はそのままノルンのコックピットの中で待機をしながら、先ほどの戦闘のデータを整理する。

「大丈夫か」

あまりにも静かだったため、メカニックが覗いてきた。

「ええ、まあ」と顔をあげて言いながらもの手はキーボードを叩き続けている。

「補給、完了した」

あまりに平静なにメカニックは呆れつつもそう告げて次の仕事に取り掛かる。

ブリッジからの放送が入る。

この艦はボギーワン、先ほどのMAの母艦のことだろう、の更なる追撃を行うことになったとのことだ。

「まあ。ツイてないね、相変わらず」

どこかの誰かさんの顔を思い浮かべながらは呟いた。

昔は理不尽にイザークの怒鳴りつけられ訳の分からない理由で勝負を吹っかけられ。

今は、守らなければならない者を連れて戦闘に入られる。

自分がミネルバへと勧めたにもかかわらず、は他人事のようにそんなことを考えていた。









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桜風
08.12.22


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